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13話 女王との謁見
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「面を上げよ。」
目の前の女性に言われて僕は顔を上げる。
その女性の髪は金髪で色白でとても綺麗な人だった。
「そなたがアルスを捕縛したと聞いたが・・・。」
「はい、こちらです。」
そう言って僕は後ろを見るとダグラスさんが縄を引いてアルスを連れてくる。
「・・・確かに私の弟、アルス・ケルタイネンだな。」
その女性ミーシャ・ケルタイネン女王陛下は悲しそうな顔をする。アルスはミーシャ女王の方を見ることが出来ない。
「なぜだ・・・。なぜ、私を・・・この国を裏切った。」
「誤解です、姉上!?俺は何もしていません!」
「しかし、お主の部屋から帝国とのつながりを示唆する文書が発見されたという。宛名も帝国のモノでありその内容はお前の指示で我が妹である第二王女、マリア・ケルタイネンの呪いは指示通り施したというもの・・・。」
「俺はそんなことはしていない!?大事な妹に呪いをかける兄がどこに居ますか!?」
「ですが・・・。」
「姉上、そのくらいでよいではありませんか・・・。」
そう言って現れたのは軽薄そうな男だった。
「グラルド・・・。」
「アルスが私達王族を売ったのは紛れもない事実。証拠もある以上もう言葉を重ねても意味ありません。姉上も忙しいお方だ。後はこのわたくし目にお任せ下さい。」
「・・・わかりました。貴方に任せます。」
「ありがとうございます・・・。おい、この者を地下牢に連行しろ!」
「はっ!?」
そう言ってアルスは城の兵士に連れて行かれる。僕はそれを目の端で見送る。
「・・・すまなかった。部外者であるそなたに王家の恥を見せてしまい・・・。」
「いえ・・・心中お察しします。」
「さて、旅の者。お前の望みを言うとよい。褒美を取らせよう!」
そう言うのはグラルド王子だった。その顔は見ていて嫌になるほどのニヤケ顔だ。僕は顔に出ないように微笑みながら答える。
「では、この城に居るというシルバーウルフにお目通りを願いたいのですが・・・。」
「シルバーウルフ・・・ジラルドのことか?」
ミーシャ女王は驚いたように聞いて来る。
「はい。僕は魔物使いなので高位な魔物であるシルバーウルフに一目会いたいと思いまして・・・。」
「私としては叶えてやりたいのだがアレの主は我が妹マリアなのだ。他の者が近づこうものなら噛み殺されてしまう。」
「構いません。女王様にはシルバーウルフに近づく許可を頂けるだけで良いのです。」
「しかし・・・。」
「良いではありませんか、姉上。この旅の者も自分の責任でシルバーウルフに近づきたいと言っているのだから。」
「グラルド。」
「お前の望みはそれだけなのだな?」
「はい、叶えてくださるのなら報奨金などは一切頂きません。どうか聞き届けてくれないでしょうか?」
「・・・わかりました。見張りのためそこのダグラスを貴方のお目付けとして付けます。準備が出来るまで王城の一室を貸し与えるのでしばらく待ってください。」
「ありがとうございます。」
こうして、僕はケルタイネンの城に入ることが出来たのだった。
目の前の女性に言われて僕は顔を上げる。
その女性の髪は金髪で色白でとても綺麗な人だった。
「そなたがアルスを捕縛したと聞いたが・・・。」
「はい、こちらです。」
そう言って僕は後ろを見るとダグラスさんが縄を引いてアルスを連れてくる。
「・・・確かに私の弟、アルス・ケルタイネンだな。」
その女性ミーシャ・ケルタイネン女王陛下は悲しそうな顔をする。アルスはミーシャ女王の方を見ることが出来ない。
「なぜだ・・・。なぜ、私を・・・この国を裏切った。」
「誤解です、姉上!?俺は何もしていません!」
「しかし、お主の部屋から帝国とのつながりを示唆する文書が発見されたという。宛名も帝国のモノでありその内容はお前の指示で我が妹である第二王女、マリア・ケルタイネンの呪いは指示通り施したというもの・・・。」
「俺はそんなことはしていない!?大事な妹に呪いをかける兄がどこに居ますか!?」
「ですが・・・。」
「姉上、そのくらいでよいではありませんか・・・。」
そう言って現れたのは軽薄そうな男だった。
「グラルド・・・。」
「アルスが私達王族を売ったのは紛れもない事実。証拠もある以上もう言葉を重ねても意味ありません。姉上も忙しいお方だ。後はこのわたくし目にお任せ下さい。」
「・・・わかりました。貴方に任せます。」
「ありがとうございます・・・。おい、この者を地下牢に連行しろ!」
「はっ!?」
そう言ってアルスは城の兵士に連れて行かれる。僕はそれを目の端で見送る。
「・・・すまなかった。部外者であるそなたに王家の恥を見せてしまい・・・。」
「いえ・・・心中お察しします。」
「さて、旅の者。お前の望みを言うとよい。褒美を取らせよう!」
そう言うのはグラルド王子だった。その顔は見ていて嫌になるほどのニヤケ顔だ。僕は顔に出ないように微笑みながら答える。
「では、この城に居るというシルバーウルフにお目通りを願いたいのですが・・・。」
「シルバーウルフ・・・ジラルドのことか?」
ミーシャ女王は驚いたように聞いて来る。
「はい。僕は魔物使いなので高位な魔物であるシルバーウルフに一目会いたいと思いまして・・・。」
「私としては叶えてやりたいのだがアレの主は我が妹マリアなのだ。他の者が近づこうものなら噛み殺されてしまう。」
「構いません。女王様にはシルバーウルフに近づく許可を頂けるだけで良いのです。」
「しかし・・・。」
「良いではありませんか、姉上。この旅の者も自分の責任でシルバーウルフに近づきたいと言っているのだから。」
「グラルド。」
「お前の望みはそれだけなのだな?」
「はい、叶えてくださるのなら報奨金などは一切頂きません。どうか聞き届けてくれないでしょうか?」
「・・・わかりました。見張りのためそこのダグラスを貴方のお目付けとして付けます。準備が出来るまで王城の一室を貸し与えるのでしばらく待ってください。」
「ありがとうございます。」
こうして、僕はケルタイネンの城に入ることが出来たのだった。
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