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第一章
17話
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「彼女が・・・。」
「ああ・・・。」
メリッサを見るコウさんは険しい顔をして言う。
『貴方とこうやって顔を合わせるのは50年ぶりかしら?』
「そうだな・・・。」
『あの日、貴方は私を迎えに来てくれなかった・・・。まあ、理由は分かっているわ。』
「・・・。」
『貴方の一族には本当に申し訳ないことをしたわ・・・。』
「・・・それはお前のせいじゃない。」
『だから、私頑張ったんだよ。』
そう言うとメリッサは書斎の椅子を回す。
その椅子には何かが座っていた。
「ひっ!?」
シルビアが恐怖で声を上げる。
椅子に座っていたのはミイラだった。
「あ・・・あぁ・・・。」
『見て、コウ。貴方の一族を虐殺した男はこうして永遠の苦しみを与えているの・・・。この男の中には他にもいろいろと詰まっているのだけども・・・。』
メリッサはつまらなそうに言う。
ミイラの男は苦しそうに声を上げている。
『私ね・・・。貴方が死んだ後に無理やり結婚させられたの・・・。もう、本当につらかったわ。結婚相手は本当にどうしようもないクズでね・・・。そんな時、ある人から貴方がどうなったか聞いたの。』
メリッサは禍々しい魔力を纏う。そして、ミイラ男に魔力を流し込む。
「ぐわぁ・・・・!!!」
ミイラ男は魔力を流された瞬間、壮絶な叫び声をあげる。
『そして、私は貴方の無念を晴らすために私の全てを引き換えにその人から力をもらったわ。まずはこの男を・・・。』
忌々しそうにミイラ男を見るメリッサ。
ミイラ男は発狂してただただ叫ぶのみだ。
『この男を殺すのは簡単だったわ。でも、それだけじゃ満足できなかった・・・。だから、この男には呪いをかけたの・・・。』
「呪い?」
『ええ・・・。「死ぬことが出来ない呪い」。どんなに傷つけても瀕死の状態で生き返る。しかも、意識をなくすことは出来ない。この男には相応しい罰ではないかしら?』
メリッサはクスクスと笑いだす。
『この男の前で継母や妾、それから親類たちをいたぶってあげたわ・・・。もう傑作だった。この男なんて言ったと思う?「私が悪かった、許してくれ。」だって。あの時の男の顔を貴方にも見せたかったわ。』
「メリッサ・・・。」
『貴方が来るまで長かったわ・・・。ねぇ、コウ。この世界は理不尽が多いと思わない?』
「・・・。」
『地位や権力さえあれば人間の尊厳なんて無いに等しいわ・・・。同じ人間なのにまるで道具のように私たちを道具のように扱う・・・。なら、そんな人間たちはほろんだ方がよくないかしら?』
「・・・何を言っているんだ?」
『ねぇ、コウ。この世界は私と一緒にこの世界の人間たちを滅ぼしましょう?』
「なっ!?」
コウさんは驚愕の声を上げる。
『私、まだ足りないの・・・。人を殺せば殺すほど・・・もっと、もっと・・・ってなるの。』
「・・・お前。」
『ねぇ、殺し尽くしましょう?醜い人間たちを・・・。他者を利用し続ける人間たちを殺し尽くしましょう?』
メリッサは笑っていた。
その笑顔は狂気に満ちており恐怖を覚える。
「・・・それは出来ない。」
『コウ?』
「メリッサ・・・。お前は狂気に囚われている!お前がやっていることはこの男と同じことだ!いや・・・それ以上に愚かなことだ!」
『・・・。』
「目を覚ませ、メリッサ!お前はそんな人間じゃなかっただろう!?」
『・・・。』
「もう、お前の目的は達した!なら、もう俺と一緒に逝こう!俺達死者がいつまでも現世に居ちゃいけないんだ!」
『・・・もういい・・・。』
メリッサの魔力が増大する。
『なら、無理やりにでも貴方を手に入れる!もう、逆らえないように徹底的に屈服させて・・・!』
メリッサの言葉と同時に禍々しい魔力がコウさんに迫る。
「させるか!」
僕はコウさんの前に躍り出て魔力を受け止める。
すると、禍々しい魔力は僕に纏わりつくが次の瞬間、霧散した。
『なに!?』
「・・・ショウマ殿。」
「僕も力を貸します!だから、メリッサさんを止めましょう!」
「・・・ああ!」
