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第三章
31.狩り
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ゴブリンたちの襲撃から3週間の月日が経った。今、僕たちは森の奥に来ている。
「ポム君、獲物の注意を引くのを頼んだよ。」
「はい!」
そう言ってエレナさんは弓を引く。今目の前に居るのはボアという猪みたいなモンスターだ。そのモンスターのお肉はとても美味しい。
しかし、その性格は獰猛で一度暴れると並みの冒険者では手に負えない。
僕はそのボアの前にわざと大きな音を立てて躍り出る。ボアは最初驚いたがすぐに攻撃態勢を整える。
そして、ボアは僕に突撃してくる。
「「ウインド」」
僕は足元に風を起こして大きく飛ぶ。ボアは突撃の勢いを殺すことが出来ずに体勢を崩す。そこに矢が飛来する。
その矢はボアの後ろ左足に刺さる。ボアはその痛みに怯んでその場で固まる。
「やぁ!!」
僕はボアの頭目掛けて拳を叩きつける。ボアの頭蓋骨からメリっという音がした。間髪入れずに僕は小手のトリガーを引いて爪を突き刺す。
ボアは一瞬ビクっと痙攣した後にその大きな体を地面に横たえて動かなくなった。
「ナイスだよ!ポム!」
そう言ってエレナさんは木から降りてくる。
「いえ。エレナさんのサポートあってこそです。」
僕はそう言ってボアから爪を引き抜き小手に収納した。
「さて・・・。このボアを村に持ち帰ろう。今日の夕飯は豪華になるね!」
エレナさんは嬉しそうに言った。
「はい!」
僕もお肉が好きなので頷くのだった。
僕とエレナさんでボアを村に運んでいると、村の門のとこに2mを超える大男がいた。
「お!戻ってきたな!」
そう言ったのはオーガ族のドロンさんだった。その背中には大きな斧を背負っている。
「ドロン!今日の獲物は大きいわよ!」
エレナさんは尻尾を嬉しそうに振りながら言う。
「おお!ほんとだな!美味そうじゃねぇか!」
ドロンさんは僕たちが狩ってきたボアを見て感心したように頷く。
「・・・っと、そういえばさっきこの村に駐在することになる騎士たちが来たぜ!」
ドロンさんはボアから目線を外して言う。
「へぇ・・・。やっと来たんだ・・・。」
エレナさんはため息を吐く。
「今頃来たって遅いよ・・・。ゴブリンたちの襲撃があった日に来てくれればあたしたち、もっと楽できたのに・・・。」
「ホントだぜ。」
二人共呆れたように言う。そんな二人を窘めるように僕は言う。
「ミネアさんも言ってたじゃないですか・・・。王都の警護や帝国の国境警備のための人員の調整もあるから遅くなるって・・・。逆にこれだけ早く来てくれたことに感謝ですよ!」
「そうだけどさ・・・・。」
「ほら、僕たちはとりあえずボアを解体屋さんに持っていきましょう!」
そして、僕たちは村の食材の解体屋さんに向かった。
「おお、ポム君。これはまたデカいボアだな!」
そう言ったのは少し大柄なチビット族の男性だった。大柄と言っても1mほどだが、その体は筋肉質だ。
「ポソさん、解体お願いします。」
ちなみにポソさんは村長のポセさんの息子だ。
「おう!任せておけ!」
そう言ってポソさんはボアを受け取ると肉切包丁を持ってきてボアを見る見るうちに解体していく。その手際はまさに職人技だ。
「ポム。あたし、ちょっとミネア様の所に行ってくるね。」
「はい。」
僕が頷くとエレナさんは席を外す。
「ほれ!一番おいしい部位持って行けよ!」
そう言ってポソさんは肉の塊を僕によこす。その肉の塊は1kg程あった。
「ありがとうございます。」
「良いってことよ!お前さんらが来てからこの村の食生活はものすごくよくなったからな!」
僕らが来る前はこの村の主食は畑でとれた農作物と森の木の実、家畜の乳製品や卵だった。それだけでも生きてはいけるけど食べ盛りの子供からすると少々物足りない感じだった。
しかし、僕たちが狩りをするようになって肉が手に入り、そう言った問題は解消された。
「いえいえ。僕も良い訓練になりますから・・・。」
実際、この狩りのお陰で実戦経験を多く積むことが出来るようになった。
そう言う意味では僕にとっても良い経験だ。
「ポム。ミネアさんがみんな集まるようにって・・・。」
ボアの解体中に席を外していたエレナさんが僕を呼びに来た。
