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3話 適性検査

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王様との話には正悟兄さんが残った。その間、僕たちは別の部屋に通された。
「皆さんにはそれぞれ適性検査をしてもらいます。」
そう言うのは魔導士のマードックさんだった。
「適性検査?」
「はい。魔法の適性や武器の適性などをこの水晶で調べることが出来ます。」
「便利なものだな。」
正文兄さんは面白そうに水晶を見る。
「では、誰から行いますか?」
「私がやります。」
そう言ったのは美香姉さんだった。
「わかりました、ミカ様。では、水晶に手を・・・。」
美香姉さんは水晶に手を置く。すると薄緑色の音符が浮かび上がる。
「これは「音魔法」の適性があるみたいですね・・・。」
「音ですか?」
「はい・・・。音魔法は音楽によって味方を鼓舞したり傷の回復を助けたりすることが出来ます。敵に対しては催眠や戦意を挫くことが出来るものとなります。とても珍しい魔法ですね・・・さすが、勇者様。」
「そうなんだね。」
美香姉さんはなんだかうれしそうだ。そういえば、美香姉さんは学生の頃から音楽が大好きでそれが高じてアイドルになった所もある。
「次は私ね!」
そう言ったのは美紀姉さんだった。美紀姉さんは水晶に手を置く。すると、今度は薄水色の槍が映し出される。
「これは「氷魔法」の適性があるみたいです。」
「氷ね・・・。」
「氷は攻撃と防御に適応した魔法ですね。その氷で作られたモノは武器では砕くことが出来ず範囲攻撃では敵の動きを止めたりすることも出来る使い方によっては一人で大群を相手にできる魔法となっています。」
「へぇ・・・。それは凄いわね。」
「次は私ね・・・。」
そう言って美紀姉さんを退かしたのは美沙姉さんだった。
「さて、私は何かしら?」
水晶に映されたのは青の二振りの剣だった。
「水ですね。」
「水か・・・。なんか、平凡ね。」
「「水魔法」は攻撃よりも回復や病気などを癒すことに秀でています。攻撃に使う場合は主に水圧による圧力で上級の使い手になると城壁すらも簡単に破壊することが出来ます。」
「まあ、美沙向きじゃない?」
「そうね・・・。」
そう言って美沙姉さんは肩をすくめる。
「じゃあ、俺も!」
そう言って正文兄さんは水晶を掴む。
「あ・・・あの、もう少し丁寧に扱ってくださいね・・・。」
マードックさんが慌てて言う。
「あ・・・悪い・・・。」
そうしている内に水晶が光り輝く。それは紫色の刀だった。
「これは「雷魔法」の適性ですね。」
「ほう・・・なんかすごそうだな・・・。」
「はい。雷魔法は絶対的な攻撃力を誇り、防御を貫くのが得意なものですね。」
「俺好みだな!」
正文兄さんはとても嬉しそうだ。
「次は私だね。」
そう言って美玖は水晶に手を置く。その輝きは黄緑の杖だった。
「「木魔法」の適性がありますね。」
「木ですか?」
「木魔法は浄化の魔法を多く持っています。他にも植物の成長を早めることが出来ます。それが例え木であっても自由に成長させたり逆に種に戻すことなども出来ます。」
「使いどころが難しそうですね。」
美玖は渋い顔をする。
「最後にショウマ様お願いします。」
「えっ?僕もですか?」
「はい。一応ショウマ様の適性も見ておいた方がこれからにつながると思いますので。」
「なるほど・・・。」
僕はなんとなく納得する。そして、水晶に手を置く。すると銀色の盾が映し出された。
「銀色ってどんなものなんだろう?」
僕が首を傾げるとマードックさんは驚きの顔をする。
「これは・・・これはまさか・・・。」
「あの・・・。」
次の瞬間、マードックさんは僕の手を掴み走り出す。
「えっ?」
僕はマードックさんに手を引かれて部屋を出る。

「グラン王!」
「どうしたのだ、マードック?」
そこには正悟兄さんと王様がまだ話をしていた。
「実は勇者様方の適性検査をしていたのですが彼の魔法が・・・。」
「どうしたのだ?まさか、「闇魔法」の適性でもあったのか?」
冗談交じりに王様が聞く。
「銀色でした。」
「はあ?」
王様が呆ける。
「今なんと?」
「銀色でした。彼の魔法は銀色だったのです。」
その瞬間、王様は立ち上がり僕に詰め寄る。
「これは、何と言うことだ・・・。」
王様のその顔はものすごく険しい。
「それってどんな力なのですか?」
正悟兄さんが聞く。そんな正悟兄さんに王様は答える。
「銀色は「破魔魔法」の適性がありその魔法はかなり珍しいものだ。」
「破魔魔法・・・。」
「破魔魔法はあらゆる魔法や呪いなどを無効化、破壊することが出来る全ての魔法の天敵となる魔法だ。」
「それって最強の魔法では?」
「これは、もしも他の国にバレたら大変なことになる・・・。」
「はい。これはかなりまずい状況です。」
王様とマードックさんは暗い顔をする。
「何故なのですか?」
「この魔法はその性質から多くの国で求められている魔法なのだ。この魔法があればどんな魔法障壁もどんな呪いも無効化されてしまうため魔法が戦力の要となる軍隊にとってはまさに天敵、排除したいものとなる。」
「つまり?」
「お主はその魔法がバレると他の国に命を狙われることになるということだ。」
どうやら僕はものすごい厄介ごとに巻き込まれることになるみたいだ。
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