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第二章
31話
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場所は変わりここはとある貴族の豪邸。
「ゴブリンたちの数が減っている?」
「はい。」
男は女性の頭を掴みながら男の執事の報告を聞く。
女性は男のモノを虚ろな目で舐めている。
「この3ヶ月の間に壊滅されたゴブリンの巣は5か所に上りました。このままだと、媚薬の材料が不足してしまい売り上げが落ちてしまいます。」
執事の話を聞いて男は唸る。
「誰なんだ、そのゴブリンの巣を壊している馬鹿者は?」
「冒険者ギルドに問い合わせたところ、サナダショウマという人物が名前に上がっています。」
「・・・聞かない名前だな。」
「彼の冒険者ランクはD。クエストの履歴を見たところ全てゴブリンに関係する者ばかりでした。」
「・・・忌々しい。」
男は苛立たし気に言い放つ。
「どうなさいますか、ご主人様?」
「・・・たかがDランクの冒険者ぐらいならどうにか出来るだろう。奴らを使え。」
「・・・よろしいのですか?」
執事は嫌そうな顔をする。
そんな執事の顔を見て男は頷く。
「奴らは確かに性格に難はあるがその分実力はある。そのCランク冒険者程度始末するのは容易いだろう?」
男は暗い笑みを浮かべる。
「うっ・・・はぁ・・・。」
「はぁん!」
女性は男のモノを味わうように舐めまわす。
「しかし、この薬は本当に良いな。この女も最初はあんなに泣き叫んでいたのに今ではワシのモノを咥えて喜ぶ淫乱になったのだから。」
そう言って男は笑う。
「では、私はこれで・・・。」
「ああ、ご苦労。」
執事は男の部屋から出て行く。
コツコツコツ・・・。
執事は一人廊下を歩いていた。
「アンタも大変だね、グロウサー。」
執事に声を掛けてきたのは褐色の肌の女性だった。
「ミセリア。」
「本当に人間って卑しい生き物ね・・・。同族を自らの手であんな風にしちゃうんだから・・・。」
ミセリアと呼ばれた女性は嫌悪感を隠すことなく言い放つ。
「しかし、そんな奴がいるから我々は動きやすいのも事実だ。」
「まあね。」
執事の言葉にミセリアは同意する。
「それで、お前は何をしにこんな所に来たのだ?」
「連絡事項よ。近々この国に勇者が来るわ。」
「・・・なに?」
執事は驚いたように聞き返す。
「来るのは二人とのことよ。」
「・・・計画がバレたということか?」
「わからないわ。だけど、警戒はしときなさいよ。」
「・・・ああ。」
それだけ言い終わるとミセリアは暗闇に消える。
「・・・。」
執事はそれを見送ると屋敷の奥に歩いて行くのだった。
「・・・うぅ。」
僕はいつの間にか寝ていたようだ。
「・・・主様、最近働き過ぎだよ?」
そう言って近づいてきたのはシルビアだった。
「今、何時?」
「朝の7時頃だよ。皆、下で待ってる。」
「そっか・・・。」
僕は机から立つと伸びをする。
身体のあちこちからバキバキと音がした。
「主様、最近ベッドで寝てない。少し、休んだ方がいいよ?」
「ありがとう。でも、僕は大丈夫だよ。」
僕はシルビアの頭を撫でる。
「一人でも多くの人を助けるためにも僕は休んでいられないからね。」
そう言って僕は散らばった報告書を整える。
「これってこの前の?」
「うん・・・。この報告書をギルドに提出して対策会議を開きたいんだけど・・・。」
「それってこの前も却下されたばかり・・・。」
「・・・うん。」
この報告書も初めてではなかった。
ゴブリンの巣でゴブリンがどの位居たかや孕ませ袋にされた女性の数などを細かく調査し報告して対策を提案してきたのだが話は聞いてもらえなかった。
「・・・やはり、冒険者ランクが問題なのかな?」
僕の現在の冒険者ランクはC。
アンヤさんと共に討伐したゴブリンエリートの件やゴブリンの巣を駆除した実績でこのランクまで来たがそれでもまだまだということなのだろう。
「主様は頑張っている。」
「ありがとう、シルビア。」
僕は報告書を紐でまとめる。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。」
