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元の世界に帰る方法・1
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次の日、柚子はアズールスに連れられて書斎にやってきた。
アズールスは柚子が開けた机の下から二番目の引き出しを開けると、一冊の本を取り出したのだった。
「アズールスさん、その本は?」
「ユズを召喚する時に使った召喚書だ」
アズールスは他の引き出しから白手袋を取り出すと、両手にはめた。
そして、召喚書を慎重に開いていったのだった。
「この召喚書によると、この世界に来た時と同じ状況になれば、元の世界への道が再び開かれると書かれている」
アズールスに見せてもらい、柚子も召喚書を覗く。
そこには、召喚者が召喚された時と同じ状況ーー場所、時間、が一致して、召喚されてから最初の一カ月目のみ、元の世界に帰れるとの事が書かれていた。
「場所と時間ーー召喚には月の満ち欠けも関係すると言われている。ユズ、君がこの世界に召喚された時、月はどんな形をしていた?」
柚子はその時の状況を思い出そうとした。
「半分だけの月でした。色はピンク色」
「そう。月がピンク色だったな。この世界では、月に一度だけ月がピンク色になる日がある。その時は必ず半月になる」
柚子は息を詰める。
アズールスは柚子が開けた机の下から二番目の引き出しを開けると、一冊の本を取り出したのだった。
「アズールスさん、その本は?」
「ユズを召喚する時に使った召喚書だ」
アズールスは他の引き出しから白手袋を取り出すと、両手にはめた。
そして、召喚書を慎重に開いていったのだった。
「この召喚書によると、この世界に来た時と同じ状況になれば、元の世界への道が再び開かれると書かれている」
アズールスに見せてもらい、柚子も召喚書を覗く。
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柚子はその時の状況を思い出そうとした。
「半分だけの月でした。色はピンク色」
「そう。月がピンク色だったな。この世界では、月に一度だけ月がピンク色になる日がある。その時は必ず半月になる」
柚子は息を詰める。
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