僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです。 旧バージョン

わっしー

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35話 銀の聖女

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目の前のドラゴンの声を聞き僕はドラゴンを見つめる。
ドラゴンの目はさっきのような獰猛なものではなく理知的で穏やかな眼差しをしていた。
「待っていたとはどういうことですか?」
『言葉の意味よ、破魔の使い手。私は貴方に会える日を600年前から待っていたの・・・。』
ドラゴンの言葉に首を傾げる。
『まあ、話をするにはこの姿は適してないわね・・・。』
そう言うとドラゴンの身体が銀の光に包まれた。
光が収まるとそこには銀髪の綺麗な女性が立っていた。
「ショウマ様!大丈夫ですか?」
マリアさん達が駆け寄って来る。
「皆も大丈夫だった?」
「ああ。カイザー・ホーンたちの討伐は終わった。それで、そこの女は誰だ?」
アルスが銀髪の女性を指さす。
「私の名前はジーラ。シルバードラゴンのジーラよ。」
「シルバードラゴン!?」
スーダンさんが驚いた声を上げる。
「スーダンさん?」
「ショウマ、今すぐ離れろ!奴は銀の悪魔に仕える邪竜だ!呪われるぞ!!」
スーダンさんが剣を抜きジーラさんに向ける。
「・・・少し落ち着きなさい、獣人。今、貴方たちとことを構えるつもりはないわ。」
「そんなの信用できるか!?この邪竜が!」
「スーダンさん。」
僕はスーダンさんの肩に手を置く。
「彼女からは敵意を感じません。話を聞くぐらい良いではないですか?」
「しかし・・・。」
「私もジーラさんの話を聞きたいです。」
マリアさんもすかさずスーダンさんに言う。
「・・・わかった。お前たちには命を助けられたからな・・・。」
そう言ってスーダンさんは剣を鞘に納める。
「あなた・・・。」
ジーラさんはマリアさんを見て驚いていた。
「なんですか?」
「・・・いえ。貴方の顔が昔の知人に似ていたから・・・。」
そう言うジーラさんの目は懐かしそうで、しかし、どこか悲しそうなものだった。
「それで、僕を探していたというのはどういうことですか?」
「・・・私は600年前から破魔の使い手を探していたの。その理由は、今の魔王を倒すため・・・。」
ジーラさんが語りだす。
600年前、この世界は魔王の支配に苦しんでいた。
全ての種族が魔王の操る“天魔”によって蹂躙されていた。
その強さは圧倒的でこの世界からすべての種族が消え去ろうとした時、当時の帝国がある儀式を行った。
「もしかして・・・。」
「ええ・・・。勇者召喚が行われて6人の勇者が召喚されたわ。」
火の勇者、ソウエン。
水の勇者、カイト。
風の勇者、ソウマ。
土の勇者、ケンタ。
光の勇者、コウタ。
闇の勇者、アンヤ。
その6人が召喚され帝国の皇帝が魔王討伐を依頼した。
「彼らの強さは圧倒的だったわ。今まで倒すことが出来なかった天魔を彼らは倒して行ったわ。彼らはその後、魔王を倒しこの世界を救った。あとは、貴方たちが知っている通りよ。」
ジーラさんの話を聞いて僕は首を傾げる。
「あの・・・。それと、僕が何か関係があるのでしょうか?」
そう聞くと、ジーラさんは頷く。
「・・・実は6人の勇者の他にもう一人、魔王討伐に貢献した人間がいたの・・・。」
「・・・それは?」
「銀の聖女、メビィア。私の主人であり銀魔法の使い手よ。」
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