ちょっと怖い話

みどり

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ボクの見る夢

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「ワタル、そろそろ起きないと。出かけるわよ。」


ボクはお母さんの声で目覚めた。

今日の目覚めは普通だ。

いつもと同じありふれた日常が始まりそうだ。


ボクの名前はワタル。

お父さんの仕事の都合で

2~3年に1回引越して転校している。

お母さんはその時々に家の近くのスーパーなどで

パートをしている。


お父さんは引越しの時は

新しく建ったアパートに

住みたがる。

お母さんとボクは

お父さんが決めた所に住む。


中1の夏休みに引越したのも

いつものように

新しく建ったアパートだった。


玄関を入ると

真ん中に廊下があり

右側が畳の部屋

左側にお風呂とトイレ

突き当たりにベランダがあり

フローリングの部屋が2つ

横並びにあった。


ボクは畳の部屋を自分の部屋にした。

ご飯を食べる部屋の隣りよりは

そっちがいいと思ったから。


そこに住み始めると

お葬式の夢をよく見るようになった。

誰のお葬式かわからない。

お坊さんがお経を唱えているのを

どこかの家の2階から

階段下の様子を伺っている

そんな夢だった。

ボクは特に怖いとも感じず

同じ夢をよく見るな、と思っていた。


それからしばらくして


お父さんの会社の人が自殺した。

奥さんが浮気していたらしい、と聞いた。

その日の夜中

なぜかトイレに行きたくなって目が覚めた。

自分の部屋のドアの前がトイレのドアだ。

廊下のちょうどその辺りに

ダイニングのドアがある。

お母さんはいつもそのドアを

締め切らずに少し開けていた。

廊下に出たら

何となくダイニングのドアの後ろ側に

誰かいるような気配がした。

リビングダイニングは電気が消えて

暗くなっていた。

ボクは何となく、亡くなった人が

お父さんにお別れを言いに来ているような

気がした。

怖くはなかった。

そのままトイレに行き

部屋に戻ってすぐ寝た。


夏休み中は前の学校の宿題をした。


アパートには子どもはたぶんボクだけだった。

ボクが住んでいたのは2階だった。

隣の部屋にたぶん赤ちゃんがいたと思う。


夜の11時頃お風呂に入っていたら

リビングの方で

小さい子が走り回る足音がよく聞こえていた。

遅くまで起きている子だな、と思っていた。

お母さんに話したら

お母さんには聞こえていなくて

赤ちゃんもまだ小さいから歩けない、と言われた。

その時も、ボクは怖くはなかった。


またしばらくして


ボクが寝ている間によく見る夢に

女の人が出てくるようになった。


顔ははっきり見えないが

細身の髪の長い人だった。

たぶん若い人だと思う。


閉まり切っていない

廊下のドアの向こう側にいるんだ。


夢の中で

ボクが飲み物を取りに行くと

リビングの壁の向こう側にいるんだ。


さすがにこれはちょっと怖かった。


もう本当に

住んでいるのではないかと思うくらい

ボクは夢でよく見た。


でも

両親には言えなかった。

お母さんは時々ひとり言のように

引越できないかしら?、と言っていたけど

お父さんは話を聞いてなかったみたいだった。


ある日


ボクはお母さんと平日の昼間に

大型商業施設に買い物に行った。


広い施設内をブラブラ歩いたり

お昼ごはんを食べたりした。


ごく普通の日常だった。



あるフロアーに行った時


隅っこに階段があった。


階段は途中で折れ曲がっているのか

最初の4~5段しか見えていなかった。

電気はついていなくて

暗くなっていた。

通れないように

チェーンが張ってあった。


誰か女の人の声で

「キャァー」

というのが聞こえてきた。


声のする方を見ると


チェーンを張っている階段を

誰かが降りてきた。

急ぎ足でもなく。普通に。

上の階から降りてきた。


その手には包丁が握られていた。


ボクはすぐにわかった。


夢に出てきた女の人だ。


その人はボクを刺した。


ボクにはもう

夢なのか現実なのか

わからなくなっていた。


でも思うんだ。


あの夢はすごく怖かった。


だんだん女の人が近づいてきてる気がして。


夢の中だったとしても

顔を見たり目が合ったら終わりな気がした。


もう、これで

怖い思いしなくていいかな?


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