「わかりました。ポソさん、お肉ありがとうございます!」
「おう!」
そして、僕はエレナさんについていった。
「ポム君、獲物の注意を引くのを頼んだよ。」
「はい!」
そう言ってエレナさんは弓を引く。今目の前に居るのはボアという猪みたいなモンスターだ。そのモンスターのお肉はとても美味しい。
しかし、その性格は獰猛で一度暴れると並みの冒険者では手に負えない。
僕はそのボアの前にわざと大きな音を立てて躍り出る。ボアは最初驚いたがすぐに攻撃態勢を整える。
そして、ボアは僕に突撃してくる。
「「ウインド」」
僕は足元に風を起こして大きく飛ぶ。ボアは突撃の勢いを殺すことが出来ずに体勢を崩す。そこに矢が飛来する。
その矢はボアの後ろ左足に刺さる。ボアはその痛みに怯んでその場で固まる。
「やぁ!!」
僕はボアの頭目掛けて拳を叩きつける。ボアの頭蓋骨からメリっという音がした。間髪入れずに僕は小手のトリガーを引いて爪を突き刺す。
ボアは一瞬ビクっと痙攣した後にその大きな体を地面に横たえて動かなくなった。
「ナイスだよ!ポム!」
そう言ってエレナさんは木から降りてくる。
「いえ。エレナさんのサポートあってこそです。」
僕はそう言ってボアから爪を引き抜き小手に収納した。
「さて・・・。このボアを村に持ち帰ろう。今日の夕飯は豪華になるね!」
エレナさんは嬉しそうに言った。
「はい!」
僕もお肉が好きなので頷くのだった。
僕とエレナさんでボアを村に運んでいると、村の門のとこに2mを超える大男がいた。
「お!戻ってきたな!」
そう言ったのはオーガ族のドロンさんだった。その背中には大きな斧を背負っている。
「ドロン!今日の獲物は大きいわよ!」
エレナさんは尻尾を嬉しそうに振りながら言う。
「おお!ほんとだな!美味そうじゃねぇか!」
ドロンさんは僕たちが狩ってきたボアを見て感心したように頷く。
「・・・っと、そういえばさっきこの村に駐在することになる騎士たちが来たぜ!」
ドロンさんはボアから目線を外して言う。
「へぇ・・・。やっと来たんだ・・・。」
エレナさんはため息を吐く。
「今頃来たって遅いよ・・・。ゴブリンたちの襲撃があった日に来てくれればあたしたち、もっと楽できたのに・・・。」
「ホントだぜ。」
二人共呆れたように言う。そんな二人を窘めるように僕は言う。
「ミネアさんも言ってたじゃないですか・・・。王都の警護や帝国の国境警備のための人員の調整もあるから遅くなるって・・・。逆にこれだけ早く来てくれたことに感謝ですよ!」
「そうだけどさ・・・・。」
「ほら、僕たちはとりあえずボアを解体屋さんに持っていきましょう!」
そして、僕たちは村の食材の解体屋さんに向かった。
「おお、ポム君。これはまたデカいボアだな!」
そう言ったのは少し大柄なチビット族の男性だった。大柄と言っても1mほどだが、その体は筋肉質だ。
「ポソさん、解体お願いします。」
ちなみにポソさんは村長のポセさんの息子だ。
「おう!任せておけ!」
そう言ってポソさんはボアを受け取ると肉切包丁を持ってきてボアを見る見るうちに解体していく。その手際はまさに職人技だ。
「ポム。あたし、ちょっとミネア様の所に行ってくるね。」
「はい。」
僕が頷くとエレナさんは席を外す。
「ほれ!一番おいしい部位持って行けよ!」
そう言ってポソさんは肉の塊を僕によこす。その肉の塊は1kg程あった。
「ありがとうございます。」
「良いってことよ!お前さんらが来てからこの村の食生活はものすごくよくなったからな!」
僕らが来る前はこの村の主食は畑でとれた農作物と森の木の実、家畜の乳製品や卵だった。それだけでも生きてはいけるけど食べ盛りの子供からすると少々物足りない感じだった。
しかし、僕たちが狩りをするようになって肉が手に入り、そう言った問題は解消された。
「いえいえ。僕も良い訓練になりますから・・・。」
実際、この狩りのお陰で実戦経験を多く積むことが出来るようになった。
そう言う意味では僕にとっても良い経験だ。
「ポム。ミネアさんがみんな集まるようにって・・・。」
ボアの解体中に席を外していたエレナさんが僕を呼びに来た。
「わかりました。ポソさん、お肉ありがとうございます!」
「おう!」
そして、僕はエレナさんについていった。
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