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第一章
18話
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メリッサの魔力に反応して屋敷にある“モノ”が動き出す。
書斎のドアが開き書斎にあった本やドアから入ってきた食器、人形、果てには様々な家具などもまるで命を吹き込まれたかのように動き出す。
「これは、ポルターガイスト!?」
『・・・この物量、防ぐことは出来るかしら?』
メリッサはそれらを僕に向けて放つ。
「くっ!皆、書斎から出よう!」
僕たちは書斎から急いで出る。
それにより入口に大きな家具などは書斎の入り口に引っかかり後ろから破壊音がする。
「ショウマ様!どこに向かうのですか!?」
「広いところで家具が少ない場所に向かおう!ソーマさん達は魔力の方は戻りましたか?」
「いえ・・・。」
アルスやカーラさんの方を見ると二人共ケモ耳が復活していない。
「・・・正直、今の戦力で勝てるかどうかわかりませんね。」
「申し訳ありません。俺たちが操られたばかりに・・・。」
「いえ、僕たちを逃がすために捕まってしまったのですから気にしないでください。」
そんな風に話しているとホールに到着する。
「・・・今の状況を嘆いていてもしょうがない。今の戦力でどうにかするしかない!」
アルスが剣を構える。
「ええ・・・。」
カーラさんとソーマさんも剣を構える。
「ショウマ殿。メリッサの魔力を無効化できますか?」
「さっき受け止めた感じだと出来ると思います。」
さっきあの魔力を食らったとき、すぐに自身の魔力を発動すると相殺された。
「貴方の魔力は後どれぐらい残っていますか?」
「・・・完全な無効化をするとなるとあと1・2回だと思います。」
「なら、人形などは俺たちが引き受ける。」
「アルス?」
「もしかしたら、お前の魔法ならあの女をなんとかできるかもしれない。なら、そこまでの道は俺たちが切り開く。」
「ですね・・・。まあ、出来る限りのことはやりますよ。」
カーラさんもアルスの言葉に頷く。
「頼みましたよ、ショウマ様。」
「・・・わかりました。」
『・・・やっと追いついたわ。』
その時、メリッサが屋敷の奥から現れた。
『もう、逃げ場はないわ・・・。』
「ええ・・・。でも、もう逃げるつもりはありません。」
『なに・・・?』
「ここで、貴方を倒します!」
僕は走る。
メリッサはポルターガイストで人形などを飛ばしてきた。
「させるか!」
向かってくる人形をソーマさんが切り落とす。
「走れ、ショウマ!」
アルスが人形たちを切り落としながら叫ぶ。
僕は盾を構えながら魔力を練った。
『この!』
メリッサはミイラ男を差し向ける。
「あっ・・・あぁ・・・。」
ミイラ男は緩慢な動きで避けようとしたが・・・。
「ショウマ様!盾を構えて!」
カーラさんの叫びに僕は咄嗟に盾を構える。
すると、盾に斬撃が飛ぶ。
「なっ!?」
僕は斬撃の衝撃で後ろに数歩下がる。
そこにカーラさんが隣に立つ。
「気を付けて、ショウマ様!あの死体から魔力を感じる!」
そう言われて僕はミイラ男を見る。
すると、ミイラ男からどす黒い魔力が漂っていた。
「・・・カーラさん。あの魔法は一体・・・?」
「わかりません・・・。ただ、さっきの魔法は風魔法でした。」
「つまり、あのミイラ男は風魔法の使い手?」
「でも、あの魔力の色は風魔法の魔力の色ではありません・・・。まるで、いくつもの魔力を混ぜたような・・・。」
カーラさんの言葉に僕はメリッサの言葉を思い出した。
彼女は確かこう言ったのだ。
『見て、コウ。貴方の一族を虐殺した男はこうして永遠の苦しみを与えているの・・・。この男の中には他にもいろいろと詰まっているのだけども・・・。』
「もしかしたら、あのミイラ男の中には風魔法の他にも魔力があるのかも・・・。」
「そんな!そんなことが可能なはずは・・・。」
しかし、僕の推測はどうやら当たっていたようでミイラ男は緩慢な動きで魔法を発動させる。
