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第二章
23話
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翌日。
「いやぁ・・・。まさか、ここまで上手くいくとは・・・。」
村長が驚いたようにゴブリンたちの死体を見る。
「運が良かっただけです。」
そう言う僕に村長は首を振る。
「いやいや・・・。農作物の被害も最小限でしたので本当に感謝です。貴方に頼んでよかった!」
そう言って村長は僕の肩を叩く。
「あと、6日間よろしくお願いしますよ!」
「はい。」
そう言って村長はその場を後にする。
「・・・さて。」
僕はゴブリンたちの耳に手を伸ばして切り取る。
魔物討伐の際にはその証となる魔物の一部を提出する必要がある。
1匹、2リルが駆除報酬に加算される。
「こんなモノか。」
ゴブリンの耳を井戸で汲んだ水で洗った後に袋に入れる。
「さて、コイツ等は焼却しないとな。」
僕はゴブリンの死体を担ぎ村の外に持っていく。
そして、全部運び込んだ後に用意しておいた薪を敷き詰めておがくずをゴブリンたちに降りかける。
そして、最後に街で買ってきた専用の油を数滴たらして火をつける。
すると、瞬く間に火はゴブリンの身体を包み込む。
「さすが、死体焼却用の油だな・・・。」
謳い文句が
『数滴たらすだけで骨だけに!』
というのは誇張でも何でもないようだ。
「しかし、今回は上手くいってよかったな・・・。」
炎を見つめながら昨日のことを考えていると後ろから声を掛けられる。
「ショウマさん?」
そこには籠を背中に背負ったマーサさんが立っていた。
「こんな所で何をしているんですか?」
「ゴブリンの焼却をしているんです。」
「焼却?」
マーサさんは首を傾げる。
僕はそんなマーサさんに説明をする。
ゴブリンの死体からはゴブリン特有の特別な臭いが発生される。
それを放置していると魔物たちが集まってくるためこうやって死体を焼却しなければならない。
「でも、ショウマさんは凄いですね!一人でこれだけのゴブリンを倒してしまうなんて!」
「いえ、今回は運が良かっただけですよ。」
「謙遜しなくても・・・。」
「謙遜ではありませんよ。今回こうやって倒せたのはどうやれば簡単にゴブリンたちを簡単に殺せるか事前に勉強していたからです。」
「勉強・・・ですか?」
「はい、仲間に教わりました。例えばコレとか・・・。」
そう言って取り出したのは閃光玉だった。
「例えばゴブリンは光に弱いと分かっていたからこの道具で視界を奪う方法を思いつきました。視界を奪うことが出来たらゴブリンがどのような行動に出るか予想が出来ます。」
「予想ですか?」
「はい。ゴブリンは魔力でも相手の大まかな位置や力量を見ることが出来るそうです。なので、こんな感じにすれば・・・。」
僕は集中して魔力を遮断させる。
「これは?」
「魔力遮断です。魔力を一時的に内に引っ込めることが出来るんです。」
魔力の遮断は強化魔法と一緒によく使われる手法だ。
魔力遮断によって魔力回復を効率化させることが出来る。
ただし、一度遮断させると魔力を循環させるまで2分ほどの掛かってしまう。
使われることが少ない魔法なのだが今回はそれが使える。
(ほとんどの魔物は魔力を持たないから僕の破魔魔法役に立たないし、だからといって強化魔法は僕の魔法で無効化されるから意味がない。)
今回のように魔力で位置を確認できる相手には隠密能力として効果があるということだ。
まあ、破魔魔法のことを教えるわけにはいかないから上手く説明は出来ないけど・・・。
「凄い!つまり、ショウマさんは強化魔法を使わずにゴブリンたちを倒したんですね!?」
「まあ、そうなりますね。」
「凄い!凄い!もっとお話を聞かせてください!」
マーサさんは目を輝かせながら僕に話をせがんだ。
