僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです。 旧バージョン

わっしー

文字の大きさ
上 下
51 / 57

50話 それぞれの魔法 ダグラス・マリア編

しおりを挟む
その横で、マリアが弓を見ていた。
「マリアも新しい武器を?」
「はい!だけど、私の場合は姉さまやアルス兄様のような芸当は出来ないのでミスリル製にする必要はないのですけどね・・・。」
マリアの魔法は増幅魔法。
どちらかというと、皆を強化するのが主だ。
「私の場合は弓の強度がしっかりしていれば問題はありませんので弦の張りや重さなどを確認しているんです。」
そう言ってマリアは弓を持ちあげて重さを確認してから弓を引いては戻すを繰り返す。
それを何度かした後、一つの弓を見て頷く。
「これにします。私の力量だと、これが一番しっくりきますから・・・。」
そう言って選ばれたのはシンプルな弓だった。
「お客さん!お目が高い!この弓はオーク材を使用した弓でっせ!絃は「ジャイアント・スパイダー」の蜘蛛の糸を使っておりますので絃が緩みにくい特徴もあります!」
ジャイアント・スパイダーは討伐ランクDの魔物だ。
その糸は弾力性と強い強度を有しており建材などにも使用されることがある。
「矢はこちらに各種揃えています!」
そう言ってさまざまな矢が並んでいる。
「一番安価なのは杉で出来た矢で、一番効果なのはこの精霊加護を受けた樹の枝で作られた矢です。」
「ちなみに精霊の矢はいくらくらいするんですか?」
「1本、5000リルでっせ!」
「5000!?それはいくら何でも高くないですか?」
「いやいや、お客さん!これでもかなり良心的でっせ?」
精霊の加護を受けた樹の枝が取れるのはエルフの国ビヘレア王国の精霊の森のみだそうだ。
取れる数も限られておりほとんどはビヘレアの王国騎士団に献上されてしまうそうだ。
「この矢を手に入れるのもかなり大変でしたぜ!競売場での競りで何とか手に入りやしたけどそれはもう大変で大変で・・・。」
店主はその当時のことを思い出したように遠い目をしていた。
意外にこの店主はやり手なのかもしれない。
「では、一番安価な矢を頂きます。」
「ありがとうございやす!」
マリアも買うものが決まったようだ。
「ダグラスさんはどんなものを探しているんですか?」
僕はダグラスさんに声を掛ける。
「私は大きさを重視しています。」
「大きさですか?」
「はい。私は体格に恵まれていますので大剣か戦斧を選ぼうかと思います。」
そう言ってダグラスさんは約2m近い剣を片手で持ち上げて調子を確かめる。
「・・・店主。この店で一番重い剣か斧はどれだろうか?」
「でしたら、これなんか如何でしょうか?」
そう言って店主が指さしたのは全長が3m近い大剣だった。
「この大剣は重さが70㎏近くあって並みの人間なら持ち上げることすらできやしません!これを作った鍛冶師も何を考えていたんだか・・・。」
「ふむ・・・。」
そう言ってダグラスさんはその大剣に手を掛ける。
そして、持ち上げた。
「確かに少し重いな・・・。この剣の材質を聞いても?」
「材質は鉄が7割、ミスリルが3割使われとります。」
「なるほどな・・・。」
ダグラスさんはそう言うと全身から魔力を流す。
色は緑色。
瞬間、ダグラスさんの周囲に風が巻き起こる。
「ふん!」
ダグラスさんは軽く一振りすると風圧が発生した。
「私の魔法を使えば丁度良いですね・・・。店主、これはいくらくらいですか?」
「お買い上げで!?」
「ああ・・・。私はこれが良い。」
「なら、かなりお勉強させていただきやす!これで、いかがでしょう?」
そう言って店主はダグラスさんと話し始める。
ダグラスさんもいろいろと交渉をしている。
そして、数分後。
「旦那には負けましたぜ!これで手を打ちやそう!」
「ええ。よろしくお願いします。」
どうやら、話はまとまったようだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。 独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。 が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。 再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。 独自世界のゆるふわ設定です。 誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。 毎日0時にアップしていきます。 タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。 よろしくお願いします。 ※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。 ※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

処理中です...