今度は炎を僕達に投げつけてきた。
「・・・くっ!」
僕とカーラさんは炎を避ける。
炎は操られた家具に燃え移る。
「・・・信じられません。魔力は例外なく一人一つのみのはずなのに・・・。」
「でも、実際に居るのですから・・・。」
僕はミイラ男から距離を取る。
ミイラ男の動きは緩慢でありながらもそこから放たれる魔法は強力で近づくことが出来なかった。
「まずはあのミイラ男を無力化しないと・・・。」
しかし、僕の破魔魔法は対象に触れることでしか発動できない。
「近づくことさえできれば・・・。」
「なら、私が囮になります!」
「カーラさん?」
「私が死体の攻撃を引き付けますのでその隙にショウマ様は死体に破魔魔法を!」
「危険です!いつものカーラさんならともかく、今のカーラさんだと・・・。」
「この方法しかありません!では、後は任せましたよ!」
「カーラさん!」
カーラさんはミイラ男に側面から攻撃を掛ける。
しかし、早さが足りない。
カーラさんにミイラ男の魔法をもろに食らい炎に包まれる。
「カーラさん!?」
しかし、カーラさんは炎に包まれながらもミイラ男に剣を突き立てた。
「あっ・・・あぁ・・・・!!!」
ミイラ男は発狂したようにカーラさんに魔法を食らわせようとする。
「ショウマ様、今です!」
「はい!」
僕はミイラ男に接近して魔力を練る。
「これで、終わりだ!」
ミイラ男に魔力を流し込む。
すると、銀の魔力がミイラ男に流れ込む。
「あぁ!!!!!」
ミイラ男は苦しみの余り暴れだす。
やけどを負ったカーラさんを担いでミイラ男から離れると次の瞬間ミイラ男から大量のどす黒い魔力が噴出した。
「あぁ!!!!」
どす黒い魔力は洋館の天井を穿ち空に噴出する。
魔力と反比例でミイラ男の動きが徐々に大人しくなり魔力の噴出が終わるとミイラ男は灰となって消えた。
「・・・やりましたね。」
カーラさんは嬉しそうに言うが僕はそんなカーラさんを睨む。
「・・・カーラさん、無茶が過ぎます。」
「でも、あの死体を倒すことが出来ました。」
「それでも、もうこんな無茶は止めてください。」
「・・・はい。」
カーラさんは静かに答えるのだった。
書斎のドアが開き書斎にあった本やドアから入ってきた食器、人形、果てには様々な家具などもまるで命を吹き込まれたかのように動き出す。
「これは、ポルターガイスト!?」
『・・・この物量、防ぐことは出来るかしら?』
メリッサはそれらを僕に向けて放つ。
「くっ!皆、書斎から出よう!」
僕たちは書斎から急いで出る。
それにより入口に大きな家具などは書斎の入り口に引っかかり後ろから破壊音がする。
「ショウマ様!どこに向かうのですか!?」
「広いところで家具が少ない場所に向かおう!ソーマさん達は魔力の方は戻りましたか?」
「いえ・・・。」
アルスやカーラさんの方を見ると二人共ケモ耳が復活していない。
「・・・正直、今の戦力で勝てるかどうかわかりませんね。」
「申し訳ありません。俺たちが操られたばかりに・・・。」
「いえ、僕たちを逃がすために捕まってしまったのですから気にしないでください。」
そんな風に話しているとホールに到着する。
「・・・今の状況を嘆いていてもしょうがない。今の戦力でどうにかするしかない!」
アルスが剣を構える。
「ええ・・・。」
カーラさんとソーマさんも剣を構える。
「ショウマ殿。メリッサの魔力を無効化できますか?」
「さっき受け止めた感じだと出来ると思います。」
さっきあの魔力を食らったとき、すぐに自身の魔力を発動すると相殺された。
「貴方の魔力は後どれぐらい残っていますか?」
「・・・完全な無効化をするとなるとあと1・2回だと思います。」
「なら、人形などは俺たちが引き受ける。」
「アルス?」
「もしかしたら、お前の魔法ならあの女をなんとかできるかもしれない。なら、そこまでの道は俺たちが切り開く。」
「ですね・・・。まあ、出来る限りのことはやりますよ。」
カーラさんもアルスの言葉に頷く。
「頼みましたよ、ショウマ様。」
