28 / 57
27話 呼び捨てで呼んで
しおりを挟む
僕達はシニネン王国へ向けて南に歩いていた。
「ミーシャ様、お疲れではありませんか?」
「ありがとう、ダグラス。私は大丈夫よ。」
ダグラスさんはミーシャ女王に数十分おきに聞いている。
「ダグラス。姉上が心配なのは分かるがそこまでやわじゃないぞ?」
「アルス様。私は臣下として当然の心配を・・・。」
「今はそういうのは関係ない。俺たちは追われた王族だ。お前がそんな態度だと俺たちの身分をばらしているのと同じなんだぞ?」
アルスがダグラスさんを諭す。
「しかし・・・。」
「ダグラス、私の方からもお願いします。」
「ミーシャ様?」
「今の私はケルタイネンの女王ではありません。だから、昔みたいに私のことはミーシャと呼んでくれないかしら?」
「・・・承知しました、ミーシャ。」
「ありがとう、ダグラス。」
そんなやり取りを見ているとマリア王女が近づいて来る。
「姉さまとダグラスは幼馴染なんです。」
「そうなんだ。」
「ショウマ様も私を呼び捨てで呼んでくれると嬉しいのですが・・・。」
どうやら、さっきのやり取りを見てマリア王女は羨ましくなったようだ。
「マリアさんが僕を様付け呼ばなければ僕も呼び捨てで呼びますよ。」
「それは・・・う~ん・・・。」
マリア王女は唸ってしまう。そんなに難しいことだったろうか?
「まあ、僕たちは僕達のペースで行きましょう。しばらくは一緒に居るのですから。」
「・・・はい!」
「さて、もうすぐで村に着くわよ。そこで休みましょう。」
シルビアが地図を見ながら言う。僕たちはヴァルコイネンの裏の森から出発してから半日ほど経過した。
「そうだね。確かに早くこの国から出ないといけないけどさすがに疲れたから少し休憩しようか。」
「そうですね。ショウマの言う通りにしましょう。」
そうして、僕たちは村の宿に向かう。
宿の部屋は2人部屋のみだったため4部屋借りた。
僕はアルスと同じ部屋になる。
僕は手持ちを確認する。
「う~ん・・・。今回の宿代だけで4部屋で240リルか・・・。」
宿の料金は一部屋の計算だった。僕たちは全員で7人いたので4部屋借りないと全員は泊まれない。
じゃあ、3部屋でその内の一部屋を3人にしようと考えていたがベッドは備え付けのモノしかなく動かす場合はサービス料として無駄にお金がかかるとのことでしょうがなく4部屋借りることにした。
「お金が心もとないな・・・。」
「そうだな・・・。このペースでお金が減ればすぐに底をつくな。」
「そうだね・・・。この村でシニネン王国に向かう馬車があれば良いんだけど・・・。」
「そうだな・・・。」
僕は残りのお金を財布にしまう。
「じゃあ、明日はシニネン王国に向かう馬車を探そう。商隊の護衛なんかがあれば上手くすればお金も稼げるかも・・・。」
「そうだな。」
そう言ってアルスはベッドに上がる。
「まあ、今日はもう寝ようぜ!俺、もう疲れたぜ!」
そう言ってアルスはさっさと寝てしまった。
「僕も寝よう・・・。」
僕は宿のベッドにもぐりこむ。城のベッドに比べると固いがそこまで気にならない。
「正悟兄さん達は今頃どうしているかな・・・?」
ヴァルコイネンに居る兄さん達のことを考える。
僕がミーシャ女王たちと共に逃亡したためケルタイネンとの戦争は回避することが出来なくなった。
戦争の前線にみんなが立つであろうことは想像がつく。
「・・・心配ではあるけど僕にはどうすることは出来ないからね。」
それに心配する権利もない。
「僕の行動は間違っていないよね・・・。」
複雑な気持ちを抱えながらも僕は眠りについた。
「ミーシャ様、お疲れではありませんか?」
「ありがとう、ダグラス。私は大丈夫よ。」
ダグラスさんはミーシャ女王に数十分おきに聞いている。
「ダグラス。姉上が心配なのは分かるがそこまでやわじゃないぞ?」
「アルス様。私は臣下として当然の心配を・・・。」
「今はそういうのは関係ない。俺たちは追われた王族だ。お前がそんな態度だと俺たちの身分をばらしているのと同じなんだぞ?」
アルスがダグラスさんを諭す。
「しかし・・・。」
「ダグラス、私の方からもお願いします。」
「ミーシャ様?」
「今の私はケルタイネンの女王ではありません。だから、昔みたいに私のことはミーシャと呼んでくれないかしら?」
「・・・承知しました、ミーシャ。」
「ありがとう、ダグラス。」
そんなやり取りを見ているとマリア王女が近づいて来る。
「姉さまとダグラスは幼馴染なんです。」
「そうなんだ。」
「ショウマ様も私を呼び捨てで呼んでくれると嬉しいのですが・・・。」
どうやら、さっきのやり取りを見てマリア王女は羨ましくなったようだ。
「マリアさんが僕を様付け呼ばなければ僕も呼び捨てで呼びますよ。」
「それは・・・う~ん・・・。」
マリア王女は唸ってしまう。そんなに難しいことだったろうか?
