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第二章
40話
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「おい、グロウサー!ゴブリンキングが倒されたぞ!?」
「そうですね・・・。まさか、ゴブリンキングの魔力を無効化するとは思いませんでしたよ。」
私はゴブリンキングの亡骸を見ながら答える。
奴に植えた「狂気の種」は魔力を変質させる作用がある。
その魔力を大幅に増幅させることで高い戦闘能力を植え付けることが出来る。
ただし、狂気の種に寄生された者は理性を失い全てを壊す化け物に変容させる。
それを治す手立てはない。
(予想外ですね・・・。しかし、サナダショウマが纏っていた魔力の色・・・。アレが狂気の種の効力を打ち消したと考えたほうが良いのかもしれませんね・・・。)
「おい、グロウサー!どうにかしろ!このままじゃ、お前も儂も無事では済まないぞ!?」
私の主、ギザラが焦ったように怒鳴り散らす。
「・・・わかりました。」
(こいつは用済みだな・・・。)
十分なデータは取れた。
あとは、勇者共にこいつを始末させればよい。
「では、貴方様に力を・・・。」
「ぐお!?」
私はギザラの腹に風穴を開けた。
そして、その傷口から狂気の種を植え付ける。
すると、狂気の種はギザラの魔力と生命力を吸い取りギザラを包み込む。
「ご存分に力を振るってくださいませ、ギザラ様。」
私はその様子を見て頬が緩むのだった。
「さて、私はこれで失礼させていただくとします。」
そう言うとグロウサーは慇懃に僕達にお辞儀をする。
「逃げる気か!?」
正文兄さんが言い放つ。
「はい。狂気の種を宿したゴブリンキングを屠った貴方達を相手にしてしまってはもしものことがあるかもしれません。そうなると、せっかくの研究が台無しになってしまいます。」
「研究?」
「私と話している余裕があるのですか?」
その瞬間、触手が僕達に迫って来る。
それを寸前のところで避ける。
触手の先にはギザラだったモノが苦悶の表情を浮かべながら僕達を見ていた。
「では、私はこれで・・・。もし、生きていればまたお会いできるでしょう。」
「待て!」
グロウサーは兄さんの声を無視して影の中に溶け込み消えてしまう。
「正文、今はあの化け物に集中しなさい!」
「・・・わかった。」
美香姉さんの言葉に素直に頷く兄さんは刀を構える。
「正真、破魔魔法はまだ使えるかしら?」
「あと一回ぐらいなら・・・。」
破魔魔法は魔力消費が激しい。
兄さん達みたいに膨大な魔力があればよかったのだが僕は魔力量が平均的・・・。
「なら、その一回に賭けましょう。ゴブリンの時と同じように正文たちは正真の援護をお願い。」
「ああ!」
僕たちはすぐに行動に移す。
僕はナイフに破魔魔法を纏わせる。
「行くぞ!」
僕たちは走り出す。
化け物は僕達を近づけない様に触手で襲う。
「遅い!」
しかし、正文兄さんはその触手を切り落とす。
アルスやソーマさんもそれぞれの得物で触手を切る。
しかし・・・。
「ダメ!この触手、切った端から再生する!?」
カーラさんが悲鳴を上げる。
「弱音を吐くな、カーラ!」
ソーマさんが触手を切り落としながらカーラさんに怒鳴る。
「「フォルテ」!」
美香姉さんの魔法が発動し、触手に衝撃波がぶつかる。
一瞬だが動きを止める。
「なんとか、隙を作るのよ!」
「ぐおおおおお!!!」
その時、化け物は咆哮を上げる。
そして、触手を引っ込める。
「今か!?」
僕はその瞬間走り出す。
「ダメ、ショウマ!下がって!」
マリアが焦ったように叫ぶ。
その時、強大な魔力を感じた。
「おおおおお!!!!」
化け物の周囲に強大な魔力が集まる。
そして、その魔力が収縮し放たれた。
「うわぁ!!!」
僕は咄嗟に破魔魔法を発動して放たれた魔力に当たる前に打ち消す。
「・・・ヤバイ。」
その瞬間、僕の身体から力が抜ける。
僕は膝をつく。
「正真!」
化け物は二発目を放つため魔力を収束させていた。
しかし、僕は魔力を大量に消費させたため動くことが出来ない。
