11 / 62
第一章
10話
しおりを挟む
「破魔魔法っていうと私と同じ、銀の魔女の・・・。」
「うん、僕も君と同じだよ。」
「では、彼女も銀の魔女の・・・?」
マリアはシルビアを見ていた。
「彼女はシルバーウルフが人間に変化した姿なんです。」
「えっ!?」
マリアは驚いた顔をする。
「契約の際になぜかしら人間の姿になったんですよね・・・。」
「うん!」
シルビアは嬉しそうに返事をする。
「まあ、同じ境遇の人間としては君達を放っておけないんです。だから、僕らと一緒に行きませんか?」
「貴方と?」
「はい!旅は道連れ、世は情けと昔の人が言っていますし・・・。」
「お兄様、どうしましょう?」
「・・・確かに今後のことを考えると一緒に行動するのは理にかなっているが・・・。」
アルスは僕の提案に頷くが・・・。
「ショウマ様、それは危険です。」
そう言うのはソーマさんだった。
「彼らと行動を共にするということはさっきのような人間が襲ってくるということですよ!?」
「・・・そうだね。でも、彼らを見捨てたとしてもシルビアのこの姿を見れば僕らも同じ状況になると思うよ?」
そう言ってシルビアを指さす。
シルビアの髪は銀髪でマリアと比べても姉妹なのではないかと疑うレベルだ。
「それは・・・。」
「アルスさんの剣技を見てもかなりの使い手です。ソーマさんとカーラさんと合わされば大抵の敵はどうにかできるでしょう・・・。」
僕はソーマさんの目を見る。
「ただの親切心ではなく戦力増強という側面があるんです。」
そして、アルスを見る。
「ここまで聞いてどうするかはアルスさんとマリアさんはどうしますか?」
「・・・。」
アルスは僕を真剣な目で見る。
僕はその視線を真正面から受け止めた。
「お兄様、私はこの人のことを信じたいと思います。」
「マリア?」
「この人たちは私たちを助けてくれました。話さなくても良いことも話してくれて意思を確認してくれました。十分に信頼できると思います。」
「・・・お前が言うなら。」
アルスも納得したようで頷く。
「わかった、その提案に乗ろう。」
「ありがとうございます、これからよろしくお願いしますね、アルスさん、マリアさん。」
「アルスで良い。」
「私もマリアとお呼びください。」
「では、アルス、マリア。これからよろしくお願いします。」
こうして、僕たちは一緒に行動することになった。
それから僕たちはシニネン王国に向かう道中で話をする。
「へぇ・・・。シルビアとはあの森で出会ったんだな?」
「うん、その時ゴブリンの大群に襲われたんですよ・・・。」
「主様は私を抱えながら逃げてくれたんだよ!」
シルビアは嬉しそうに言うがあの時の恐怖はさっきのならず者たちのリーダーと対峙した時よりも強いモノだった。
「しかし、お前が女だったら本当にヤバかっただろうな・・・。」
「どういうことです?」
アルスが説明してくれる。
ゴブリンは討伐ランクEの魔物だ。
村人でも一匹程度ならやられることはないほど弱い魔物だが10匹集まると駆け出しの冒険者なら簡単に全滅の憂き目に遭うという。
しかし、ただ殺されるだけならまだよい方で女性がゴブリンに捕まると悲惨なものだということだ。
ゴブリンたちは種にメスが居らず、全部オスだ。
そのため、村や討伐に来た冒険者たちの女性を攫い弱らせた後、輪姦する。
ゴブリンたちの性欲は果てしなく、丸一日何度も犯すので例え、救助されたとしてもその女性は精神を壊されてしまう。
ある冒険者は、ゴブリンの巣を殲滅した際に女性たちが捕まっている場所に行ったらそこにはただただ、ゴブリンたちと女性たちの体液の臭いで吐いたという。
その女性たちも虚ろな目でただ「殺して・・・。」と呟いたそうだ。
「救助された女性は大体、数か月で衰弱死するということだ。」
「酷いですね・・・。」
「ああ・・・。ゴブリンは確かに弱いし頭も悪いけど狡猾で残虐だ。多くの駆け出し冒険者はこの事実を知らないで大抵殺されていると聞く。」
「駆け出しの冒険者にはこの事実を知らせていないんですか?」
「そんなことはないさ。だが、村でゴブリンと戦ったことがある奴はこの話を信じないのさ・・・。一匹程度なら本当に弱いからな・・・。」
