ちょっと怖い話

みどり

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押入れの襖

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トワが以前住んでいた部屋の話です。


トワは「とりあえず住めたら良い」と思っていたので、アパートの築年数や立地にはこだわりがありませんでした。

家賃も安い方がよかったので、階数も気になりませんでした。


住んでいた所は室内はリフォームされていましたが、押入れの中はそのままでした。

戸襖仕様になっていました。

トワは戸襖の方に足を向けて布団を敷いて寝ていました。

社会人になった時から数年間トワはそこで寝ていました。


ある日のことです。

仰向けに眠っていたトワはふと目を覚ましました。

足下から布団の中に誰かが手を入れてきているように感じました。

細い指が何かを探しているように動いているのです。

そして、時折り指の1本が、指先がトワの足首辺りに触れるのです。

冷たくて細い指が。。。


「指?」
トワがそんなことを考え始めたその時です。


今までやわらかく動いていたその指は、急に何かを確信したようにトワの両足首をギュッと掴むと一気に強い力でトワを引っ張りました。
引っ張ると言うよりは、引き摺り込むと言うのが正しいでしょうか。

トワは慌てて何かに掴まろうと上半身をひねりましたが、一瞬の出来事だったので何も出来ずに、自分の身体が浮いたと思った時にはもう布団は見る見る遠去かり、視界は狭くなり、点になり、やがて真暗になってしまったのです。


「うわぁぁぁぁぁぁ!」

トワは自分の叫び声で目が覚めました。


心臓がバクバクして息も荒くなっていました。

朝になり、辺りは明るくなっていました。


「夢だったのか?」

夢にしては、冷たく細い指の感触がリアル過ぎて怖くなりました。


「そうだ!ここの戸が閉まっているから怖く感じるんだ。」

トワは戸襖を外すと押入れの中を整理して、部屋を延長した場所として使うことにしました。

風通しのよくなったその場所には西陽が差し込んでいます。




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