(これまでか・・・。)
化け物から強大な魔力が放たれる。
僕は来たる衝撃に目を閉じるのだった。
「そうですね・・・。まさか、ゴブリンキングの魔力を無効化するとは思いませんでしたよ。」
私はゴブリンキングの亡骸を見ながら答える。
奴に植えた「狂気の種」は魔力を変質させる作用がある。
その魔力を大幅に増幅させることで高い戦闘能力を植え付けることが出来る。
ただし、狂気の種に寄生された者は理性を失い全てを壊す化け物に変容させる。
それを治す手立てはない。
(予想外ですね・・・。しかし、サナダショウマが纏っていた魔力の色・・・。アレが狂気の種の効力を打ち消したと考えたほうが良いのかもしれませんね・・・。)
「おい、グロウサー!どうにかしろ!このままじゃ、お前も儂も無事では済まないぞ!?」
私の主、ギザラが焦ったように怒鳴り散らす。
「・・・わかりました。」
(こいつは用済みだな・・・。)
十分なデータは取れた。
あとは、勇者共にこいつを始末させればよい。
「では、貴方様に力を・・・。」
「ぐお!?」
私はギザラの腹に風穴を開けた。
そして、その傷口から狂気の種を植え付ける。
すると、狂気の種はギザラの魔力と生命力を吸い取りギザラを包み込む。
「ご存分に力を振るってくださいませ、ギザラ様。」
私はその様子を見て頬が緩むのだった。
「さて、私はこれで失礼させていただくとします。」
そう言うとグロウサーは慇懃に僕達にお辞儀をする。
「逃げる気か!?」
正文兄さんが言い放つ。
「はい。狂気の種を宿したゴブリンキングを屠った貴方達を相手にしてしまってはもしものことがあるかもしれません。そうなると、せっかくの研究が台無しになってしまいます。」
「研究?」
「私と話している余裕があるのですか?」
その瞬間、触手が僕達に迫って来る。
それを寸前のところで避ける。
触手の先にはギザラだったモノが苦悶の表情を浮かべながら僕達を見ていた。
「では、私はこれで・・・。もし、生きていればまたお会いできるでしょう。」
「待て!」
グロウサーは兄さんの声を無視して影の中に溶け込み消えてしまう。
「正文、今はあの化け物に集中しなさい!」
「・・・わかった。」
美香姉さんの言葉に素直に頷く兄さんは刀を構える。
「正真、破魔魔法はまだ使えるかしら?」
「あと一回ぐらいなら・・・。」
破魔魔法は魔力消費が激しい。
兄さん達みたいに膨大な魔力があればよかったのだが僕は魔力量が平均的・・・。
「なら、その一回に賭けましょう。ゴブリンの時と同じように正文たちは正真の援護をお願い。」
「ああ!」
僕たちはすぐに行動に移す。
僕はナイフに破魔魔法を纏わせる。
「行くぞ!」
僕たちは走り出す。
化け物は僕達を近づけない様に触手で襲う。
「遅い!」
しかし、正文兄さんはその触手を切り落とす。
アルスやソーマさんもそれぞれの得物で触手を切る。
しかし・・・。
「ダメ!この触手、切った端から再生する!?」
カーラさんが悲鳴を上げる。
「弱音を吐くな、カーラ!」
ソーマさんが触手を切り落としながらカーラさんに怒鳴る。
「「フォルテ」!」
美香姉さんの魔法が発動し、触手に衝撃波がぶつかる。
一瞬だが動きを止める。
「なんとか、隙を作るのよ!」
「ぐおおおおお!!!」
その時、化け物は咆哮を上げる。
そして、触手を引っ込める。
「今か!?」
僕はその瞬間走り出す。
「ダメ、ショウマ!下がって!」
マリアが焦ったように叫ぶ。
その時、強大な魔力を感じた。
「おおおおお!!!!」
化け物の周囲に強大な魔力が集まる。
そして、その魔力が収縮し放たれた。
「うわぁ!!!」
僕は咄嗟に破魔魔法を発動して放たれた魔力に当たる前に打ち消す。
「・・・ヤバイ。」
その瞬間、僕の身体から力が抜ける。
僕は膝をつく。
「正真!」
化け物は二発目を放つため魔力を収束させていた。
しかし、僕は魔力を大量に消費させたため動くことが出来ない。
(これまでか・・・。)
化け物から強大な魔力が放たれる。
僕は来たる衝撃に目を閉じるのだった。
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