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第二章
24話
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それから数日が過ぎたある日。
村の近くに見知った顔を見つける。
「アンヤさん?」
ゴブリンの死体を処理しているとアンヤさんが歩いてきた。
「うん?お前は確か・・・。」
「正真です。久しぶりですね。」
僕はアンヤさんに近づく。
「それで、アンヤさんはこの村には何をしに来たのですか?」
「旅の途中で通りかかっただけさ。それより、お前は何をやっているんだ?」
「ゴブリンの死体の処理をしていた所です。」
「ほう・・・。」
僕はアンヤさんに冒険者になったこと。
そして、今回この村でゴブリンの討伐クエストを受けていることを伝えた。
「なるほどな・・・。」
「冒険者になる前に仲間に戦い方とか教えてもらったのでなんとか戦えてます。」
「そうか。」
そう言ってアンヤさんは僕を見下ろす。
「確かに初めて会ったときに比べれば強くなっているみたいだな。」
「そうですか?」
「ああ・・・。身体を見れば分かるがそれなりに鍛えられているようだな。」
そう言ってアンヤさんは僕を見る。
「それに魔力も以前よりかは淀みがない。」
「そうなんですね!」
僕は嬉しくなる。
「あの!このまま鍛えていれば僕もアンヤさんのように強くなれますか?」
アンヤさんに聞くと少し間考えてから答えてくれた。
「・・・それは無理だろうな。」
「えっ?」
アンヤさんははっきりと言う。
「俺みたいになるにはお前の魂は弱すぎる。」
「魂?」
僕は首を傾げた。
「俺たちは生まれながらにして強さの上限が決まっている。それは絶対だ。」
アンヤさんは説明してくれた。
魂の強さは絶対だ。
強靭な肉体や強大な魔力、才能もそれによって決まってしまう。
生まれながらに僕たちは限界を与えられているということだ。
「・・・じゃあ、どんなに頑張っても僕やアンヤさんのように強くなれないということですか?」
「ああ。どんなに頑張っても無駄だ。」
アンヤさんははっきりと言う。
「そうですか・・・。」
僕は心のどこかでは兄さん達みたいに強くなれると思っていた。
いつか兄さん達と肩を並べて戦える日が来ると思っていた。
しかし、それは僕の願望だった。
正悟兄さんは人を率いるカリスマ性。
美香姉さんは人を引き付ける魅力。
美沙姉さんの頭脳と美紀姉さんの行動力。
正文兄さんの天才的な剣術に美玖の万能性・・・。
僕の兄妹達はみんな何か才能を持っていた。
じゃあ、僕は?
兄さん達のような才能は一切ない。
勉強も運動も平均。
誰かを率いる力も無いし誰かを魅了出来る魅力もない。
全てが平凡・・・。
「じゃあ、僕のやっていることは無駄なのでしょうか?」
そう聞くとアンヤさんは首を振る。
「そんなことはないさ。ショウマにはショウマにしか出来ないことがあるはずだ。」
「僕にしか?」
「ああ・・・。」
そう言ってアンヤさんは僕の肩に手を置く。
「お前は銀の魔力を持っている。それが何よりの証拠だ。」
「銀の魔力・・・。」
僕は自分の手を見る。
「お前程の魂でなぜこの力を手に入れたのかはわからないがそれには何か意味があるはずだ。それをゆっくりでいいから考えるんだ。」
「・・・はい。」
アンヤさんに言われて初めて考える。
なぜ、僕は銀の魔女と同じ力を得てしまったのかを・・・。
村の近くに見知った顔を見つける。
「アンヤさん?」
ゴブリンの死体を処理しているとアンヤさんが歩いてきた。
「うん?お前は確か・・・。」
「正真です。久しぶりですね。」
僕はアンヤさんに近づく。
「それで、アンヤさんはこの村には何をしに来たのですか?」
「旅の途中で通りかかっただけさ。それより、お前は何をやっているんだ?」
「ゴブリンの死体の処理をしていた所です。」
「ほう・・・。」
僕はアンヤさんに冒険者になったこと。
そして、今回この村でゴブリンの討伐クエストを受けていることを伝えた。
「なるほどな・・・。」
「冒険者になる前に仲間に戦い方とか教えてもらったのでなんとか戦えてます。」
「そうか。」
そう言ってアンヤさんは僕を見下ろす。
「確かに初めて会ったときに比べれば強くなっているみたいだな。」
「そうですか?」
「ああ・・・。身体を見れば分かるがそれなりに鍛えられているようだな。」
そう言ってアンヤさんは僕を見る。
「それに魔力も以前よりかは淀みがない。」
「そうなんですね!」
僕は嬉しくなる。
「あの!このまま鍛えていれば僕もアンヤさんのように強くなれますか?」
アンヤさんに聞くと少し間考えてから答えてくれた。
「・・・それは無理だろうな。」
「えっ?」
アンヤさんははっきりと言う。
「俺みたいになるにはお前の魂は弱すぎる。」
「魂?」
僕は首を傾げた。
「俺たちは生まれながらにして強さの上限が決まっている。それは絶対だ。」
アンヤさんは説明してくれた。
魂の強さは絶対だ。
強靭な肉体や強大な魔力、才能もそれによって決まってしまう。
生まれながらに僕たちは限界を与えられているということだ。
「・・・じゃあ、どんなに頑張っても僕やアンヤさんのように強くなれないということですか?」
「ああ。どんなに頑張っても無駄だ。」
アンヤさんははっきりと言う。
「そうですか・・・。」
僕は心のどこかでは兄さん達みたいに強くなれると思っていた。
いつか兄さん達と肩を並べて戦える日が来ると思っていた。
しかし、それは僕の願望だった。
正悟兄さんは人を率いるカリスマ性。
美香姉さんは人を引き付ける魅力。
美沙姉さんの頭脳と美紀姉さんの行動力。
正文兄さんの天才的な剣術に美玖の万能性・・・。
僕の兄妹達はみんな何か才能を持っていた。
じゃあ、僕は?
兄さん達のような才能は一切ない。
勉強も運動も平均。
誰かを率いる力も無いし誰かを魅了出来る魅力もない。
全てが平凡・・・。
「じゃあ、僕のやっていることは無駄なのでしょうか?」
そう聞くとアンヤさんは首を振る。
「そんなことはないさ。ショウマにはショウマにしか出来ないことがあるはずだ。」
「僕にしか?」
「ああ・・・。」
そう言ってアンヤさんは僕の肩に手を置く。
「お前は銀の魔力を持っている。それが何よりの証拠だ。」
「銀の魔力・・・。」
僕は自分の手を見る。
「お前程の魂でなぜこの力を手に入れたのかはわからないがそれには何か意味があるはずだ。それをゆっくりでいいから考えるんだ。」
「・・・はい。」
アンヤさんに言われて初めて考える。
なぜ、僕は銀の魔女と同じ力を得てしまったのかを・・・。
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