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第二章
35話
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「具合はどう、正真?」
そう言って入ってきたのは美香姉さんだった。
「うん、調子はいいよ。」
「良かった・・・。」
美香姉さんはホッとしたような表情をした。
「聞きそびれていたんだけど、美香姉さんたちはどうしてこの国に?」
「正悟兄さんの指示なの。」
「正悟兄さんの?」
「ええ・・・。」
そして、美香姉さんは話し始める。
姉さんたちは僕達と別れた後、それぞれの特性を極めるために特訓をした。
美香姉さんと美玖・美沙姉さんは魔法を。
正文兄さんと美紀姉さんは剣術や槍術を。
正悟兄さんは両方を。
そして、それぞれ一定の水準に達した時点で姉さんたちはポライネン帝国以外の国、冒険者の国「シニネン王国」、獣人が治める「ケルタイネン王国」、エルフが治める「ビヘレア王国」と再度同盟を結ぶため派遣されたということだ。
「そして、私たちはシニネン王国と同盟を結ぶことと正真、貴方を迎えに来たの。」
「僕を?」
「ええ。あの時はまだ力がなかった私たちもこの数ヶ月で力を得たわ。シニネン王国の女王ジーラ様から「この国の問題を解決すれば貴方たちに協力しよう」って・・・。」
「その問題というのは?」
「言及はされてないけど正真が今までやっていたことがそうだと思う。」
「そっか・・・。」
僕の今までやってきたことゴブリン討伐をやることが今、同盟を結ぶための助けになっていたのが嬉しかった。
「でも、僕がヴァルコイネンに帰って大丈夫なの?」
「ええ・・・。シニネン王国と同盟が結べればポライネン帝国もおいそれと手は出せないわ。それにシニネン王国と同盟を結んだ時点でポライネン帝国との戦争は避けられないから。」
「それって大丈夫なの?」
「どうせ近いうちに戦争は勃発してしまうわ。それが少し早くなっただけ・・・。」
「でも、そうなると姉さんたちが・・・。」
「私達は元々戦うために召喚されたの。この数ヶ月で覚悟は決まったわ。だから、正真は気にしなくていいわ。」
そう言って美香姉さんは僕の頭を撫でる。
「さて、そろそろ休みなさい。後のことは私たちに任せて・・・。」
美香姉さんは優しく言うのだった。
その夜、物音で目を覚ます。
「・・・これは。」
僕はベッドの近くにあるナイフを手繰り寄せる。
次の瞬間、窓が激しい音を立てて割れる。
暗闇から影がうごめく。
そして、僕に向かって刃を振り下ろされた。
「くっ!」
僕はナイフで受け止める。
受け止めた拍子に腕に激痛が走る。
それにより、力が抜けてしまう。
そのまま僕は力負けをする。
「くそ!」
僕は破れかぶれに蹴りを入れる。
しかし、避けられてナイフが肩に刺さる。
「・・・。」
黒い影は動けなくなった僕を縛ると肩に担ぐ。
そして、そのまま僕は連れ去られた。
そう言って入ってきたのは美香姉さんだった。
「うん、調子はいいよ。」
「良かった・・・。」
美香姉さんはホッとしたような表情をした。
「聞きそびれていたんだけど、美香姉さんたちはどうしてこの国に?」
「正悟兄さんの指示なの。」
「正悟兄さんの?」
「ええ・・・。」
そして、美香姉さんは話し始める。
姉さんたちは僕達と別れた後、それぞれの特性を極めるために特訓をした。
美香姉さんと美玖・美沙姉さんは魔法を。
正文兄さんと美紀姉さんは剣術や槍術を。
正悟兄さんは両方を。
そして、それぞれ一定の水準に達した時点で姉さんたちはポライネン帝国以外の国、冒険者の国「シニネン王国」、獣人が治める「ケルタイネン王国」、エルフが治める「ビヘレア王国」と再度同盟を結ぶため派遣されたということだ。
「そして、私たちはシニネン王国と同盟を結ぶことと正真、貴方を迎えに来たの。」
「僕を?」
「ええ。あの時はまだ力がなかった私たちもこの数ヶ月で力を得たわ。シニネン王国の女王ジーラ様から「この国の問題を解決すれば貴方たちに協力しよう」って・・・。」
「その問題というのは?」
「言及はされてないけど正真が今までやっていたことがそうだと思う。」
「そっか・・・。」
僕の今までやってきたことゴブリン討伐をやることが今、同盟を結ぶための助けになっていたのが嬉しかった。
「でも、僕がヴァルコイネンに帰って大丈夫なの?」
「ええ・・・。シニネン王国と同盟が結べればポライネン帝国もおいそれと手は出せないわ。それにシニネン王国と同盟を結んだ時点でポライネン帝国との戦争は避けられないから。」
「それって大丈夫なの?」
「どうせ近いうちに戦争は勃発してしまうわ。それが少し早くなっただけ・・・。」
「でも、そうなると姉さんたちが・・・。」
「私達は元々戦うために召喚されたの。この数ヶ月で覚悟は決まったわ。だから、正真は気にしなくていいわ。」
そう言って美香姉さんは僕の頭を撫でる。
「さて、そろそろ休みなさい。後のことは私たちに任せて・・・。」
美香姉さんは優しく言うのだった。
その夜、物音で目を覚ます。
「・・・これは。」
僕はベッドの近くにあるナイフを手繰り寄せる。
次の瞬間、窓が激しい音を立てて割れる。
暗闇から影がうごめく。
そして、僕に向かって刃を振り下ろされた。
「くっ!」
僕はナイフで受け止める。
受け止めた拍子に腕に激痛が走る。
それにより、力が抜けてしまう。
そのまま僕は力負けをする。
「くそ!」
僕は破れかぶれに蹴りを入れる。
しかし、避けられてナイフが肩に刺さる。
「・・・。」
黒い影は動けなくなった僕を縛ると肩に担ぐ。
そして、そのまま僕は連れ去られた。
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