佳麗になりたい!

夜霞

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「ごちそうさまでした」

 食事を食べ終え、私は一息つく。

「美味しかった……」

 どの品も美味しくて、つい食べ過ぎてしまった。ウオッカ道さんと彼の母親もとても満足そうに足を伸ばしていた。

「では、帰ります」

 夜20時が近づく頃、出征祝いはお開きになり、魚道さんら2人は帰路に着く事になる。

「今日は急な中、わざわざありがとうございました」

 ぺこりと頭を下げる魚道さんとその母親。私達はいえいえとんでも……などと声をかけた。

「魚道さん、頑張って」
「はい、千恵子さん」

 こうして、彼とその母親は、別荘からすっかり暗くなった外に出たのだった。

「頑張って欲しいわね」
「そうだね」

 それから、4月。この日はまた婦人会で竹槍訓練が学校の運動場で行われている。

「はい、もっと力強く!」
「せえっ!」

 訓練が終わると本当にお腹が空く。この日、別荘に戻る頃にはなぜかこれまで以上にお腹が空いて、歩くのもやっとになる。

「もうお腹空いて動けない……」
「どうしたの千恵子、そんなにお腹空いたの?」
「私もーー」
「ぬらりひょんもおなかすいたのね……沼霧さん、とりあえず余った麦ごはんよそって千恵子とぬらりひょんに出して頂戴。おかずは私が作るから」
「分かりました!」

 先に麦ごはんを食べて、空腹をある程度満たす。その間に母親がおかずを作ってくれた。

「キャベツと玉ねぎ炒めたから、これでも食べなさい」
「お母さんありがとう」

 ちなみに味付けは味噌としょうゆを少しずつ使っているとの事だった。確かに味噌の風味がキャベツと玉ねぎによく染みていて、ごはんが進む味付けだ。

「千恵子とぬらりひょん、麦ごはん全部食べていいわよ。また炊けばいいから」
「うん、そうする」
「やったあ! おかわりしよっと」

 その後、私はぬらりひょんと一緒に麦ごはんをおかわりしたのだった。

「ごちそうさまでした」

 居間で休憩した後は、自室にて昼寝をする。その前に部屋の窓から外の景色を眺めた。

「綺麗だなあ」

 風も波も穏やかで、凪いでいる。時折潮が吹き出す様子も見えた。

(もう、クジラが来てるのか)

 季節の移り変わりは早い。入院して、篝先生と会ったのがごく最近の事のように思える。

(早いなあ)

 春が来れば夏が来る。また今年もクジラ漁が行われるのだろうか。
 私は海を眺めた後、布団の中に潜ったのだった。
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