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第二章
34話
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「うっ・・・。」
眠りから覚めるとシルビアとマリアが僕を見下ろしていた。
「ショウマ、大丈夫?」
「僕は・・・?」
「ギルドで冒険者にリンチされているところを貴方のお兄様とお姉様に助けられたのよ。覚えている?」
「・・・ああ。」
あの後、僕はすぐに意識を失ったようだ。
「・・・どれぐらい寝ていた?」
「三日よ。最近、忙しそうにしていたから疲れが出ていたのね。」
「三日も!?寝てる場合じゃない!すぐにギルドへ!」
僕は起きようとした時、身体中から激痛が走る。
「痛っ!?」
「無理しないで。」
そう言ってマリアが僕をゆっくりと寝かす。
「お医者様の話では全身打撲に加えて右腕にひびが入っているということよ。当分の間は絶対安静とのことよ。」
「そんな・・・!それじゃあ、ゴブリンたちが・・・!」
「そちらの心配はしなくて良いわ。」
その時、部屋のドアがノックされる。
「失礼します、ショウマさん。」
入ってきたのは前に助けたことのある新人冒険者だった。
「お怪我の方はどうですか?」
「ショウマは絶対安静ということよ。だから、貴方達には頑張ってもらうことになるのだけど・・・。」
「どういうこと?」
マリアに聞くと答えてくれた。
「彼らは貴方が怪我を受けたと聞いて駆けつけてくれたの。そして、しばらく貴方が動けないと聞いて貴方の代わりにゴブリン討伐を変わってくれるということ。」
「俺達だけじゃないです!」
新人冒険者の彼は話してくれた。
僕がリンチされた翌日、冒険者たちは正文兄さんに集められて僕の作成した報告書の内容を聞かされたという。
それを受けて多くの冒険者が賛同してくれて現在ゴブリンの討伐を行ってくれているということだ。
「新人からベテランまで多くの冒険者がゴブリン討伐に動いています。」
「そっか・・・。」
それを聞いてうれしさが込み上げてくる。
僕のやってきたことは無駄ではなかったということに・・・。
「それから、こちらを・・・。」
そう言って新人冒険者の彼は一枚の羊皮紙を差し出す。
「これは?」
「今回、ショウマさんをリンチした冒険者たちのクエスト履歴です。」
「・・・よくそんなものが手に入ったね?」
「ショウマ様のお姉様が受付嬢をきょうは・・・説得してくれたので・・・。」
今、脅迫と言いかけそうになったようだけどとりあえず聞き流すことにした。
そこにはこう書かれていた。
極秘クエスト
ゴブリン繁殖素材の確保について
近隣の村にてゴブリン繁殖のために材料を調達。
報酬 10万リル
特記事項 受付嬢ならびにクエスト受注者はこのことについて他言無用。
「これは・・・!?」
「最近、ゴブリンの数が増えている片棒をギルドが担いでいたみたいです。同じような依頼を受けた冒険者は多くその者達には今、マサフミ殿が訊問しているところです。」
「・・・で?それだけか?隠しているともっと痛い目を見るぞ?」
「ほ・・・本当に知っていることはこれだけなんだ!許してくれよ!!」
俺は目の前の男を見る。
顔は赤く膨れ上がって歯は何本か折れている。
目からは涙、鼻からは血が出ており酷いもんだ。
まあ、それをやったのはほかでもない俺なんだが・・・。
「じゃあ、お前たちがやったことについて整理しようか・・・。」
ゴブリン繁殖のために村の女性や貧困街の女性たちを拉致・強姦し、最後にはゴブリンに輪姦させたとのこと。
ゴブリンたちはやけに人になれている様子で男たちを襲うことをしなかったとのこと。
一部の女性は身なりの良い男どもに連れて行かれたとのこと。
ゴブリンの精液を回収して商人に売買していたこと。
「なあ、俺の知っていることは全部話しただろ!?だから、開放してくれよ!」
男は俺に懇願する。
「そうだな。お前から聞きたいことは全て聞いた。」
「・・・なら!」
俺は立ち上がり男に近寄る。
「しかし、お前たちは到底許されないことをやった。なら、報いを受けるべきだよな?」
「・・・へっ?」
「この国にはお前みたいなやつを収容するにはうってつけの場所があるようだな?・・・確かアズカバン・・・だったか?」
「あ・・・アズカバン!?」
男の顔色は真青になる。
「あ・・・あそこだけは!あそこだけは勘弁してくれ!あそこに入れられるぐらいなら殺してくれ!」
「もう一度聞く。お前の知っていることはこれで全部か?」
「その身なりの良い男の名前はグロウサー!!とある貴族の執事をしていると聞いた!」
「とある貴族とは?」
「知らねぇ!本当に知らねぇんだ!」
「そうか・・・。」
俺は男からの情報を書き留める。
「聞きたいことは以上だ。こいつを連れて行け。」
「ああ。」
そう言って男は俺の側についてくれた冒険者によって連行される。
「さて、グロウサーって男についていろいろ聞かないとな・・・。」
