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プロローグ
2人の作戦
しおりを挟む「ふぅーー。それで、貴女達はどうなさるおつもりですか?」
一息ついたルイスは諦めたような、2人を挑発してるともとれる目で言う。その言葉にルルーとモルーはお互いを見合い、そして頷き合った。
「とりあえず、此方からは動きません」
モルーが得意げに言い放つ言葉にルイスも、バーバリーも目を見開いた。
「なっーー!!」
「話は最後まで聞いて、バーバリーさん」
驚きの声をあげようとバーバリーが言葉を発するがモルーがそれに被せてニコニコ笑いながら言う。
「黒の魔術師がどうしてダイスを使うのか、何のために使うのか検討も付かないけれど今の所自分からダイスを使う気は無いみたいなんです」
ルルーが詳しく説明し始める。
「だったらバーバリーさん達に何の変化も無ければ確かめに来ると思うんです。いいえ、直接見に来るはずです」
「言っている事は分かるが何ぜ言い切れるんだ?」
ルルーの話にボウが眉を顰めた。それに答えたのはモルー。
「多分、何かの実験段階なんだと思うの。だからその成果を必ず見に来るよ。バーバリさんがダイスを手に入れ事はきっと黒魔術師にも伝わってる。それなのにバーバリーさんの所には何も起きない。ね?寧ろ気になるでしょ?」
2人の話を黙って聞いていたルイスは首を横に振った。
「その作戦は甘過ぎます。作戦とも呼べません。僕が黒魔術師なら被検体を増やすまで。まぁ、貴女達の言う通りダイス依存者が増えていくこの領地でバーバリーさんの所だけ変化なければ見に来ると言えなくも無いですが…」
「はい。被害者はバーバリーさんだけでは無い可能性もあります。けれどまだ人数は少ないはず。今からでも食い止めます」
ルイスの反対意見にルルーは最もだと頷いて見せたが二言目にはルイスにとって信じられない言葉が出てきた。
それと同時にルイスは何かを確信した。
ルイスの表情の変化をルルーは見逃さない。ルイスから視線をずらしてモルーに向ける。モルーもルイスの表情の変化に気が付いたのか余り普段見せない真剣な表情でコクリと頷いて見せた。
「ルイス様も先程おしゃっていたこの酒場に仕掛けた結界を領土全体に広げます」
ルルーはモルーの反応を確認すると再びルイスに目を向けた。
「このレベルの結界を?そんな事が可能なんですか?」
「私なら可能です」
不信感を表すルイスにルルーははっきりと言い切った。
「ですがルイス様。お分かりかもしれませんがそれはルルーにとっても簡単な事ではありません。ルルーは今から結界を張るための準備にかかります。…動き始めるのは明日からにします」
次に言葉を発したのはモルーだった。ルイスは、少し考えた素振りを見せるとやがてゆっくりと頷いた。
「ルルーさんには色々と確かめないといけない事がありますが…。取り敢えず保留にしておきます。お二人の言う通りに致しましょう」
「「ありがとうございます」」
ルルーとモルーは深々と頭をさげた。
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