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31話 一次試験
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しばらく進むと姿を現した。
「見えたぞ・・・。奴らがゴブリンだ。」
先頭のスーダンさんが指を指す。
そこにいたのは緑の肌をした小人だった。
その姿は腰にボロ布を巻いている。頭は禿げあがっており体つきも貧相だ。
「奴らは今、食事中みたいだ。見てみろ、目の前には「ホーン・ピッグ」の死体が転がっている。どうやら行き倒れのホーン・ピッグの肉を食べているみたいだ。」
「なんで行き倒れと分かるのですか?」
「ホーン・ピッグは討伐ランクDの魔物だ。ゴブリンの数は4匹程度・・・。格上のホーン・ピッグに戦いを挑むには心もとない戦力だ。最低でも10匹はいないと倒すことは出来ないからな・・・。」
「そんなに差があるんですか?」
「ああ。」
スーダンさんが説明してくれる。
まず、討伐ランクについて説明してくれる。
ランクはGからSSまである。
その中でゴブリンはFランクの魔物だ。
Fランクの魔物は害獣指定ではあるが村人でも油断をしなければ倒せるレベルの魔物だ。
それに比べてホーン・ピッグはDランクの魔物だ。
これは新人冒険者が戦うには少し危険な魔物だ。村人なら見たら逃げた方がよいレベルの魔物。
ひとつランクが上の魔物を倒すにはその5倍の戦力が必要だ。
つまり、FランクのゴブリンがDランクのホーン・ピッグを倒すには10倍の戦力が必要だということだ。
「・・・まあ、あの数のゴブリンたちなら危険はない。大群だとやばいけどな・・・。」
「ええ・・・。ゴブリンたちの大群となるとその危険性は一気に跳ね上がるからね。その大群の襲撃を受けた村が壊滅したという話も聞くから軽視しないようにね。」
スーダンさんのあとにコーランさんが補足する。
「さて、ここからはお前たちの出番だ。準備は出来ているか?」
僕は後ろを振り向く。他のメンバーも頷く。
「よし!頑張れよ、お前達!」
スーダンさん達は後ろに下がる。
「まずはマリアさんが矢でゴブリンの気を引いて。」
「はい、ショウマ様。」
「アルスたちは背後からゴブリンを強襲。」
「わかった。」
「シルビアとジラルドはいざという時に僕たちのそばで待機。」
「わかったわ。」
皆が頷く。
「僕はマリアさんのそばで防御に徹します。今回は連携の確認ということで試験的にやります。みんな、よろしく。」
そして、僕たちはそれぞれ動き出す。
「マリアさん・・・今です。」
「はい!」
マリアさんは弓に矢を番えて放つ。その矢がゴブリンの腕に命中した。
「ぐぎゃあ!」
ゴブリンたちは慌てたようにそれぞれ得物を持つ。
「マリアさん!僕の後ろに!」
「はい!」
僕はすぐにマリアさんの前に立ちその左右にシルビアとジラルドが立つ。
『オンナダ・・・。』
『オンナハツカマエロ・・・。オトコハコロセ。』
『ハヤクアナニツッコミタイ・・・。』
マリアさんとシルビアを見るとゴブリンたちは口々に言う。
「まったく・・・あの下等生物共・・・。」
ジラルドが眉間にしわを寄せて睨む。
「マリアさんもゴブリンの声が聞こえるんだよね?」
「はい・・・。初めてこの力を持っていることが嫌に感じました。」
マリアさんは顔を赤くして言う。
ゴブリンたちは舌なめずりをしながら僕達に接近する。その間にも下品な言葉を言っている。
「さて、完全にゴブリンたちは僕達に夢中みたいだ・・・。今だよ、アルス!」
「ああ!」
そう言ってアルスたちがゴブリンの背後から接近して一閃する。
「ぎぃ?」
ゴブリンは何が起こったか分からずに首を落とす。
その後もダグラスさんの剣で胴を両断されるゴブリンやミーシャさんの槍で串刺しにされたりとあっという間に殲滅することが出来た。
「ふぅ・・・。みんな、お疲れ様。」
僕は盾をくっつける。
「お見事だった。」
スーダンさんたちが近づいて来る。
「ありがとうございます。」
「なんだか物足りないな・・・。」
アルスはゴブリンの血が付いた剣を布で拭く。
「さて、連携も良く出来ていたし一次試験は合格だ。お疲れ様。」
「ありがとうございます。」
