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フェーンの両親【2】
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カルセドニーは結婚しておらず、また他の兄弟は何も嫁いでいるか、軍に入って戦死しているとの事で、カルセドニーの跡を継ぐ者がいなかった。
カルセドニーは喜んで、フェーンを引き取ると言ってくれたのだった。
公爵とカルセドニーが、フェーンを引き取る用意をしている間に、フェーンの祖父母はこの世を去った。
フェーンは祖父母の知り合いの家ーー家令の親族の家、で暮らすように勧められたらしいが、「いつかお母さんが帰ってくるかもしれないし、その時に家に誰もいなかったら、お母さんが寂しがるかもしれないから」と、頑なに家に残りたがった。
その報告を聞いた公爵とカルセドニーは、フェーンの意思を尊重して、一人で家に住まわせていた。
時折、家令の親族が、公爵から預かった食料や衣類、少額の金をフェーンに届けさせて、様子を見ていたのだった。
そんなある日、フェーンが住んでいた近くの森で火事が起こった。
その日は、ようやくフェーンを引き取る用意が出来たカルセドニーが、フェーンを迎えに行く日だった。
火の手はフェーンが住む村近くにもやってきた。フェーンが住んでいた村にも、軍がやって来ては避難指示や消火活動を行なったらしい。
カルセドニーもいち早くフェーンの様子を見に行きたかったが、責任者として公文書館を放置するわけにはいかなかった。
また公爵も、地方領主という手前、軍の要請や火事で住む場所を失った者達の手配をしなければならなかった。
やがて、仕事が落ち着いたカルセドニーは、使いの馬車を出してフェーンを迎えに行かせた。
けれども、避難先の建物にはフェーンはいなかった。
村人達の証言によると、フェーンは途中まで、村人達と避難していたらしいが、火事の混乱で行方がわからなくなっていた。
村人達も、フェーンが近々、貴族の屋敷に行くーーどうやら、行儀見習いに行くと思われていたらしい。と、聞いていたので、火事が落ち着いて、早々に貴族の屋敷に連れて行かれたと思っていたらしい。
カルセドニーは公爵に報告すると、公爵からの命令で秘密裏にフェーンを探していた。
表だってフェーンを探すと、貴族と繋がりのあるフェーンを利用して、公爵に取り入ろうとする者が出るかもしれないと、危惧しての事だった。
カルセドニーは承諾すると、仕事の合間に秘密裏にフェーンを探していたのだった。
カルセドニーは喜んで、フェーンを引き取ると言ってくれたのだった。
公爵とカルセドニーが、フェーンを引き取る用意をしている間に、フェーンの祖父母はこの世を去った。
フェーンは祖父母の知り合いの家ーー家令の親族の家、で暮らすように勧められたらしいが、「いつかお母さんが帰ってくるかもしれないし、その時に家に誰もいなかったら、お母さんが寂しがるかもしれないから」と、頑なに家に残りたがった。
その報告を聞いた公爵とカルセドニーは、フェーンの意思を尊重して、一人で家に住まわせていた。
時折、家令の親族が、公爵から預かった食料や衣類、少額の金をフェーンに届けさせて、様子を見ていたのだった。
そんなある日、フェーンが住んでいた近くの森で火事が起こった。
その日は、ようやくフェーンを引き取る用意が出来たカルセドニーが、フェーンを迎えに行く日だった。
火の手はフェーンが住む村近くにもやってきた。フェーンが住んでいた村にも、軍がやって来ては避難指示や消火活動を行なったらしい。
カルセドニーもいち早くフェーンの様子を見に行きたかったが、責任者として公文書館を放置するわけにはいかなかった。
また公爵も、地方領主という手前、軍の要請や火事で住む場所を失った者達の手配をしなければならなかった。
やがて、仕事が落ち着いたカルセドニーは、使いの馬車を出してフェーンを迎えに行かせた。
けれども、避難先の建物にはフェーンはいなかった。
村人達の証言によると、フェーンは途中まで、村人達と避難していたらしいが、火事の混乱で行方がわからなくなっていた。
村人達も、フェーンが近々、貴族の屋敷に行くーーどうやら、行儀見習いに行くと思われていたらしい。と、聞いていたので、火事が落ち着いて、早々に貴族の屋敷に連れて行かれたと思っていたらしい。
カルセドニーは公爵に報告すると、公爵からの命令で秘密裏にフェーンを探していた。
表だってフェーンを探すと、貴族と繋がりのあるフェーンを利用して、公爵に取り入ろうとする者が出るかもしれないと、危惧しての事だった。
カルセドニーは承諾すると、仕事の合間に秘密裏にフェーンを探していたのだった。
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