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彼の秘密と過去・3
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「ユズ?」
「あ……、あの、その、ごめんなさい!」
柚子はそのまま部屋を出た。
(アズールスさんの身体、ちゃんと見たのは始めてかも)
今は公文書館で働いているとはいえ、元は軍人だったアズールスの身体は適度に引き締まっていた。
ほどよくついた筋肉も魅力的だった。
柚子は赤くなった顔を両手で押さえながら、部屋に戻ったのだった。
次の日、柚子が目を覚ますと既にアズールスは仕事に行っていた。
アズールスのおかげで、あの後、柚子はグッスリ眠る事が出来た。
アズールスに礼を言わねば。と柚子はその日
、アズールスの帰りを、今か今かと待っていた。
夕方、アズールスが帰宅したと聞くと、柚子はアズールスの部屋に向かった。
「アズールスさん、あの……!」
慌てていた柚子は、アズールスの部屋の扉をノックするのを忘れて開けてしまった。
扉を開けると、部屋着に着替え中の上半身が裸のアズールスが、目を見開いて固まっていたのだった。
「ユズ?」
「あ……、あの、その、ごめんなさい!」
柚子はそのまま部屋を出た。
(アズールスさんの身体、ちゃんと見たのは始めてかも)
今は公文書館で働いているとはいえ、元は軍人だったアズールスの身体は適度に引き締まっていた。
ほどよくついた筋肉も魅力的だった。
柚子は赤くなった顔を両手で押さえながら、部屋に戻ったのだった。
コンコン、と柚子の部屋の扉がノックされた。
「はい?」
「ユズ。俺だ。入るぞ」
部屋に入ってきたのは、アズールスだった。あの後、柚子はアズールスと共に夕食の席に着いたが、まともにアズールスの顔を見る事が出来ず、早々に部屋に戻ってしまった。
柚子が返事を返す間も無く、アズールスは部屋に入ってきた。
「アズールスさん?」
「そのままでいい」
ベッドに入って書斎から借りてきた読んでいた柚子は、アズールスに言われてベッドから出ようとした形で止まった。
アズールスはベッドまでやってくると、当たり前の様にベッドに上がる。
そうして、当たり前の様に柚子の隣にやってきたのだった。
「どうしたんですか?」
「どうしたとは、こちらが聞きたい。さっき、部屋にやってきただろう。何か用事があってきたんじゃなかったのか?」
さっきとは、柚子がアズールスの部屋を訪ねた時の事だろう。その時のアズールスの姿を思い出して、柚子は顔が赤くなった。
「あの時は、ノックもせずに部屋に入ってしまってすみません。昨夜のお礼を言いたくて」
「昨夜? いや、ユズがよく眠れたのなら良かった」
「それだけじゃないんです」
アズールスは笑ったが、柚子に言われて首を傾げた。
柚子は絵本をベッド脇のテーブルに置くと、アズールスの方を向いた。
「アズールスさんが……。私を召喚した理由を話してくれた時。私、ちゃんとアズールスさんの話を聞いていなかった。だから、改めて聞きたかったんです」
「アズールスさん」と柚子はアズールスの目を見つめる。
「アズールスさんが子供を欲しがるのは、何か理由があるんじゃないんですか?」
これまでの夢を見て、アズールスは「家族」に対して特別な思い入れがあるのではないかと思った。
柚子だけじゃない、アズールスは使用人のマルゲリタやファミリアも大切にしているようだ。
そこには何か理由があるはずだ。
その理由を聞きたい。
それを聞いた上で、アズールスの願いを叶えるか決めてもいい筈だ。
「あ……、あの、その、ごめんなさい!」
柚子はそのまま部屋を出た。
(アズールスさんの身体、ちゃんと見たのは始めてかも)
今は公文書館で働いているとはいえ、元は軍人だったアズールスの身体は適度に引き締まっていた。
ほどよくついた筋肉も魅力的だった。
柚子は赤くなった顔を両手で押さえながら、部屋に戻ったのだった。
次の日、柚子が目を覚ますと既にアズールスは仕事に行っていた。
アズールスのおかげで、あの後、柚子はグッスリ眠る事が出来た。
アズールスに礼を言わねば。と柚子はその日
、アズールスの帰りを、今か今かと待っていた。
夕方、アズールスが帰宅したと聞くと、柚子はアズールスの部屋に向かった。
「アズールスさん、あの……!」
慌てていた柚子は、アズールスの部屋の扉をノックするのを忘れて開けてしまった。
扉を開けると、部屋着に着替え中の上半身が裸のアズールスが、目を見開いて固まっていたのだった。
「ユズ?」
「あ……、あの、その、ごめんなさい!」
柚子はそのまま部屋を出た。
(アズールスさんの身体、ちゃんと見たのは始めてかも)
今は公文書館で働いているとはいえ、元は軍人だったアズールスの身体は適度に引き締まっていた。
ほどよくついた筋肉も魅力的だった。
柚子は赤くなった顔を両手で押さえながら、部屋に戻ったのだった。
コンコン、と柚子の部屋の扉がノックされた。
「はい?」
「ユズ。俺だ。入るぞ」
部屋に入ってきたのは、アズールスだった。あの後、柚子はアズールスと共に夕食の席に着いたが、まともにアズールスの顔を見る事が出来ず、早々に部屋に戻ってしまった。
柚子が返事を返す間も無く、アズールスは部屋に入ってきた。
「アズールスさん?」
「そのままでいい」
ベッドに入って書斎から借りてきた読んでいた柚子は、アズールスに言われてベッドから出ようとした形で止まった。
アズールスはベッドまでやってくると、当たり前の様にベッドに上がる。
そうして、当たり前の様に柚子の隣にやってきたのだった。
「どうしたんですか?」
「どうしたとは、こちらが聞きたい。さっき、部屋にやってきただろう。何か用事があってきたんじゃなかったのか?」
さっきとは、柚子がアズールスの部屋を訪ねた時の事だろう。その時のアズールスの姿を思い出して、柚子は顔が赤くなった。
「あの時は、ノックもせずに部屋に入ってしまってすみません。昨夜のお礼を言いたくて」
「昨夜? いや、ユズがよく眠れたのなら良かった」
「それだけじゃないんです」
アズールスは笑ったが、柚子に言われて首を傾げた。
柚子は絵本をベッド脇のテーブルに置くと、アズールスの方を向いた。
「アズールスさんが……。私を召喚した理由を話してくれた時。私、ちゃんとアズールスさんの話を聞いていなかった。だから、改めて聞きたかったんです」
「アズールスさん」と柚子はアズールスの目を見つめる。
「アズールスさんが子供を欲しがるのは、何か理由があるんじゃないんですか?」
これまでの夢を見て、アズールスは「家族」に対して特別な思い入れがあるのではないかと思った。
柚子だけじゃない、アズールスは使用人のマルゲリタやファミリアも大切にしているようだ。
そこには何か理由があるはずだ。
その理由を聞きたい。
それを聞いた上で、アズールスの願いを叶えるか決めてもいい筈だ。
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