乙女ゲームのモブキャラから離脱してみせます。

沖城沙音

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34話 魔法

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「うぁっ!」
朝、寝癖を直そうと魔法を使ったそのとき、僕はびしょ濡れになった。

こんなことは初めてだ。疲れているのかな?

今度はそれを乾かすために風を身体にまとわせる。

「いてっ!」
風に足をすくわれて豪快に尻餅をついた。

え?いつも通りに、いつも通りの感覚で魔法を使っているだけなのに、何が起きた?

「なんか朝からすごい音が聞こえたけど、大丈夫か?」
「あ、お父さん……。転んだ。」

「転んだって、こんな何もないところで?それに、びしょびしょだな。」
お父さんはタオルを手に取り、僕の頭を拭いている。

「なんか魔法がおかしいみたい。」

「おかしいって?」
「なんか、わかんない。自分が思った威力より強い感じがする。」

「うーん。どうしたんだろうね。いつからそんな感じ?」
「気づいたのは今だけど、いつからだろう。」

最後に魔法を使ったのは、昨日コードを見に行ったときか。
でもそれは比較のしようが無いから、その前になると……ミノタウロスと戦ったときか。

「もしかしたら、ミノタウロスと戦った時辺りからおかしかったのかな?」

「うーん。そうか。特に気分が悪いとかではないんだよね?」
「うん。大丈夫。もしかしたら疲れてるだけかも。」

「ここのところ色々あったからね。とりあえず様子を見てみようか。」
「うん。」

「風邪引くからちゃんと乾かすんだよ。それに、これだけ濡れているなら着替えたほうがいいね。着替え持ってこようか?」
「大丈夫。自分でやるよ。」

「わかった。床もちゃんと拭いておくんだよ。」
「はーい。」

お父さんには疲れてるだけかもって言ったけど、これは明らかにおかしい。

とにかく、今魔法を使うと危ないかもしれないから、王都の外にある森にでも行って魔物を倒しながら確かめてこよう。


森に到着した。
感知魔法を使って、魔物の場所を特定する。

「あっちの方にいるのか。」
僕は魔物がいる方に走りながら向かう。

「いた。」
ジャイアントベアだ。ジャイアントベアは名前の通り、大きい熊だ。
そこそこ手強いから、魔法を試すにはもってこいだな。

僕はジャイアントベアに見つからないように身を潜める。

とりあえず、魔法の威力が強くなる前提で、普段だったら倒せないくらいの強さの魔法を使った方が良いよね?

タイミングを見計らって、矢のように火を鋭くしたものを放つ。

その火はジャイアントベアを貫通し、その奥にある木も何本も貫通した。

「嘘でしょ?」

ジャイアントベアはその場で倒れている。どうやら一撃で倒してしまっていたみたいだ。

いつも通りなら、ジャイアントベアすら貫通しないのに。
明らかに威力が上がっている。

あっやばい!木が燃えてる!消さないと!

慌てて水を放出したところ、その勢いで火が消えるどころか、木が何本も倒れてしまった。

「あっ……。」

そんなつもりじゃなかったんだけどな。思ったより威力が強い。

僕の身に一体何が起きているんだろう。

成長期ってことは流石にないよね?いくら何でも急すぎるし、成長しすぎだし。


その後も魔物を見つけては、違う魔法で試してみるが、どの魔法もいつも以上に威力が上がっていた。

いつもの威力で放ってるんだけどな……。


魔法を使っていくうちに、だんだん感覚が掴めてきた。

いつも使っている魔力の3分の1くらいの感覚で魔法を使うと、いつも通りの威力になる気がする。
と言うことは、今までより単純に3倍強くなったって事?なんで?

ひとまず、この感覚を忘れないように、魔物を倒しながら、魔法の制御を身につけよう。
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