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43話 軍隊
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家まであっという間に到着した。
「あーもっと飛びたかったなー。」
ジュリアンは少し残念そうだ。
「また一緒に飛ぼうね。」
「ただいまぁ。お父さん、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど。」
「そう!僕が見つけたんだよ!」
「ねっ。ジュリアンが見つけたんだよね。」
「ん?なにを見つけたの?」
「外なんだけど、もしかしたら軍隊かも。隣国の。」
僕はジュリアンがいる手前、軽いノリで話す。
「わかった。じゃお母さんとみんなで、外に行ってみようか。」
家族みんなで外に出て、僕は軍隊を指さす。
「見て。あれだよ。」
さっきより軍隊は近づいていて、明らかに隣国の軍隊と確認できる。
「確かにあれはフランツが言った通りだね。」
お父さんは軍隊を確認すると、険しい表情になる。
「そうね。王都に報告した方がよさそうね。」
あれ?お母さんもそういう反応なの?
てっきり怖がるかと思ったんだけど……。
「お父さん!僕が敵を倒すよ!で、みんなを守る。」
「ありがとう。フランツ。でもね、相手は魔物じゃなくて、人間だ。決して力を使う相手を見誤ってはいけないよ。」
そうだ。相手は僕らと同じ人間だ。
最近、魔物を討伐してばかりだから、感覚がおかしくなってたのかも。危なかった。
「そうだった。ありがとうお父さん。」
「今は戦わないで、話し合いで済む方法を見つけようか。」
「うん。」
話し合いで済むようにか。相手の出方次第だろうけどな。相手の目的を聞くところからかな?
「フランツ。さっきの空間を繋げる魔法をやってくれるか?」
「わかった。王都の家でいい?」
「いや、王宮にあるシリルの部屋と繋げられる?」
「うん。場所はわかるから大丈夫だと思う。」
僕は魔法を使い、シリルさんの部屋と繋げる。
無事部屋と繋がり、その先には何事かと警戒しているシリルさんがいた。
「どういうことですか。」
シリルさんは僕らを見て少し安心し、同時に動揺しているようだった。
「シリル、今隣国の軍隊がこちらに向かっている。上層部に知らせてくれるか?」
「はい。それはもちろん。フレデリックさんはどうなさいますか?」
「彼らと話してみる。どうにか引いてもらえないか説得してみるよ。」
「わかりました。」
「あと、ジュリアンを頼んでもいいかな?」
「息子さんですか?」
「ああ。ジュリアン。こっちおいで。」
「なにー?お父さん。」
ジュリアンはいつも通りだ。
「このお兄さんが、王宮案内してくれるって。」
「えっ!本当に?僕入ってみたかったんだよね。お父さんたちは?」
「お父さんたちは少し用事があるから、ジュリアンは先に1人で行ってきてくれるか?」
「えー。みんな一緒がよかったのにな。」
「後からお父さんたちも行くから。ねっ。」
「わかった!この中に入ったらいいの?」
「そうだよ。ここをくぐったら、もう王宮だよ。」
「すごい!じゃぁ行ってくるね!早く来てね!」
「わかった!じゃシリル、頼んだよ。」
「はい。」
僕はジュリアンを見届け、魔法を解く。
「お母さんはジュリアンと一緒に王宮に行かなくて良かったの?ここにいたら危ないんじゃない?」
「それはお母さんのセリフよ。フランツこそ王宮に戻らなくてよかったの?」
「僕は大丈夫だよ。」
「お母さんも一緒よ。フランツを置いて行くわけないでしょ?」
なんでお母さんはあれだけの軍隊が来ているのにも関わらず、こんなに余裕があるんだろう。
「お母さん達は、国境の方に行くけど、フランツも行く?」
「え?わざわざ敵を出迎えに行くの?」
「えぇ。この国に入ってこられたら困るでしょ?」
「まぁそれはそうなんだろうけど……。大丈夫なの?」
僕はお父さんの方を見て訴える。
「うん。初めから攻めてくることはないと思うから大丈夫だと思うよ。」
まぁお父さんがそう言うなら大丈夫か。
「心配しなくて大丈夫よ。軍隊を指揮している人を説得して、引き返してもらえるように交渉するだけだから。フランツも手伝ってくれる?」
「それはもちろん、僕に出来ることがあればやるけど、そんなにうまくいくものかな?」
「それはフランツにかかってるわ。」
「え?僕に?僕は何をしたら良い?」
「相手をびっくりさせてくれれば良いわ。魔法得意でしょ?お父さんとの特訓の成果、お母さんにも見せて。」
「うん。わかった。考えてみる。」
てっきりお父さんが仕切るのかと思ったら、お母さんなんだ。
なんでだろう。まぁでもお父さんもなにも言わないからいいのかな?