「まあ、僕たちは僕達のペースで行きましょう。しばらくは一緒に居るのですから。」
「・・・はい!」
「さて、もうすぐで村に着くわよ。そこで休みましょう。」
シルビアが地図を見ながら言う。僕たちはヴァルコイネンの裏の森から出発してから半日ほど経過した。
「そうだね。確かに早くこの国から出ないといけないけどさすがに疲れたから少し休憩しようか。」
「そうですね。ショウマの言う通りにしましょう。」
そうして、僕たちは村の宿に向かう。
宿の部屋は2人部屋のみだったため4部屋借りた。
僕はアルスと同じ部屋になる。
僕は手持ちを確認する。
「う~ん・・・。今回の宿代だけで4部屋で240リルか・・・。」
宿の料金は一部屋の計算だった。僕たちは全員で7人いたので4部屋借りないと全員は泊まれない。
じゃあ、3部屋でその内の一部屋を3人にしようと考えていたがベッドは備え付けのモノしかなく動かす場合はサービス料として無駄にお金がかかるとのことでしょうがなく4部屋借りることにした。
「お金が心もとないな・・・。」
「そうだな・・・。このペースでお金が減ればすぐに底をつくな。」
「そうだね・・・。この村でシニネン王国に向かう馬車があれば良いんだけど・・・。」
「そうだな・・・。」
僕は残りのお金を財布にしまう。
「じゃあ、明日はシニネン王国に向かう馬車を探そう。商隊の護衛なんかがあれば上手くすればお金も稼げるかも・・・。」
「そうだな。」
そう言ってアルスはベッドに上がる。
「まあ、今日はもう寝ようぜ!俺、もう疲れたぜ!」
そう言ってアルスはさっさと寝てしまった。
「僕も寝よう・・・。」
僕は宿のベッドにもぐりこむ。城のベッドに比べると固いがそこまで気にならない。
「正悟兄さん達は今頃どうしているかな・・・?」
ヴァルコイネンに居る兄さん達のことを考える。
僕がミーシャ女王たちと共に逃亡したためケルタイネンとの戦争は回避することが出来なくなった。
戦争の前線にみんなが立つであろうことは想像がつく。
「・・・心配ではあるけど僕にはどうすることは出来ないからね。」
それに心配する権利もない。
「僕の行動は間違っていないよね・・・。」
複雑な気持ちを抱えながらも僕は眠りについた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
魔族に育てられた聖女と呪われし召喚勇者【完結】
一色孝太郎
ファンタジー
魔族の薬師グランに育てられた聖女の力を持つ人族の少女ホリーは育ての祖父の遺志を継ぎ、苦しむ人々を救う薬師として生きていくことを決意する。懸命に生きる彼女の周囲には、彼女を慕う人が次々と集まってくる。兄のような幼馴染、イケメンな魔族の王子様、さらには異世界から召喚された勇者まで。やがて世界の運命をも左右する陰謀に巻き込まれた彼女は彼らと力を合わせ、世界を守るべく立ち向かうこととなる。果たして彼女の運命やいかに! そして彼女の周囲で繰り広げられる恋の大騒動の行方は……?
※本作は全 181 話、【完結保証】となります
※カバー画像の著作権は DESIGNALIKIE 様にあります
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる