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6話 奴隷
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森から出て城下町を歩く。城下町の人たちは僕のことを知らないのでとても気が楽だ。
「お、坊主。今日も来たな!」
そう話しかけてきたのはスキンヘッドのおじさんだ。
「ガングさん、こんにちは。」
「おう!」
見た目は怖いガングさんだが話しかけてみるととても気さくな人だった。
「坊主に教えてもらったマヨネーズが評判で売り上げが上々なんだ!今度お礼するよ!」
「気にしなくていいですよ。ガングさんにはお世話になったのでそのお礼です。」
「ははは!嬉しいことを言ってくれるな!ほれ、持ってけ!」
そう言って差し出されたのは焼き鳥串にマヨネーズをかけたものだった。
「いつもありがとうございます。」
「良いってことよ!」
その時だった。
「おら!歩きやがれこの化け物が!」
その方向を見るとそこには醜く太った中年の男が少年に鞭を打っていた。
「ひでぇな・・・。アレは「ポライネン帝国」の奴隷商人だな。」
「奴隷・・・。」
「ああ。この国では奴隷は禁止されているんだが他の東西南北の大国では未だに奴隷が使われてんだ・・・。」
「あの・・・どうして、他の人はあの子を助けないのですか?」
「そりゃ、あいつらに逆らえば目の敵にされる。そうなれば俺たちがヤバいんだよ・・・。」
「そんな・・・。」
「おら!さっさと歩けよ、愚図が!」
その間にもその少年は鞭を打たれる。その少年はだんだんと動かなくなっていく。
「こんなのほっとけないよ。」
「あ!おい!」
僕はガングさんの制しを振り切り少年の元に向かう。そして、振り下ろされる鞭をつかみ取る。
「てめぇ・・・何しやがる?」
「それくらいにしたらどうです?彼、もう動けないみたいですよ?」
「てめぇには関係ねぇだろうが!それとも、てめぇが代わりになるか?」
そう言って男はニヤリと笑う。
「まあ、てめぇみたいな餓鬼でもどこかのご婦人に売ればいい金になるかもな・・・。」
その男の顔を見て僕はため息を吐く。
「・・・話し合いで済めばよいと思いましたが貴方には言葉が通じないみたいですね。」
「なに?」
「彼を化け物と呼んでいたみたいですが貴方こそ化け物ではないですか?本当に人の心を持っているのですか?」
「なんだと・・・。」
「人の痛みが分からない人間には少し痛い目を見てもらう必要がありますね・・・。」
そう言って僕は構える。
「ちっ・・・。てめぇら!こいつを袋にしやがれ!」
そう言って現れたのは剣やナイフを持った屈強な男が2人出てくる。
「やれ!」
その声と共に男たちは僕に突っ込んできた。そして、持っている得物を振り下ろす。僕はそれを避けて男の腹部を殴打する。
「ぐは!?」
男は腹を抱えて膝をつく。
「この野郎!」
もう一人がナイフを両手で持って突っ込んでくる。
「ほい・・・。」
「なっ!?」
男の背中に手を置き飛び越える。
「ほら、後ろがガラ空きだよ。」
そう言って僕は男の後頭部を蹴る。男は白目をむいて倒れる。
「くそ・・・。」
腹を抱えていた男は剣を拾おうとするがその手を踏みつける。
「さて、どうする?今なら見逃してあげるけど?」
「くそ・・・。こうなったら!」
そう言って男は手の甲を僕の方に向ける。その手の甲には紋様が浮かんでいた。
「自害しろ、化け物!」
その瞬間、男の手の甲が光る。次の瞬間、少年がナイフを拾い上げて自分に突き立てる。
「させない!」
僕は少年の手を払いナイフを奪う。
「君、何を・・・。」
その時、少年の目を見ると虚ろで生気がない。
「彼に何をした?」
「奴隷には「奴隷紋」が付いているんだ。それ発動させれば奴隷の自由を奪うことが出来るんだよ。この奴隷紋は一回発動するとその命令を遂行するまでは何度でもその行動を続けるだろう・・・。」
「この、人でなしが・・・。」
僕は拳を握る。すると、少年は舌をかみ切ろうとした。
「・・・ゴメン!」
そう言って僕は少年の意識を奪う。
「絶望するがいい!お前がこの奴隷を殺したんだよ!!」
「・・・へぇ。私の正真を人殺し呼ばわりするのは誰かしら?」
「へ?」
そこに立っていたのは美香姉さんだった。いつもニコニコしている姉さんがその時は怖いくらいに無表情だった。
「ぐっ!?」
「貴方、覚悟は出来ているかしら?」
「かっは・・・。」
奴隷商を片手で持ち上げて首を絞めつける。
「美香姉さん、ストップ!ストップ!!!」
僕は美香姉さんを止める。
「正真?」
美香姉さんは奴隷商を地面に落として僕に向き合う。その顔はいつものニコニコ顔だった。
「コイツは殺しちゃダメだ。こんなことで美香姉さんの手を汚しちゃいけない!」
「でも・・・。」
「あとのことは衛兵に任せよう。それよりも彼を治療しないと・・・。」
