僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです。 旧バージョン

わっしー

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10話 いざ、東の国ケルタイネンへ!!

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僕達は王城近くの森に来ていた。
僕の姿を見て魔物たちが殺到する。
「ショウマ!下がっていろ!」
そう言ってアルスは剣を引き抜く。この剣は僕の部屋に飾ってあったモノを拝借してきたものだ。
「アルス。大丈夫だよ。」
そう言ってアルスを退かすと怯えている魔物に近寄る。
「ゴメン。彼は君達のことを知らないから警戒していただけなんだ。だから、そんなに怯えないで。」
『本当?』
「ああ、本当さ。今日はちょっとシルビアに用があるんだけど呼んでもらえるかな?」
『わかった。』
そう言って魔物の一匹が森の中に駆け込む。その様子を見ていたアルスが僕に聞く。
「お前ってもしかして「精霊の耳」を持っているのか?」
「精霊の耳?」
「動物や魔物と意思疎通できる特殊な力だ。俺の妹も同じ能力を持っている。」
「そうなんだね。」
そんな話をしていると森の奥からシルビアが現れる。
『こんな時間に来るなんて珍しいわね、ショウマ?』
「ゴメン。しばらくこの国を離れるから挨拶に来たんだ。」
『この国を離れる?』
シルビアは怪訝そうに聞いて来る。
僕はこれまでの経緯を説明する。
『なるほど・・・。貴方はお人好しね、ショウマ?』
そう言ってシルビアはアルスを見る。その目は何か疑うような目だ。
『彼が嘘をついてあなたを捕まえようとしているのかもしれないのに?』
「そんなことをしてメリットはないよ。」
『そんなことはないわ。貴方は破魔魔法の使い手なのだから・・・。』
「・・・知っていたの?」
シルビアには魔法のことは黙っていたのだがシルビアは気が付いていたようだ。
『私はシルバーウルフ。破魔魔法の使い手に仕える魔物よ?貴方の銀の魔力をいつも感じていたわ。』
「そうだったんだね・・・。」
僕はシルビアの発言に驚く。
『貴方はこの世界にとって大切な存在なのよ。だから、軽はずみな行動は起こさずに城に帰ってなさい。』
「・・・それは出来ない。」
僕は首を振る。
「軽はずみな行動だって言うことは僕が一番知っている。でも、助けを求められたのなら助けてあげたい。」
『例え裏切られたとしても?』
「その時は全力で抗うよ。利用されそうになったらその時は死ぬ覚悟も出来ている。」
『・・・本気なのね?』
そう言ってシルビアは僕に鼻先を近づける。
『そこまで言うのなら私は止めないわ。ただ、その旅には私もついていく。』
「えっ?」
次の瞬間シルビアの身体が光る。そして、その光が収まるとそこには銀髪の女性が立っていた。
「こんなモノかしら?」
「シルビアなの?」
「ええ。」
そう言ってシルビアは微笑む。肌は白く、僕よりも少しだけ背が高い。目は金色に輝いていてとても綺麗だった。
「さて、そこの獣人。」
「・・・ああ。」
シルビアはアルスを睨む。それをアルスはまっすぐ受け止めた。
「彼にもしものことがあったら私はお前を噛み殺す。覚えておけ。」
「わかっている。ショウマは俺の命に代えても守ってみせる。」
「努々忘れるなよ・・・。」
そして、シルビアは森の奥へ戻ってしまう。だがしばらくすると何かの袋を持って戻ってきた。
「ショウマは武器を持っていないからこれを身に付けなさい。」
そう言って渡されたのは盾だった。
「これは?」
「この森に落ちていたモノよ。貴方にはぴったりな武器だと思うわ。」
そう言ってシルビアは盾を二つに割る。
「この盾は戦闘時には両手に取り付けて武器として使うことも出来るわ。貴方は剣や槍を使う才能が無いからこれがあっているわね。」
「そっか・・・。有難く使わせてもらうよ。」
僕は盾を元に戻して背中に背負う。
「他には干し肉や木の実、薬草なんかも入っているわ。」
そう言ってその袋をシルビアは担ぐ。
「さあ、ショウマ。行きましょう。」
「うん。」
こうしてシルビアを入れた三人で旅に出るのだった。

その頃、王城では正真の置手紙を囲んで真田兄妹が集まっていた。
「ごめんなさい。私がしばらく目を離した隙にこんなことになってしまって・・・。」
「いや、お前だけの責任ではない。自分を責めるな。」
俺は美沙にそう告げる。
正真はあの奴隷の獣人を助けるために破魔魔法を使ってしまった。それでその獣人の口車に乗って王国を出てしまった。
手紙の内容は以下の通りだ。

『兄さん達へ
僕は東の国「ケルタイネン王国」へ向かいます。
色々迷惑をかけることになると思うけど困っている人を放っておけません。
やるべきことをやったら必ず戻って来るので心配しないでください。
では、行ってきます。
正真』
これを最初に見つけたのは美香だった。その後、兄妹全員が集まり今に至る。
「俺はすぐに正真を追うべきだと思う。アイツは考えが甘いからな・・・。」
正文がそう言うと美香も頷く。
「そうよ。正真にもしものことがあったら・・・兄さん!すぐに迎えに行きましょう!?」
「私は反対。もう少し慎重に動くべきだと思う。」
そう言ったのは美玖だった。
「どうしてだ、美玖?」
「私たちは勇者。もしも、他の国に何の連絡も無しに行ったら揉め事になると思う。」
「そうだよね・・・。それにどう事情を説明するの?私たちの兄妹が貴方の王国に向かったから保護してくださいって言うの?それこそ、危険だと思わない?」
美紀が続ける。
「じゃあ、どうすればいいの!?正真を見捨てるつもり!?」
「そんなことは言ってないよ。でも、下手に動くと正真が危険だって言うこと・・・。」
美香が食って掛かるがそんな美香を冷静に受け流す美紀であった。
「でも・・・。」
「落ち着け、美香。美紀の言う通り俺たちは下手に動けない。何か良い方法を考えなくてはいけないな・・・。」
そして、俺たちは意見を出し合うのだった。
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