「・・・わかりました。」
『・・・やっと追いついたわ。』
その時、メリッサが屋敷の奥から現れた。
『もう、逃げ場はないわ・・・。』
「ええ・・・。でも、もう逃げるつもりはありません。」
『なに・・・?』
「ここで、貴方を倒します!」
僕は走る。
メリッサはポルターガイストで人形などを飛ばしてきた。
「させるか!」
向かってくる人形をソーマさんが切り落とす。
「走れ、ショウマ!」
アルスが人形たちを切り落としながら叫ぶ。
僕は盾を構えながら魔力を練った。
『この!』
メリッサはミイラ男を差し向ける。
「あっ・・・あぁ・・・。」
ミイラ男は緩慢な動きで避けようとしたが・・・。
「ショウマ様!盾を構えて!」
カーラさんの叫びに僕は咄嗟に盾を構える。
すると、盾に斬撃が飛ぶ。
「なっ!?」
僕は斬撃の衝撃で後ろに数歩下がる。
そこにカーラさんが隣に立つ。
「気を付けて、ショウマ様!あの死体から魔力を感じる!」
そう言われて僕はミイラ男を見る。
すると、ミイラ男からどす黒い魔力が漂っていた。
「・・・カーラさん。あの魔法は一体・・・?」
「わかりません・・・。ただ、さっきの魔法は風魔法でした。」
「つまり、あのミイラ男は風魔法の使い手?」
「でも、あの魔力の色は風魔法の魔力の色ではありません・・・。まるで、いくつもの魔力を混ぜたような・・・。」
カーラさんの言葉に僕はメリッサの言葉を思い出した。
彼女は確かこう言ったのだ。
『見て、コウ。貴方の一族を虐殺した男はこうして永遠の苦しみを与えているの・・・。この男の中には他にもいろいろと詰まっているのだけども・・・。』
「もしかしたら、あのミイラ男の中には風魔法の他にも魔力があるのかも・・・。」
「そんな!そんなことが可能なはずは・・・。」
しかし、僕の推測はどうやら当たっていたようでミイラ男は緩慢な動きで魔法を発動させる。
今度は炎を僕達に投げつけてきた。
「・・・くっ!」
僕とカーラさんは炎を避ける。
炎は操られた家具に燃え移る。
「・・・信じられません。魔力は例外なく一人一つのみのはずなのに・・・。」
「でも、実際に居るのですから・・・。」
僕はミイラ男から距離を取る。
ミイラ男の動きは緩慢でありながらもそこから放たれる魔法は強力で近づくことが出来なかった。
「まずはあのミイラ男を無力化しないと・・・。」
しかし、僕の破魔魔法は対象に触れることでしか発動できない。
「近づくことさえできれば・・・。」
「なら、私が囮になります!」
「カーラさん?」
「私が死体の攻撃を引き付けますのでその隙にショウマ様は死体に破魔魔法を!」
「危険です!いつものカーラさんならともかく、今のカーラさんだと・・・。」
「この方法しかありません!では、後は任せましたよ!」
「カーラさん!」
カーラさんはミイラ男に側面から攻撃を掛ける。
しかし、早さが足りない。
カーラさんにミイラ男の魔法をもろに食らい炎に包まれる。
「カーラさん!?」
しかし、カーラさんは炎に包まれながらもミイラ男に剣を突き立てた。
「あっ・・・あぁ・・・・!!!」
ミイラ男は発狂したようにカーラさんに魔法を食らわせようとする。
「ショウマ様、今です!」
「はい!」
僕はミイラ男に接近して魔力を練る。
「これで、終わりだ!」
ミイラ男に魔力を流し込む。
すると、銀の魔力がミイラ男に流れ込む。
「あぁ!!!!!」
ミイラ男は苦しみの余り暴れだす。
やけどを負ったカーラさんを担いでミイラ男から離れると次の瞬間ミイラ男から大量のどす黒い魔力が噴出した。
「あぁ!!!!」
どす黒い魔力は洋館の天井を穿ち空に噴出する。
魔力と反比例でミイラ男の動きが徐々に大人しくなり魔力の噴出が終わるとミイラ男は灰となって消えた。
「・・・やりましたね。」
カーラさんは嬉しそうに言うが僕はそんなカーラさんを睨む。
「・・・カーラさん、無茶が過ぎます。」
「でも、あの死体を倒すことが出来ました。」
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