「あーもっと飛びたかったなー。」
ジュリアンは少し残念そうだ。
「また一緒に飛ぼうね。」
「ただいまぁ。お父さん、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど。」
「そう!僕が見つけたんだよ!」
「ねっ。ジュリアンが見つけたんだよね。」
「ん?なにを見つけたの?」
「外なんだけど、もしかしたら軍隊かも。隣国の。」
僕はジュリアンがいる手前、軽いノリで話す。
「わかった。じゃお母さんとみんなで、外に行ってみようか。」
家族みんなで外に出て、僕は軍隊を指さす。
「見て。あれだよ。」
さっきより軍隊は近づいていて、明らかに隣国の軍隊と確認できる。
「確かにあれはフランツが言った通りだね。」
お父さんは軍隊を確認すると、険しい表情になる。
「そうね。王都に報告した方がよさそうね。」
あれ?お母さんもそういう反応なの?
てっきり怖がるかと思ったんだけど……。
「お父さん!僕が敵を倒すよ!で、みんなを守る。」
「ありがとう。フランツ。でもね、相手は魔物じゃなくて、人間だ。決して力を使う相手を見誤ってはいけないよ。」
そうだ。相手は僕らと同じ人間だ。
最近、魔物を討伐してばかりだから、感覚がおかしくなってたのかも。危なかった。
「そうだった。ありがとうお父さん。」
「今は戦わないで、話し合いで済む方法を見つけようか。」
「うん。」
話し合いで済むようにか。相手の出方次第だろうけどな。相手の目的を聞くところからかな?
「フランツ。さっきの空間を繋げる魔法をやってくれるか?」
「わかった。王都の家でいい?」
「いや、王宮にあるシリルの部屋と繋げられる?」
「うん。場所はわかるから大丈夫だと思う。」
僕は魔法を使い、シリルさんの部屋と繋げる。
無事部屋と繋がり、その先には何事かと警戒しているシリルさんがいた。
「どういうことですか。」
シリルさんは僕らを見て少し安心し、同時に動揺しているようだった。
「シリル、今隣国の軍隊がこちらに向かっている。上層部に知らせてくれるか?」
「はい。それはもちろん。フレデリックさんはどうなさいますか?」
「彼らと話してみる。どうにか引いてもらえないか説得してみるよ。」
「わかりました。」
「あと、ジュリアンを頼んでもいいかな?」
「息子さんですか?」
「ああ。ジュリアン。こっちおいで。」
「なにー?お父さん。」
ジュリアンはいつも通りだ。
「このお兄さんが、王宮案内してくれるって。」
「えっ!本当に?僕入ってみたかったんだよね。お父さんたちは?」
「お父さんたちは少し用事があるから、ジュリアンは先に1人で行ってきてくれるか?」
「えー。みんな一緒がよかったのにな。」
「後からお父さんたちも行くから。ねっ。」
「わかった!この中に入ったらいいの?」
「そうだよ。ここをくぐったら、もう王宮だよ。」
「すごい!じゃぁ行ってくるね!早く来てね!」
「わかった!じゃシリル、頼んだよ。」
「はい。」
僕はジュリアンを見届け、魔法を解く。
「お母さんはジュリアンと一緒に王宮に行かなくて良かったの?ここにいたら危ないんじゃない?」
「それはお母さんのセリフよ。フランツこそ王宮に戻らなくてよかったの?」
「僕は大丈夫だよ。」
「お母さんも一緒よ。フランツを置いて行くわけないでしょ?」
なんでお母さんはあれだけの軍隊が来ているのにも関わらず、こんなに余裕があるんだろう。
「お母さん達は、国境の方に行くけど、フランツも行く?」
「え?わざわざ敵を出迎えに行くの?」
「えぇ。この国に入ってこられたら困るでしょ?」
「まぁそれはそうなんだろうけど……。大丈夫なの?」
僕はお父さんの方を見て訴える。
「うん。初めから攻めてくることはないと思うから大丈夫だと思うよ。」
まぁお父さんがそう言うなら大丈夫か。
「心配しなくて大丈夫よ。軍隊を指揮している人を説得して、引き返してもらえるように交渉するだけだから。フランツも手伝ってくれる?」
「それはもちろん、僕に出来ることがあればやるけど、そんなにうまくいくものかな?」
「それはフランツにかかってるわ。」
「え?僕に?僕は何をしたら良い?」
「相手をびっくりさせてくれれば良いわ。魔法得意でしょ?お父さんとの特訓の成果、お母さんにも見せて。」
「うん。わかった。考えてみる。」
てっきりお父さんが仕切るのかと思ったら、お母さんなんだ。
なんでだろう。まぁでもお父さんもなにも言わないからいいのかな?
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