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決意【6・終】
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「そうなのか? ユズを放っておくとは、ユズが居た世界の男は見る目がないんだな」
アズールスは驚いたように、柚子を見つめた。
「元の世界には、私よりも可愛い人も、綺麗な人も、たくさん居たので……」
アズールスの言葉に照れつつも、柚子は続ける。
「それにアズールスさんは何も気にしなくていいんです。私がこの世界に残って、アズールスさんと結婚する事を決めたのは、私自身の意思なんですから」
「そう、なのか?」
「そうですよ!」
柚子はアズールスの左頬に手を当てる。頬に触れる柚子の手を、アズールスはサファイア色の瞳を大きく見開いて見つめていたのだった。
アズールスはそっと柚子の右頰に触れた。
そうして、二人は見つめ合うと、顔をそっと近づけた。
息がかかるくらいまで顔を近づけたところで、屋敷から二人を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。
「旦那様~。ユズ様~。夕食の用意が出来ました!」
「アズールスお兄さん、ユズお姉さん! 早く食べようよ!」
二人が声が聞こえてきた方を振り返ると、走りながらやって来るファミリアとフェーンの姿があったのだった。
「ああ。わかった」
「今、行くね!」
ファミリアとフェーンに引っ張られるように柚子は屋敷に戻った。その後ろからは、アズールスがついてきていた。
「帰ったら、最初に手を洗おう!」
「そうだね。ちゃんと清潔にしてから食べようね」
フェーンの言葉に、柚子は笑顔で頷く。
その後ろから柚子達を見ていたアズールスは、苦笑したのだった。
「ユズは人気者だな。これは大変そうだ」
「何が大変なんですか?」
首を傾げたファミリアがアズールスに訊ねると、アズールスは「いや」と否定した。
「大したことではない」
「そうなんですか?」
「ああ、ファミリアにはまだ早いだけだ」
アズールスがファミリアの頭を撫でるが、ファミリアは納得がいかないようで「む~」と唸ったのだった。
そんな顔をしたファミリアを、アズールスは声を上げて笑った。
アズールスの笑い声に気づいた柚子とフェーンも、また釣られて笑ったのだった。
アズールスは驚いたように、柚子を見つめた。
「元の世界には、私よりも可愛い人も、綺麗な人も、たくさん居たので……」
アズールスの言葉に照れつつも、柚子は続ける。
「それにアズールスさんは何も気にしなくていいんです。私がこの世界に残って、アズールスさんと結婚する事を決めたのは、私自身の意思なんですから」
「そう、なのか?」
「そうですよ!」
柚子はアズールスの左頬に手を当てる。頬に触れる柚子の手を、アズールスはサファイア色の瞳を大きく見開いて見つめていたのだった。
アズールスはそっと柚子の右頰に触れた。
そうして、二人は見つめ合うと、顔をそっと近づけた。
息がかかるくらいまで顔を近づけたところで、屋敷から二人を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。
「旦那様~。ユズ様~。夕食の用意が出来ました!」
「アズールスお兄さん、ユズお姉さん! 早く食べようよ!」
二人が声が聞こえてきた方を振り返ると、走りながらやって来るファミリアとフェーンの姿があったのだった。
「ああ。わかった」
「今、行くね!」
ファミリアとフェーンに引っ張られるように柚子は屋敷に戻った。その後ろからは、アズールスがついてきていた。
「帰ったら、最初に手を洗おう!」
「そうだね。ちゃんと清潔にしてから食べようね」
フェーンの言葉に、柚子は笑顔で頷く。
その後ろから柚子達を見ていたアズールスは、苦笑したのだった。
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「何が大変なんですか?」
首を傾げたファミリアがアズールスに訊ねると、アズールスは「いや」と否定した。
「大したことではない」
「そうなんですか?」
「ああ、ファミリアにはまだ早いだけだ」
アズールスがファミリアの頭を撫でるが、ファミリアは納得がいかないようで「む~」と唸ったのだった。
そんな顔をしたファミリアを、アズールスは声を上げて笑った。
アズールスの笑い声に気づいた柚子とフェーンも、また釣られて笑ったのだった。
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