眠りから覚めるとシルビアとマリアが僕を見下ろしていた。
「ショウマ、大丈夫?」
「僕は・・・?」
「ギルドで冒険者にリンチされているところを貴方のお兄様とお姉様に助けられたのよ。覚えている?」
「・・・ああ。」
あの後、僕はすぐに意識を失ったようだ。
「・・・どれぐらい寝ていた?」
「三日よ。最近、忙しそうにしていたから疲れが出ていたのね。」
「三日も!?寝てる場合じゃない!すぐにギルドへ!」
僕は起きようとした時、身体中から激痛が走る。
「痛っ!?」
「無理しないで。」
そう言ってマリアが僕をゆっくりと寝かす。
「お医者様の話では全身打撲に加えて右腕にひびが入っているということよ。当分の間は絶対安静とのことよ。」
「そんな・・・!それじゃあ、ゴブリンたちが・・・!」
「そちらの心配はしなくて良いわ。」
その時、部屋のドアがノックされる。
「失礼します、ショウマさん。」
入ってきたのは前に助けたことのある新人冒険者だった。
「お怪我の方はどうですか?」
「ショウマは絶対安静ということよ。だから、貴方達には頑張ってもらうことになるのだけど・・・。」
「どういうこと?」
マリアに聞くと答えてくれた。
「彼らは貴方が怪我を受けたと聞いて駆けつけてくれたの。そして、しばらく貴方が動けないと聞いて貴方の代わりにゴブリン討伐を変わってくれるということ。」
「俺達だけじゃないです!」
新人冒険者の彼は話してくれた。
僕がリンチされた翌日、冒険者たちは正文兄さんに集められて僕の作成した報告書の内容を聞かされたという。
それを受けて多くの冒険者が賛同してくれて現在ゴブリンの討伐を行ってくれているということだ。
「新人からベテランまで多くの冒険者がゴブリン討伐に動いています。」
「そっか・・・。」
それを聞いてうれしさが込み上げてくる。
僕のやってきたことは無駄ではなかったということに・・・。
「それから、こちらを・・・。」
そう言って新人冒険者の彼は一枚の羊皮紙を差し出す。
「これは?」
「今回、ショウマさんをリンチした冒険者たちのクエスト履歴です。」
「・・・よくそんなものが手に入ったね?」
「ショウマ様のお姉様が受付嬢をきょうは・・・説得してくれたので・・・。」
今、脅迫と言いかけそうになったようだけどとりあえず聞き流すことにした。
そこにはこう書かれていた。
極秘クエスト
ゴブリン繁殖素材の確保について
近隣の村にてゴブリン繁殖のために材料を調達。
報酬 10万リル
特記事項 受付嬢ならびにクエスト受注者はこのことについて他言無用。
「これは・・・!?」
「最近、ゴブリンの数が増えている片棒をギルドが担いでいたみたいです。同じような依頼を受けた冒険者は多くその者達には今、マサフミ殿が訊問しているところです。」
「・・・で?それだけか?隠しているともっと痛い目を見るぞ?」
「ほ・・・本当に知っていることはこれだけなんだ!許してくれよ!!」
俺は目の前の男を見る。
顔は赤く膨れ上がって歯は何本か折れている。
目からは涙、鼻からは血が出ており酷いもんだ。
まあ、それをやったのはほかでもない俺なんだが・・・。
「じゃあ、お前たちがやったことについて整理しようか・・・。」
ゴブリン繁殖のために村の女性や貧困街の女性たちを拉致・強姦し、最後にはゴブリンに輪姦させたとのこと。
ゴブリンたちはやけに人になれている様子で男たちを襲うことをしなかったとのこと。
一部の女性は身なりの良い男どもに連れて行かれたとのこと。
ゴブリンの精液を回収して商人に売買していたこと。
「なあ、俺の知っていることは全部話しただろ!?だから、開放してくれよ!」
男は俺に懇願する。
「そうだな。お前から聞きたいことは全て聞いた。」
「・・・なら!」
俺は立ち上がり男に近寄る。
「しかし、お前たちは到底許されないことをやった。なら、報いを受けるべきだよな?」
「・・・へっ?」
「この国にはお前みたいなやつを収容するにはうってつけの場所があるようだな?・・・確かアズカバン・・・だったか?」
「あ・・・アズカバン!?」
男の顔色は真青になる。
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「もう一度聞く。お前の知っていることはこれで全部か?」
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「とある貴族とは?」
「知らねぇ!本当に知らねぇんだ!」
「そうか・・・。」
俺は男からの情報を書き留める。
「聞きたいことは以上だ。こいつを連れて行け。」
「ああ。」
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「さて、グロウサーって男についていろいろ聞かないとな・・・。」
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