空色のクレヨン

みーちゃん

白い布のカバンを斜めがけした和歌は

お寺の門の前に出るといつものように掃除を始めました。


「ソラ！おはよう！」

小学生たちがソラに声をかけながら

和歌とソラの前を通り過ぎて行きます。

小学生たちは、ソラが恥ずかしがり屋さんなのを知っているので

無理に触ったり、顔を覗き込んだりはしませんでした。

ソラがただそこにいるだけでよかったのです。


「おはよう。いってらっしゃい。」

和歌の元気な声と笑顔もまた子どもたちを笑顔にするのです。

それはオバケのソラにとっても楽しい時間でした。


「もう、みんな行っちゃったね。」

ソラは白いかばんから顔を出して和歌の方を見ながら言いました。


「そうね。そろそろお部屋の中へ入りましょうか。」


和歌が辺りを見回した時です。

少し遠くからひとりで歩いて来る女の子が見えました。


「もう少し待っていようかしらね。」

と和歌が言うと

「うん。」

とソラも言いました。


女の子はゆっくり歩きながら、ふたりに近づいて来ました。

「おはよう。わかさん。あっ、ソラもいる！」

元気がなさそうだった女の子はソラを見ると

一瞬で顔がパァっと明るくなりました。


「みーちゃん、おはよう。どうしたの？今日は寝坊したの？」

和歌は女の子と同じ目線になるように

その場にしゃがみました。

「夜が怖くて眠れないんだ。」

みーちゃんは困った顔をしました。