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余計なお世話
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ここはとある運送会社の社員食堂です。
休憩時間がまちまちのスタッフが
入れ替わりやってくるので
いつも誰かが食事をしています。
食堂にはおせっかいなおばちゃんが若干名いました。
そんなおばちゃんたちが気になるのは
あるアルバイト、リクトのことでした。
食堂のおばちゃんたちはある噂を耳にしていました。
「リクトが辞めるかもしれない。」
「最近リクトは元気がない。」
社長の平次は
「向き不向きもあるので無理強いはしない
去るもの追わず」
と考えていました。
日替わり定食が乗ったトレーを持ち
リクトが席の方へ向かおうとした時です。
厨房スタッフのマツおばあちゃんが
リクトのトレーにみかんゼリーを乗せました。
「えっ? これ?」
「特別サービスだよ。食べな。」
「あ、ありがとうございます。」
リクトは困惑しているような顔をしていました。
「本能、地、の変だよ。」
「本能寺の変?」
リクトは、何故今本能寺の変?、と思いましたが
マツおばあちゃんはお構いなしに続けます。
「本能、自、の変、とも言うね。」
「?」
リクトはこのおばあちゃんを無視して行っていいのか
悩みます。
「何か色々周りの意見に振り回されてんだろ?
リクトはリクトのままでいいのさ。
リクトのできる精一杯の仕事してたらいいのさ。
失敗なんて誰にでもあるよ。
昨日よりは成長してるだろ?
それでいいのさ。
みかんゼリーでも食べて元気出しな。美味しいよ。」
「はい。」
「自分が楽しいことすれば良いのさ。
本能のままに。地のままに。」
「なるほど。それで本能、地の変。
または自由の自に変えるのですね!」
はなおばあちゃんが言いました。
「自分の自でもあるよ。自分の人生だから
毎日自分らしくね。」
マツおばあちゃんが言いました。
「お姉さんは自分らしくが過ぎますよ。
お汁が冷めちゃうでしょう?
早く解放してあげなさいよ。」
ナミが言いました。
リクトは解放されてご飯を食べることが出来ました。
リクトの次に並んでいた
筋トレマニアのトリオがそれを見ていました。
「オレたちにもみかんゼリーくださいよ。」
「いいよ。なんせ私の手作りだからね。
待ってな。すぐ持って来るよ。」
マツはゼリーを取りに冷蔵庫へ行きました。
「ちょっと待って。
シェフじゃなくてあのばーちゃんの手作りかよ。」
「何言ってるの。誰が作っても同じよ。
あなたたちがいつも飲んでる味噌汁だって
おばあちゃんたちの手作り味噌よ。」
フクコが言いました。
ゼリーを持って戻ってきたマツも言いました。
「この手で味噌混ぜてるからね。
私の細胞も混ざってるよ。
だから毎日元気だろ?
あんたたち。」
マツおばあちゃんはニッコリしました。
席に着いた筋トレマニアたちは
味噌の中でマツおばあちゃんの細胞が
動いているのを想像すると
複雑な気持ちになりました。
「お姉さんたらまた変なこと言って。」
ナミがそう言ってマツおばあちゃんの方を見たので
マツおばあちゃんは冷蔵庫の陰に隠れてしまいました。
休憩時間がまちまちのスタッフが
入れ替わりやってくるので
いつも誰かが食事をしています。
食堂にはおせっかいなおばちゃんが若干名いました。
そんなおばちゃんたちが気になるのは
あるアルバイト、リクトのことでした。
食堂のおばちゃんたちはある噂を耳にしていました。
「リクトが辞めるかもしれない。」
「最近リクトは元気がない。」
社長の平次は
「向き不向きもあるので無理強いはしない
去るもの追わず」
と考えていました。
日替わり定食が乗ったトレーを持ち
リクトが席の方へ向かおうとした時です。
厨房スタッフのマツおばあちゃんが
リクトのトレーにみかんゼリーを乗せました。
「えっ? これ?」
「特別サービスだよ。食べな。」
「あ、ありがとうございます。」
リクトは困惑しているような顔をしていました。
「本能、地、の変だよ。」
「本能寺の変?」
リクトは、何故今本能寺の変?、と思いましたが
マツおばあちゃんはお構いなしに続けます。
「本能、自、の変、とも言うね。」
「?」
リクトはこのおばあちゃんを無視して行っていいのか
悩みます。
「何か色々周りの意見に振り回されてんだろ?
リクトはリクトのままでいいのさ。
リクトのできる精一杯の仕事してたらいいのさ。
失敗なんて誰にでもあるよ。
昨日よりは成長してるだろ?
それでいいのさ。
みかんゼリーでも食べて元気出しな。美味しいよ。」
「はい。」
「自分が楽しいことすれば良いのさ。
本能のままに。地のままに。」
「なるほど。それで本能、地の変。
または自由の自に変えるのですね!」
はなおばあちゃんが言いました。
「自分の自でもあるよ。自分の人生だから
毎日自分らしくね。」
マツおばあちゃんが言いました。
「お姉さんは自分らしくが過ぎますよ。
お汁が冷めちゃうでしょう?
早く解放してあげなさいよ。」
ナミが言いました。
リクトは解放されてご飯を食べることが出来ました。
リクトの次に並んでいた
筋トレマニアのトリオがそれを見ていました。
「オレたちにもみかんゼリーくださいよ。」
「いいよ。なんせ私の手作りだからね。
待ってな。すぐ持って来るよ。」
マツはゼリーを取りに冷蔵庫へ行きました。
「ちょっと待って。
シェフじゃなくてあのばーちゃんの手作りかよ。」
「何言ってるの。誰が作っても同じよ。
あなたたちがいつも飲んでる味噌汁だって
おばあちゃんたちの手作り味噌よ。」
フクコが言いました。
ゼリーを持って戻ってきたマツも言いました。
「この手で味噌混ぜてるからね。
私の細胞も混ざってるよ。
だから毎日元気だろ?
あんたたち。」
マツおばあちゃんはニッコリしました。
席に着いた筋トレマニアたちは
味噌の中でマツおばあちゃんの細胞が
動いているのを想像すると
複雑な気持ちになりました。
「お姉さんたらまた変なこと言って。」
ナミがそう言ってマツおばあちゃんの方を見たので
マツおばあちゃんは冷蔵庫の陰に隠れてしまいました。
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