僕はシルビアに見送られながら部屋を後にするのだった。
「ゴブリンたちの数が減っている?」
「はい。」
男は女性の頭を掴みながら男の執事の報告を聞く。
女性は男のモノを虚ろな目で舐めている。
「この3ヶ月の間に壊滅されたゴブリンの巣は5か所に上りました。このままだと、媚薬の材料が不足してしまい売り上げが落ちてしまいます。」
執事の話を聞いて男は唸る。
「誰なんだ、そのゴブリンの巣を壊している馬鹿者は?」
「冒険者ギルドに問い合わせたところ、サナダショウマという人物が名前に上がっています。」
「・・・聞かない名前だな。」
「彼の冒険者ランクはD。クエストの履歴を見たところ全てゴブリンに関係する者ばかりでした。」
「・・・忌々しい。」
男は苛立たし気に言い放つ。
「どうなさいますか、ご主人様?」
「・・・たかがDランクの冒険者ぐらいならどうにか出来るだろう。奴らを使え。」
「・・・よろしいのですか?」
執事は嫌そうな顔をする。
そんな執事の顔を見て男は頷く。
「奴らは確かに性格に難はあるがその分実力はある。そのCランク冒険者程度始末するのは容易いだろう?」
男は暗い笑みを浮かべる。
「うっ・・・はぁ・・・。」
「はぁん!」
女性は男のモノを味わうように舐めまわす。
「しかし、この薬は本当に良いな。この女も最初はあんなに泣き叫んでいたのに今ではワシのモノを咥えて喜ぶ淫乱になったのだから。」
そう言って男は笑う。
「では、私はこれで・・・。」
「ああ、ご苦労。」
執事は男の部屋から出て行く。
コツコツコツ・・・。
執事は一人廊下を歩いていた。
「アンタも大変だね、グロウサー。」
執事に声を掛けてきたのは褐色の肌の女性だった。
「ミセリア。」
「本当に人間って卑しい生き物ね・・・。同族を自らの手であんな風にしちゃうんだから・・・。」
ミセリアと呼ばれた女性は嫌悪感を隠すことなく言い放つ。
「しかし、そんな奴がいるから我々は動きやすいのも事実だ。」
「まあね。」
執事の言葉にミセリアは同意する。
「それで、お前は何をしにこんな所に来たのだ?」
「連絡事項よ。近々この国に勇者が来るわ。」
「・・・なに?」
執事は驚いたように聞き返す。
「来るのは二人とのことよ。」
「・・・計画がバレたということか?」
「わからないわ。だけど、警戒はしときなさいよ。」
「・・・ああ。」
それだけ言い終わるとミセリアは暗闇に消える。
「・・・。」
執事はそれを見送ると屋敷の奥に歩いて行くのだった。
「・・・うぅ。」
僕はいつの間にか寝ていたようだ。
「・・・主様、最近働き過ぎだよ?」
そう言って近づいてきたのはシルビアだった。
「今、何時?」
「朝の7時頃だよ。皆、下で待ってる。」
「そっか・・・。」
僕は机から立つと伸びをする。
身体のあちこちからバキバキと音がした。
「主様、最近ベッドで寝てない。少し、休んだ方がいいよ?」
「ありがとう。でも、僕は大丈夫だよ。」
僕はシルビアの頭を撫でる。
「一人でも多くの人を助けるためにも僕は休んでいられないからね。」
そう言って僕は散らばった報告書を整える。
「これってこの前の?」
「うん・・・。この報告書をギルドに提出して対策会議を開きたいんだけど・・・。」
「それってこの前も却下されたばかり・・・。」
「・・・うん。」
この報告書も初めてではなかった。
ゴブリンの巣でゴブリンがどの位居たかや孕ませ袋にされた女性の数などを細かく調査し報告して対策を提案してきたのだが話は聞いてもらえなかった。
「・・・やはり、冒険者ランクが問題なのかな?」
僕の現在の冒険者ランクはC。
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「主様は頑張っている。」
「ありがとう、シルビア。」
僕は報告書を紐でまとめる。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。」
僕はシルビアに見送られながら部屋を後にするのだった。
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