僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです・・・。

わっしー

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第二章

41話

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しかし、衝撃はやってこなかった。
目を開けると近くに輝くマリアが居た。
「無事ですか、ショウマ?」
「マリア?コレは一体・・・?」
「ショウマの破魔魔法を増幅させました。ぶっつけ本番でしたが上手くいったみたいです。」
そう言ってマリアは僕の手を取る。
「ショウマ。一緒にあの化け物を倒しましょう。」
「いいのか?」
彼女はメリッサとの戦い以降戦いの場面に出ていない。
増幅魔法を使うのは彼女にとってストレスなのだから・・・。
この数ヶ月の間もそんな彼女の気持ちを汲んでゴブリン討伐に連れて行くことはなかった。
「今でも怖いですよ。この力がいつ暴走するか考えると怖くて・・・怖くて・・・。」
マリアは僕の方を見る。
「でも、ショウマが死んじゃうんじゃないかと考えたら足が勝手に動いていたんです。だから、私も戦います!」
そう言ってマリアは僕の手を取る。
「こんな私ですけど、信じてくれますか?」
「・・・ああ!やろう、マリア!」
「私達もいることを忘れないでね、正真。」
そういうのは美香姉さんだった。
「さて、仕切り直しと行こうか。」
正文兄さんが刀を構える。
「うん・・・!やろう!」
僕たちは正面の化け物を見る。
「ショウマ。」
「うん!」
僕はありったけの魔力を集める。
仄かな銀の光が僕の手の平に浮かぶ。
「これを私の魔法で増幅させて・・・。」
マリアが銀の光を包み込む。
すると、仄かに灯っていただけの銀の光は眩いほどに光り輝く。
「いくよ。」
「うん!」
僕たちは照準を化け物に合わせる。
そして、まばゆく銀の魔力を収束させる。
化け物も自身の魔力を集める。
「『ディスペル・バスター』!」
僕たちは銀の魔力を放つ。
同時に化け物も禍々しい魔力を放った。
銀の光と暗黒の闇がぶつかり拮抗する。
「うああああ!!!」
「あああああ!!!」
僕たちはありったけの魔力を注ぎこむ。
銀の光は強くなり遂に闇を退けた。
そして、銀の魔力は化け物を貫通する。
「おおおお!!!!」
化け物は苦悶の声を上げる。
「行くわよ!合わせて!」
美香姉さんの言葉に合わせて魔力が高まっていくのを感じる。
「「フォルテシュモ」!」
「「雷神走撃」!」
「「グランド・ニードル」!」
「「ウインド・カッター」!」
「「炎斬走」!」
土の針に貫かれ、鋭い風に切られ、炎と雷撃に肉を焦がされた化け物は最後に衝撃波によって粉々にされた。
「勝った・・・。」
「うん・・・。」
そして、僕たちはその場に倒れ込むのだった。
意識を失う前に聞こえてきたのは心配そうに僕達に語り掛けてくる仲間たちの声だった。
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