僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです。 旧バージョン

わっしー

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27話 呼び捨てで呼んで

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僕達はシニネン王国へ向けて南に歩いていた。
「ミーシャ様、お疲れではありませんか?」
「ありがとう、ダグラス。私は大丈夫よ。」
ダグラスさんはミーシャ女王に数十分おきに聞いている。
「ダグラス。姉上が心配なのは分かるがそこまでやわじゃないぞ?」
「アルス様。私は臣下として当然の心配を・・・。」
「今はそういうのは関係ない。俺たちは追われた王族だ。お前がそんな態度だと俺たちの身分をばらしているのと同じなんだぞ?」
アルスがダグラスさんを諭す。
「しかし・・・。」
「ダグラス、私の方からもお願いします。」
「ミーシャ様?」
「今の私はケルタイネンの女王ではありません。だから、昔みたいに私のことはミーシャと呼んでくれないかしら?」
「・・・承知しました、ミーシャ。」
「ありがとう、ダグラス。」
そんなやり取りを見ているとマリア王女が近づいて来る。
「姉さまとダグラスは幼馴染なんです。」
「そうなんだ。」
「ショウマ様も私を呼び捨てで呼んでくれると嬉しいのですが・・・。」
どうやら、さっきのやり取りを見てマリア王女は羨ましくなったようだ。
「マリアさんが僕を様付け呼ばなければ僕も呼び捨てで呼びますよ。」
「それは・・・う~ん・・・。」
マリア王女は唸ってしまう。そんなに難しいことだったろうか?
「まあ、僕たちは僕達のペースで行きましょう。しばらくは一緒に居るのですから。」
「・・・はい!」
「さて、もうすぐで村に着くわよ。そこで休みましょう。」
シルビアが地図を見ながら言う。僕たちはヴァルコイネンの裏の森から出発してから半日ほど経過した。
「そうだね。確かに早くこの国から出ないといけないけどさすがに疲れたから少し休憩しようか。」
「そうですね。ショウマの言う通りにしましょう。」
そうして、僕たちは村の宿に向かう。

宿の部屋は2人部屋のみだったため4部屋借りた。
僕はアルスと同じ部屋になる。
僕は手持ちを確認する。
「う~ん・・・。今回の宿代だけで4部屋で240リルか・・・。」
宿の料金は一部屋の計算だった。僕たちは全員で7人いたので4部屋借りないと全員は泊まれない。
じゃあ、3部屋でその内の一部屋を3人にしようと考えていたがベッドは備え付けのモノしかなく動かす場合はサービス料として無駄にお金がかかるとのことでしょうがなく4部屋借りることにした。
「お金が心もとないな・・・。」
「そうだな・・・。このペースでお金が減ればすぐに底をつくな。」
「そうだね・・・。この村でシニネン王国に向かう馬車があれば良いんだけど・・・。」
「そうだな・・・。」
僕は残りのお金を財布にしまう。
「じゃあ、明日はシニネン王国に向かう馬車を探そう。商隊の護衛なんかがあれば上手くすればお金も稼げるかも・・・。」
「そうだな。」
そう言ってアルスはベッドに上がる。
「まあ、今日はもう寝ようぜ!俺、もう疲れたぜ!」
そう言ってアルスはさっさと寝てしまった。
「僕も寝よう・・・。」
僕は宿のベッドにもぐりこむ。城のベッドに比べると固いがそこまで気にならない。
「正悟兄さん達は今頃どうしているかな・・・?」
ヴァルコイネンに居る兄さん達のことを考える。
僕がミーシャ女王たちと共に逃亡したためケルタイネンとの戦争は回避することが出来なくなった。
戦争の前線にみんなが立つであろうことは想像がつく。
「・・・心配ではあるけど僕にはどうすることは出来ないからね。」
それに心配する権利もない。
「僕の行動は間違っていないよね・・・。」
複雑な気持ちを抱えながらも僕は眠りについた。
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