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お泊まり①タスク
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タスクというミュージシャンがとある小さな音楽事務所を訪ねて来た。
所長のサエコが話を聞いたが、
バンド and more の個人事務所で
他のバンドの面倒までみることできないと断った。
サエコはタスクに少々危機感を抱いていた。
and more のボーカル、ユウキをリスペクトしているようだが、
たまにこういう人は訪ねて来るのだが、
自分の言い分が通らないとあからさまに不機嫌になるのを見て、
何か問題が起こる前にこのまま去っていけばいい、とサエコは思っていた。
サエコは、ハッキリキッパリと断った。
「お帰りください。」
音楽事務所スタッフのあかねに事務所出入口ドアを開けられて、
ソファーに座っていたタスクはようやく渋々部屋を出て行った。
トワとともかは黙って様子を見ていた。
サエコやあかねは普段客人に対してそのような態度をとることはなかった。
タスクは事務所を出た所でユウキに電話をかけた。
事務所と同じ敷地内の社員寮に住んでいる何も知らないユウキは、
タスクがすぐ近くまで来ていると言うと、何か用があるのかと思い、外へ出た。
「ユウキさん、遊びに来たっすよ。」
タスクは手に提げていたコンビニの袋をユウキに見せた。
中にはスナック菓子と缶酎ハイが入っていた。
ユウキはとりあえず社員食堂にタスクと入った。
個室にもなる小上がり席にふたりは向かった。
この日まだ食事をしていなかったユウキはついでに食事をすることにした。
タスクはお腹が空いてないと言って、スナック菓子をあけて缶酎ハイを飲み始めた。
ユウキはアルコールをすすめられたが断った。
ユウキが日替わり定食を食べ終わる頃、
缶酎ハイひとつでタスクの顔は赤くなり酔いが回っているようだった。
大きな声で、先程サエコに門前払いになったと言い始めた。
その後も音楽事務所スタッフの悪口を言い続けていた。
「じゃあ、オレは部屋に帰るよ。またな。お疲れ。」
食べ終わったユウキは食器を下げるべくその場を後にした。
「ちょっと、待ってくださいよ。ユウキさん!」
タスクはおぼつかない足取でユウキを追いかけた。
テーブルの上が片付けられることはなかった。
ユウキに追いついたタスクは、
ユウキが開けた男子寮のドアが閉まり切る直前に寮内に滑り込んだ。
「帰れよ。」
そう言ってすんなり帰るような人物ではなかった。
所長のサエコが話を聞いたが、
バンド and more の個人事務所で
他のバンドの面倒までみることできないと断った。
サエコはタスクに少々危機感を抱いていた。
and more のボーカル、ユウキをリスペクトしているようだが、
たまにこういう人は訪ねて来るのだが、
自分の言い分が通らないとあからさまに不機嫌になるのを見て、
何か問題が起こる前にこのまま去っていけばいい、とサエコは思っていた。
サエコは、ハッキリキッパリと断った。
「お帰りください。」
音楽事務所スタッフのあかねに事務所出入口ドアを開けられて、
ソファーに座っていたタスクはようやく渋々部屋を出て行った。
トワとともかは黙って様子を見ていた。
サエコやあかねは普段客人に対してそのような態度をとることはなかった。
タスクは事務所を出た所でユウキに電話をかけた。
事務所と同じ敷地内の社員寮に住んでいる何も知らないユウキは、
タスクがすぐ近くまで来ていると言うと、何か用があるのかと思い、外へ出た。
「ユウキさん、遊びに来たっすよ。」
タスクは手に提げていたコンビニの袋をユウキに見せた。
中にはスナック菓子と缶酎ハイが入っていた。
ユウキはとりあえず社員食堂にタスクと入った。
個室にもなる小上がり席にふたりは向かった。
この日まだ食事をしていなかったユウキはついでに食事をすることにした。
タスクはお腹が空いてないと言って、スナック菓子をあけて缶酎ハイを飲み始めた。
ユウキはアルコールをすすめられたが断った。
ユウキが日替わり定食を食べ終わる頃、
缶酎ハイひとつでタスクの顔は赤くなり酔いが回っているようだった。
大きな声で、先程サエコに門前払いになったと言い始めた。
その後も音楽事務所スタッフの悪口を言い続けていた。
「じゃあ、オレは部屋に帰るよ。またな。お疲れ。」
食べ終わったユウキは食器を下げるべくその場を後にした。
「ちょっと、待ってくださいよ。ユウキさん!」
タスクはおぼつかない足取でユウキを追いかけた。
テーブルの上が片付けられることはなかった。
ユウキに追いついたタスクは、
ユウキが開けた男子寮のドアが閉まり切る直前に寮内に滑り込んだ。
「帰れよ。」
そう言ってすんなり帰るような人物ではなかった。
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