さらにアルスはゴブリンのことを話してくれる。
ゴブリンの繁殖能力も高く、女性一人に大体3~4匹産ませる。
その幼体になるスピードも3か月程度でそれから2ヶ月で生体となる。
そして、産ませた後はまた女性を輪姦しての繰り返しで放っておくとものすごい数のゴブリンが出来上がるということだ。
「そのゴブリンが村を襲い、男は食料、女は孕ませ袋にすることで戦力を増やしていく。」
「なら、そうなる前にゴブリンを殲滅すれば・・・。」
「そういう訳にもいかないんだ。」
アルスは首を振る。
ゴブリン討伐の報奨金はかなり安いらしい。
そのため、中堅冒険者や上級冒険者になると皆受けたがらないということだ。
そう言う仕事は駆け出しの冒険者に回され、被害者が増えてゴブリンが増えるという悪循環が生まれたということだ。
「国では対処しないの?」
「難しいな・・・。国の兵士を動かすというのはかなり金がかかる。そんなことをすればすぐに国庫が空になってしまう。だから、冒険者に依頼するという形を取っているんだ。」
アルスはまた、説明をしてくれる。
国の兵士を動かすということはその兵士一人一人に特別手当を付けるとのこと。
さらに、一人怪我をすればその治療費も掛かる。
死んでしまうと遺族に支払うお金などを考えると気軽には動かせないとのことだ。
「今の世界情勢からしてもゴブリン程度に大切な兵士を消耗するのは避けたいだろうしな・・・。」
「でも、村を襲われれば税収とかが減るのでは?」
「貴族連中にとってはそんなの何とも思わないんだろう・・・。村の農民などはいくらでも生まれる消耗品としか考えていない連中もいるくらいだからな・・・。」
「酷いですね・・・。」
「まあ、俺が言いたいのはどんな相手にも油断をするなということだ。」
アルスはそう言葉を締めくくる。
僕は今回の話を聞いて思案するのだった。
「うん、僕も君と同じだよ。」
「では、彼女も銀の魔女の・・・?」
マリアはシルビアを見ていた。
「彼女はシルバーウルフが人間に変化した姿なんです。」
「えっ!?」
マリアは驚いた顔をする。
「契約の際になぜかしら人間の姿になったんですよね・・・。」
「うん!」
シルビアは嬉しそうに返事をする。
「まあ、同じ境遇の人間としては君達を放っておけないんです。だから、僕らと一緒に行きませんか?」
「貴方と?」
「はい!旅は道連れ、世は情けと昔の人が言っていますし・・・。」
「お兄様、どうしましょう?」
「・・・確かに今後のことを考えると一緒に行動するのは理にかなっているが・・・。」
アルスは僕の提案に頷くが・・・。
「ショウマ様、それは危険です。」
そう言うのはソーマさんだった。
「彼らと行動を共にするということはさっきのような人間が襲ってくるということですよ!?」
「・・・そうだね。でも、彼らを見捨てたとしてもシルビアのこの姿を見れば僕らも同じ状況になると思うよ?」
そう言ってシルビアを指さす。
シルビアの髪は銀髪でマリアと比べても姉妹なのではないかと疑うレベルだ。
「それは・・・。」
「アルスさんの剣技を見てもかなりの使い手です。ソーマさんとカーラさんと合わされば大抵の敵はどうにかできるでしょう・・・。」
僕はソーマさんの目を見る。
「ただの親切心ではなく戦力増強という側面があるんです。」
そして、アルスを見る。
「ここまで聞いてどうするかはアルスさんとマリアさんはどうしますか?」
「・・・。」
アルスは僕を真剣な目で見る。
僕はその視線を真正面から受け止めた。
「お兄様、私はこの人のことを信じたいと思います。」
「マリア?」
「この人たちは私たちを助けてくれました。話さなくても良いことも話してくれて意思を確認してくれました。十分に信頼できると思います。」
「・・・お前が言うなら。」
アルスも納得したようで頷く。
「わかった、その提案に乗ろう。」
「ありがとうございます、これからよろしくお願いしますね、アルスさん、マリアさん。」
「アルスで良い。」
「私もマリアとお呼びください。」
「では、アルス、マリア。これからよろしくお願いします。」