僕も夜まで暇だったので彼女といろいろ話すことにした。
「いやぁ・・・。まさか、ここまで上手くいくとは・・・。」
村長が驚いたようにゴブリンたちの死体を見る。
「運が良かっただけです。」
そう言う僕に村長は首を振る。
「いやいや・・・。農作物の被害も最小限でしたので本当に感謝です。貴方に頼んでよかった!」
そう言って村長は僕の肩を叩く。
「あと、6日間よろしくお願いしますよ!」
「はい。」
そう言って村長はその場を後にする。
「・・・さて。」
僕はゴブリンたちの耳に手を伸ばして切り取る。
魔物討伐の際にはその証となる魔物の一部を提出する必要がある。
1匹、2リルが駆除報酬に加算される。
「こんなモノか。」
ゴブリンの耳を井戸で汲んだ水で洗った後に袋に入れる。
「さて、コイツ等は焼却しないとな。」
僕はゴブリンの死体を担ぎ村の外に持っていく。
そして、全部運び込んだ後に用意しておいた薪を敷き詰めておがくずをゴブリンたちに降りかける。
そして、最後に街で買ってきた専用の油を数滴たらして火をつける。
すると、瞬く間に火はゴブリンの身体を包み込む。
「さすが、死体焼却用の油だな・・・。」
謳い文句が
『数滴たらすだけで骨だけに!』
というのは誇張でも何でもないようだ。
「しかし、今回は上手くいってよかったな・・・。」
炎を見つめながら昨日のことを考えていると後ろから声を掛けられる。
「ショウマさん?」
そこには籠を背中に背負ったマーサさんが立っていた。
「こんな所で何をしているんですか?」
「ゴブリンの焼却をしているんです。」
「焼却?」
マーサさんは首を傾げる。
僕はそんなマーサさんに説明をする。
ゴブリンの死体からはゴブリン特有の特別な臭いが発生される。
それを放置していると魔物たちが集まってくるためこうやって死体を焼却しなければならない。
「でも、ショウマさんは凄いですね!一人でこれだけのゴブリンを倒してしまうなんて!」
「いえ、今回は運が良かっただけですよ。」
「謙遜しなくても・・・。」
「謙遜ではありませんよ。今回こうやって倒せたのはどうやれば簡単にゴブリンたちを簡単に殺せるか事前に勉強していたからです。」
「勉強・・・ですか?」
「はい、仲間に教わりました。例えばコレとか・・・。」
そう言って取り出したのは閃光玉だった。
「例えばゴブリンは光に弱いと分かっていたからこの道具で視界を奪う方法を思いつきました。視界を奪うことが出来たらゴブリンがどのような行動に出るか予想が出来ます。」
「予想ですか?」
「はい。ゴブリンは魔力でも相手の大まかな位置や力量を見ることが出来るそうです。なので、こんな感じにすれば・・・。」
僕は集中して魔力を遮断させる。
「これは?」
「魔力遮断です。魔力を一時的に内に引っ込めることが出来るんです。」
魔力の遮断は強化魔法と一緒によく使われる手法だ。
魔力遮断によって魔力回復を効率化させることが出来る。
ただし、一度遮断させると魔力を循環させるまで2分ほどの掛かってしまう。
使われることが少ない魔法なのだが今回はそれが使える。
(ほとんどの魔物は魔力を持たないから僕の破魔魔法役に立たないし、だからといって強化魔法は僕の魔法で無効化されるから意味がない。)
今回のように魔力で位置を確認できる相手には隠密能力として効果があるということだ。
まあ、破魔魔法のことを教えるわけにはいかないから上手く説明は出来ないけど・・・。
「凄い!つまり、ショウマさんは強化魔法を使わずにゴブリンたちを倒したんですね!?」
「まあ、そうなりますね。」
「凄い!凄い!もっとお話を聞かせてください!」
マーサさんは目を輝かせながら僕に話をせがんだ。
僕も夜まで暇だったので彼女といろいろ話すことにした。
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