「では、今度の試験は明日になる。今日はしっかりと休むように。」
こうして初めての実戦を終えるのだった。
「見えたぞ・・・。奴らがゴブリンだ。」
先頭のスーダンさんが指を指す。
そこにいたのは緑の肌をした小人だった。
その姿は腰にボロ布を巻いている。頭は禿げあがっており体つきも貧相だ。
「奴らは今、食事中みたいだ。見てみろ、目の前には「ホーン・ピッグ」の死体が転がっている。どうやら行き倒れのホーン・ピッグの肉を食べているみたいだ。」
「なんで行き倒れと分かるのですか?」
「ホーン・ピッグは討伐ランクDの魔物だ。ゴブリンの数は4匹程度・・・。格上のホーン・ピッグに戦いを挑むには心もとない戦力だ。最低でも10匹はいないと倒すことは出来ないからな・・・。」
「そんなに差があるんですか?」
「ああ。」
スーダンさんが説明してくれる。
まず、討伐ランクについて説明してくれる。
ランクはGからSSまである。
その中でゴブリンはFランクの魔物だ。
Fランクの魔物は害獣指定ではあるが村人でも油断をしなければ倒せるレベルの魔物だ。
それに比べてホーン・ピッグはDランクの魔物だ。
これは新人冒険者が戦うには少し危険な魔物だ。村人なら見たら逃げた方がよいレベルの魔物。
ひとつランクが上の魔物を倒すにはその5倍の戦力が必要だ。
つまり、FランクのゴブリンがDランクのホーン・ピッグを倒すには10倍の戦力が必要だということだ。
「・・・まあ、あの数のゴブリンたちなら危険はない。大群だとやばいけどな・・・。」
「ええ・・・。ゴブリンたちの大群となるとその危険性は一気に跳ね上がるからね。その大群の襲撃を受けた村が壊滅したという話も聞くから軽視しないようにね。」
スーダンさんのあとにコーランさんが補足する。
「さて、ここからはお前たちの出番だ。準備は出来ているか?」
僕は後ろを振り向く。他のメンバーも頷く。
「よし!頑張れよ、お前達!」
スーダンさん達は後ろに下がる。
「まずはマリアさんが矢でゴブリンの気を引いて。」
「はい、ショウマ様。」
「アルスたちは背後からゴブリンを強襲。」
「わかった。」
「シルビアとジラルドはいざという時に僕たちのそばで待機。」
「わかったわ。」
皆が頷く。
「僕はマリアさんのそばで防御に徹します。今回は連携の確認ということで試験的にやります。みんな、よろしく。」
そして、僕たちはそれぞれ動き出す。
「マリアさん・・・今です。」
「はい!」
マリアさんは弓に矢を番えて放つ。その矢がゴブリンの腕に命中した。
「ぐぎゃあ!」
ゴブリンたちは慌てたようにそれぞれ得物を持つ。
「マリアさん!僕の後ろに!」
「はい!」
僕はすぐにマリアさんの前に立ちその左右にシルビアとジラルドが立つ。
『オンナダ・・・。』
『オンナハツカマエロ・・・。オトコハコロセ。』
『ハヤクアナニツッコミタイ・・・。』
マリアさんとシルビアを見るとゴブリンたちは口々に言う。
「まったく・・・あの下等生物共・・・。」
ジラルドが眉間にしわを寄せて睨む。
「マリアさんもゴブリンの声が聞こえるんだよね?」
「はい・・・。初めてこの力を持っていることが嫌に感じました。」
マリアさんは顔を赤くして言う。
ゴブリンたちは舌なめずりをしながら僕達に接近する。その間にも下品な言葉を言っている。
「さて、完全にゴブリンたちは僕達に夢中みたいだ・・・。今だよ、アルス!」
「ああ!」
そう言ってアルスたちがゴブリンの背後から接近して一閃する。
「ぎぃ?」
ゴブリンは何が起こったか分からずに首を落とす。
その後もダグラスさんの剣で胴を両断されるゴブリンやミーシャさんの槍で串刺しにされたりとあっという間に殲滅することが出来た。
「ふぅ・・・。みんな、お疲れ様。」
僕は盾をくっつける。
「お見事だった。」
スーダンさんたちが近づいて来る。
「ありがとうございます。」
「なんだか物足りないな・・・。」
アルスはゴブリンの血が付いた剣を布で拭く。
「さて、連携も良く出来ていたし一次試験は合格だ。お疲れ様。」
「ありがとうございます。」
「では、今度の試験は明日になる。今日はしっかりと休むように。」
こうして初めての実戦を終えるのだった。
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