そう言って僕は彼を担ぐ。
そして、僕は美香姉さんと共に城に戻るのだった。
「お、坊主。今日も来たな!」
そう話しかけてきたのはスキンヘッドのおじさんだ。
「ガングさん、こんにちは。」
「おう!」
見た目は怖いガングさんだが話しかけてみるととても気さくな人だった。
「坊主に教えてもらったマヨネーズが評判で売り上げが上々なんだ!今度お礼するよ!」
「気にしなくていいですよ。ガングさんにはお世話になったのでそのお礼です。」
「ははは!嬉しいことを言ってくれるな!ほれ、持ってけ!」
そう言って差し出されたのは焼き鳥串にマヨネーズをかけたものだった。
「いつもありがとうございます。」
「良いってことよ!」
その時だった。
「おら!歩きやがれこの化け物が!」
その方向を見るとそこには醜く太った中年の男が少年に鞭を打っていた。
「ひでぇな・・・。アレは「ポライネン帝国」の奴隷商人だな。」
「奴隷・・・。」
「ああ。この国では奴隷は禁止されているんだが他の東西南北の大国では未だに奴隷が使われてんだ・・・。」
「あの・・・どうして、他の人はあの子を助けないのですか?」
「そりゃ、あいつらに逆らえば目の敵にされる。そうなれば俺たちがヤバいんだよ・・・。」
「そんな・・・。」
「おら!さっさと歩けよ、愚図が!」
その間にもその少年は鞭を打たれる。その少年はだんだんと動かなくなっていく。
「こんなのほっとけないよ。」
「あ!おい!」
僕はガングさんの制しを振り切り少年の元に向かう。そして、振り下ろされる鞭をつかみ取る。
「てめぇ・・・何しやがる?」
「それくらいにしたらどうです?彼、もう動けないみたいですよ?」
「てめぇには関係ねぇだろうが!それとも、てめぇが代わりになるか?」
そう言って男はニヤリと笑う。
「まあ、てめぇみたいな餓鬼でもどこかのご婦人に売ればいい金になるかもな・・・。」
その男の顔を見て僕はため息を吐く。
「・・・話し合いで済めばよいと思いましたが貴方には言葉が通じないみたいですね。」
「なに?」
「彼を化け物と呼んでいたみたいですが貴方こそ化け物ではないですか?本当に人の心を持っているのですか?」
「なんだと・・・。」
「人の痛みが分からない人間には少し痛い目を見てもらう必要がありますね・・・。」
そう言って僕は構える。
「ちっ・・・。てめぇら!こいつを袋にしやがれ!」
そう言って現れたのは剣やナイフを持った屈強な男が2人出てくる。
「やれ!」
その声と共に男たちは僕に突っ込んできた。そして、持っている得物を振り下ろす。僕はそれを避けて男の腹部を殴打する。
「ぐは!?」
男は腹を抱えて膝をつく。
「この野郎!」
もう一人がナイフを両手で持って突っ込んでくる。
「ほい・・・。」
「なっ!?」
男の背中に手を置き飛び越える。
「ほら、後ろがガラ空きだよ。」
そう言って僕は男の後頭部を蹴る。男は白目をむいて倒れる。
「くそ・・・。」
腹を抱えていた男は剣を拾おうとするがその手を踏みつける。
「さて、どうする?今なら見逃してあげるけど?」
「くそ・・・。こうなったら!」
そう言って男は手の甲を僕の方に向ける。その手の甲には紋様が浮かんでいた。
「自害しろ、化け物!」
その瞬間、男の手の甲が光る。次の瞬間、少年がナイフを拾い上げて自分に突き立てる。
「させない!」
僕は少年の手を払いナイフを奪う。
「君、何を・・・。」
その時、少年の目を見ると虚ろで生気がない。
「彼に何をした?」
「奴隷には「奴隷紋」が付いているんだ。それ発動させれば奴隷の自由を奪うことが出来るんだよ。この奴隷紋は一回発動するとその命令を遂行するまでは何度でもその行動を続けるだろう・・・。」
「この、人でなしが・・・。」
僕は拳を握る。すると、少年は舌をかみ切ろうとした。
「・・・ゴメン!」
そう言って僕は少年の意識を奪う。
「絶望するがいい!お前がこの奴隷を殺したんだよ!!」
「・・・へぇ。私の正真を人殺し呼ばわりするのは誰かしら?」
「へ?」
そこに立っていたのは美香姉さんだった。いつもニコニコしている姉さんがその時は怖いくらいに無表情だった。
「ぐっ!?」
「貴方、覚悟は出来ているかしら?」
「かっは・・・。」
奴隷商を片手で持ち上げて首を絞めつける。
「美香姉さん、ストップ!ストップ!!!」
僕は美香姉さんを止める。
「正真?」
美香姉さんは奴隷商を地面に落として僕に向き合う。その顔はいつものニコニコ顔だった。
「コイツは殺しちゃダメだ。こんなことで美香姉さんの手を汚しちゃいけない!」
「でも・・・。」
「あとのことは衛兵に任せよう。それよりも彼を治療しないと・・・。」
そう言って僕は彼を担ぐ。
そして、僕は美香姉さんと共に城に戻るのだった。
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