こうして、僕たちは一緒に行動することになった。
それから僕たちはシニネン王国に向かう道中で話をする。
「へぇ・・・。シルビアとはあの森で出会ったんだな?」
「うん、その時ゴブリンの大群に襲われたんですよ・・・。」
「主様は私を抱えながら逃げてくれたんだよ!」
シルビアは嬉しそうに言うがあの時の恐怖はさっきのならず者たちのリーダーと対峙した時よりも強いモノだった。
「しかし、お前が女だったら本当にヤバかっただろうな・・・。」
「どういうことです?」
アルスが説明してくれる。
ゴブリンは討伐ランクEの魔物だ。
村人でも一匹程度ならやられることはないほど弱い魔物だが10匹集まると駆け出しの冒険者なら簡単に全滅の憂き目に遭うという。
しかし、ただ殺されるだけならまだよい方で女性がゴブリンに捕まると悲惨なものだということだ。
ゴブリンたちは種にメスが居らず、全部オスだ。
そのため、村や討伐に来た冒険者たちの女性を攫い弱らせた後、輪姦する。
ゴブリンたちの性欲は果てしなく、丸一日何度も犯すので例え、救助されたとしてもその女性は精神を壊されてしまう。
ある冒険者は、ゴブリンの巣を殲滅した際に女性たちが捕まっている場所に行ったらそこにはただただ、ゴブリンたちと女性たちの体液の臭いで吐いたという。
その女性たちも虚ろな目でただ「殺して・・・。」と呟いたそうだ。
「救助された女性は大体、数か月で衰弱死するということだ。」
「酷いですね・・・。」
「ああ・・・。ゴブリンは確かに弱いし頭も悪いけど狡猾で残虐だ。多くの駆け出し冒険者はこの事実を知らないで大抵殺されていると聞く。」
「駆け出しの冒険者にはこの事実を知らせていないんですか?」
「そんなことはないさ。だが、村でゴブリンと戦ったことがある奴はこの話を信じないのさ・・・。一匹程度なら本当に弱いからな・・・。」
さらにアルスはゴブリンのことを話してくれる。
ゴブリンの繁殖能力も高く、女性一人に大体3~4匹産ませる。
その幼体になるスピードも3か月程度でそれから2ヶ月で生体となる。
そして、産ませた後はまた女性を輪姦しての繰り返しで放っておくとものすごい数のゴブリンが出来上がるということだ。
「そのゴブリンが村を襲い、男は食料、女は孕ませ袋にすることで戦力を増やしていく。」
「なら、そうなる前にゴブリンを殲滅すれば・・・。」
「そういう訳にもいかないんだ。」
アルスは首を振る。
ゴブリン討伐の報奨金はかなり安いらしい。
そのため、中堅冒険者や上級冒険者になると皆受けたがらないということだ。
そう言う仕事は駆け出しの冒険者に回され、被害者が増えてゴブリンが増えるという悪循環が生まれたということだ。
「国では対処しないの?」
「難しいな・・・。国の兵士を動かすというのはかなり金がかかる。そんなことをすればすぐに国庫が空になってしまう。だから、冒険者に依頼するという形を取っているんだ。」
アルスはまた、説明をしてくれる。
国の兵士を動かすということはその兵士一人一人に特別手当を付けるとのこと。
さらに、一人怪我をすればその治療費も掛かる。
死んでしまうと遺族に支払うお金などを考えると気軽には動かせないとのことだ。
「今の世界情勢からしてもゴブリン程度に大切な兵士を消耗するのは避けたいだろうしな・・・。」
「でも、村を襲われれば税収とかが減るのでは?」
「貴族連中にとってはそんなの何とも思わないんだろう・・・。村の農民などはいくらでも生まれる消耗品としか考えていない連中もいるくらいだからな・・・。」
「酷いですね・・・。」
「まあ、俺が言いたいのはどんな相手にも油断をするなということだ。」
アルスはそう言葉を締めくくる。
僕は今回の話を聞いて思案するのだった。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――


我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★


絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる