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19話 冷たい歓迎
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翌日。
「マリア。ちょっと、ショウマとくっつき過ぎではないかしら?」
「そんなことはないです、姉さま。」
そう言ってマリア王女は僕に頬ずりする。
「まあ、マリアも年頃だからな・・・。」
アルスは何かを察したかのように生暖かい目で見てくる。そんな視線を受けて僕は何というか居たたまれない気持ちになるのだった。
「もう少しでヴァルコイネンに到着します。」
「ええ・・・。彼方からしたら突然の訪問でびっくりさせてしまうでしょうがこうしている間にもグラルドたちは戦の準備をしていることでしょう・・・。」
ミーシャ女王は暗い顔で言う。
「そうなれば、まず狙われるのはヴァルコイネンになりますからね・・・。こちらも準備をしておかないと・・・。」
僕もミーシャ女王の言葉に頷く。
もうケルタイネン王国との戦争は回避できない。なら、その戦争に勝利をして被害も最小限にできるように準備をするしかない。
「・・・私の首ひとつでどうにかヴァルコイネンの王は許してくださるかしら?」
「縁起でもないことを言わないでください、姉上。」
ミーシャ女王の言葉にアルスが苦い顔でツッコむ。
「僕も説得しますから、心配しないでください。」
その時だった。
前から複数の足音が聞こえる。
「アレは・・・。」
ダグラスさんが目を細めた。手はいつでも剣が抜けるようにしている。
「そこの者、止まれ。」
その声はとても懐かしいものだった。
「・・・この声は正悟兄さん?」
先頭には白銀の鎧で馬に乗った正悟兄さんがいた。
「・・・この者達を捕らえよ。」
『はっ!』
正悟兄さんの命令で兵士たちが動く。
「兄さん!?どういうことだ!?」
「正真・・・。お前はこちらへ来い。この者達は敵国の者だ。」
「・・・どういうことだよ?」
「話は後だ。この者達は拘束させてもらう。抵抗するようなら命の保証はない。」
その兄さんの言葉に従うように兵士たちは槍を僕たちに向ける。
「待ってくれ!こんなことしている暇はないんだ!今は一刻も早く王様に話を・・・!!」
「口答えをするようなら兄弟であるお前でも容赦はしない・・・。」
その兄さんの目はいつもの優しい目ではなく物凄く冷たい目だった。その目を見て僕は二の句を告げなくなる。
「ショウマ・・・。」
そんな僕の肩に手を載せたのはミーシャ女王だった。
「私たちは大丈夫です。今はこの者の言う通りにしましょう・・・。」
「ミーシャ女王・・・。」
「話が早くて助かる・・・。この者達を連れて行け・・・。」
兄さんの命令によりミーシャ女王たちは連れて行かれた。
「・・・さて、正真。お前は自分が何をしたのか分かっているな?」
「・・・。」
「お前の勝手な行動によってこの国は今危機に直面しているんだ。」
「どういうこと?」
「それは玉座の間で話す。ただし、お前にも重い罰が待っていることは覚悟するんだな・・・。」
そう言うと兄さんはさっさと行ってしまう。
「おい。こっちに来い、この無能が!」
兵士は強い口調で言いながら僕を連行するのだった。
「マリア。ちょっと、ショウマとくっつき過ぎではないかしら?」
「そんなことはないです、姉さま。」
そう言ってマリア王女は僕に頬ずりする。
「まあ、マリアも年頃だからな・・・。」
アルスは何かを察したかのように生暖かい目で見てくる。そんな視線を受けて僕は何というか居たたまれない気持ちになるのだった。
「もう少しでヴァルコイネンに到着します。」
「ええ・・・。彼方からしたら突然の訪問でびっくりさせてしまうでしょうがこうしている間にもグラルドたちは戦の準備をしていることでしょう・・・。」
ミーシャ女王は暗い顔で言う。
「そうなれば、まず狙われるのはヴァルコイネンになりますからね・・・。こちらも準備をしておかないと・・・。」
僕もミーシャ女王の言葉に頷く。
もうケルタイネン王国との戦争は回避できない。なら、その戦争に勝利をして被害も最小限にできるように準備をするしかない。
「・・・私の首ひとつでどうにかヴァルコイネンの王は許してくださるかしら?」
「縁起でもないことを言わないでください、姉上。」
ミーシャ女王の言葉にアルスが苦い顔でツッコむ。
「僕も説得しますから、心配しないでください。」
その時だった。
前から複数の足音が聞こえる。
「アレは・・・。」
ダグラスさんが目を細めた。手はいつでも剣が抜けるようにしている。
「そこの者、止まれ。」
その声はとても懐かしいものだった。
「・・・この声は正悟兄さん?」
先頭には白銀の鎧で馬に乗った正悟兄さんがいた。
「・・・この者達を捕らえよ。」
『はっ!』
正悟兄さんの命令で兵士たちが動く。
「兄さん!?どういうことだ!?」
「正真・・・。お前はこちらへ来い。この者達は敵国の者だ。」
「・・・どういうことだよ?」
「話は後だ。この者達は拘束させてもらう。抵抗するようなら命の保証はない。」
その兄さんの言葉に従うように兵士たちは槍を僕たちに向ける。
「待ってくれ!こんなことしている暇はないんだ!今は一刻も早く王様に話を・・・!!」
「口答えをするようなら兄弟であるお前でも容赦はしない・・・。」
その兄さんの目はいつもの優しい目ではなく物凄く冷たい目だった。その目を見て僕は二の句を告げなくなる。
「ショウマ・・・。」
そんな僕の肩に手を載せたのはミーシャ女王だった。
「私たちは大丈夫です。今はこの者の言う通りにしましょう・・・。」
「ミーシャ女王・・・。」
「話が早くて助かる・・・。この者達を連れて行け・・・。」
兄さんの命令によりミーシャ女王たちは連れて行かれた。
「・・・さて、正真。お前は自分が何をしたのか分かっているな?」
「・・・。」
「お前の勝手な行動によってこの国は今危機に直面しているんだ。」
「どういうこと?」
「それは玉座の間で話す。ただし、お前にも重い罰が待っていることは覚悟するんだな・・・。」
そう言うと兄さんはさっさと行ってしまう。
「おい。こっちに来い、この無能が!」
兵士は強い口調で言いながら僕を連行するのだった。
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