『邪魔を・・・するなぁ!!』
メリッサの魔力が増大する。
僕は盾を構える。
「ああ・・・。」
メリッサを見るコウさんは険しい顔をして言う。
『貴方とこうやって顔を合わせるのは50年ぶりかしら?』
「そうだな・・・。」
『あの日、貴方は私を迎えに来てくれなかった・・・。まあ、理由は分かっているわ。』
「・・・。」
『貴方の一族には本当に申し訳ないことをしたわ・・・。』
「・・・それはお前のせいじゃない。」
『だから、私頑張ったんだよ。』
そう言うとメリッサは書斎の椅子を回す。
その椅子には何かが座っていた。
「ひっ!?」
シルビアが恐怖で声を上げる。
椅子に座っていたのはミイラだった。
「あ・・・あぁ・・・。」
『見て、コウ。貴方の一族を虐殺した男はこうして永遠の苦しみを与えているの・・・。この男の中には他にもいろいろと詰まっているのだけども・・・。』
メリッサはつまらなそうに言う。
ミイラの男は苦しそうに声を上げている。
『私ね・・・。貴方が死んだ後に無理やり結婚させられたの・・・。もう、本当につらかったわ。結婚相手は本当にどうしようもないクズでね・・・。そんな時、ある人から貴方がどうなったか聞いたの。』
メリッサは禍々しい魔力を纏う。そして、ミイラ男に魔力を流し込む。
「ぐわぁ・・・・!!!」
ミイラ男は魔力を流された瞬間、壮絶な叫び声をあげる。
『そして、私は貴方の無念を晴らすために私の全てを引き換えにその人から力をもらったわ。まずはこの男を・・・。』
忌々しそうにミイラ男を見るメリッサ。
ミイラ男は発狂してただただ叫ぶのみだ。
『この男を殺すのは簡単だったわ。でも、それだけじゃ満足できなかった・・・。だから、この男には呪いをかけたの・・・。』
「呪い?」
『ええ・・・。「死ぬことが出来ない呪い」。どんなに傷つけても瀕死の状態で生き返る。しかも、意識をなくすことは出来ない。この男には相応しい罰ではないかしら?』
メリッサはクスクスと笑いだす。
『この男の前で継母や妾、それから親類たちをいたぶってあげたわ・・・。もう傑作だった。この男なんて言ったと思う?「私が悪かった、許してくれ。」だって。あの時の男の顔を貴方にも見せたかったわ。』
「メリッサ・・・。」
『貴方が来るまで長かったわ・・・。ねぇ、コウ。この世界は理不尽が多いと思わない?』
「・・・。」
『地位や権力さえあれば人間の尊厳なんて無いに等しいわ・・・。同じ人間なのにまるで道具のように私たちを道具のように扱う・・・。なら、そんな人間たちはほろんだ方がよくないかしら?』
「・・・何を言っているんだ?」
『ねぇ、コウ。この世界は私と一緒にこの世界の人間たちを滅ぼしましょう?』
「なっ!?」
コウさんは驚愕の声を上げる。
『私、まだ足りないの・・・。人を殺せば殺すほど・・・もっと、もっと・・・ってなるの。』
「・・・お前。」
『ねぇ、殺し尽くしましょう?醜い人間たちを・・・。他者を利用し続ける人間たちを殺し尽くしましょう?』
メリッサは笑っていた。
その笑顔は狂気に満ちており恐怖を覚える。
「・・・それは出来ない。」
『コウ?』
「メリッサ・・・。お前は狂気に囚われている!お前がやっていることはこの男と同じことだ!いや・・・それ以上に愚かなことだ!」
『・・・。』
「目を覚ませ、メリッサ!お前はそんな人間じゃなかっただろう!?」
『・・・。』
「もう、お前の目的は達した!なら、もう俺と一緒に逝こう!俺達死者がいつまでも現世に居ちゃいけないんだ!」
『・・・もういい・・・。』
メリッサの魔力が増大する。
『なら、無理やりにでも貴方を手に入れる!もう、逆らえないように徹底的に屈服させて・・・!』
メリッサの言葉と同時に禍々しい魔力がコウさんに迫る。
「させるか!」
僕はコウさんの前に躍り出て魔力を受け止める。
すると、禍々しい魔力は僕に纏わりつくが次の瞬間、霧散した。
『なに!?』
「・・・ショウマ殿。」
「僕も力を貸します!だから、メリッサさんを止めましょう!」
「・・・ああ!」
『邪魔を・・・するなぁ!!』
メリッサの魔力が増大する。
僕は盾を構える。
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