乙女ゲームのモブキャラから離脱してみせます。

沖城沙音

文字の大きさ
上 下
33 / 48

33話 セシリア様

しおりを挟む
コードの世界から戻り、僕は初めて王宮に来たときにルーカスさんに案内してもらった、王宮の頂上付近にある景色の良いバルコニーに来ていた。

ここはほとんど人も来ないし、何か考えるときにうってつけの場所だ。

なんとかしてコードを編集出来たら良いんだけどな。
でもあの感じだと、難しいだろうな。

そういえば、僕ら人物の設定を見てなかったな。
やり方は大体分かったから、1人でもコードを見に行けるはず。

僕は、近くの壁にもたれかかるように座り、コードの世界に入る。
無事に入ることが出来た。さっそく人物の設定を見に行く。

設定を見ると、名前、性別から始まり、数え切れないほど多くの項目があるようだった。
魔物にもあった強さを表す総合値や魔力量などの項目や、ゲームで強さの指標だったレベルの項目も、もちろんあった。

そんな項目を見ていく中で、気になる項目があった。

それは、人物分類という項目だ。

もしかしてこの項目が、その人の人生をある程度決めてしまっているのではないだろうか。

人物分類にどんな種類があるか一覧を見てみると、管理者、聖女、勇者、賢者、騎士団長、貴族、等と並ぶ中、下の方に一般人(上)、一般人(中)、一般人(下)といったものがあった。

「これか。」

この一般人(下)に設定された人がホームレスのような生活を送っている人なんだろうな。

この設定を消せれば良いんだけど、やっぱり消せそうな雰囲気はないな。

とりあえず、一旦戻ることにした。


目を開けると、僕の目の前に聖女のセシリア様がいた。

あれ?セシリア様に会いたいがばかり、僕は幻術を生み出したのだろうか。
いや、違う。これは現実だ。

「わぁっ!」
目を開いてから結構な時間差で、声を上げてしまった。まさかこんなところで会えるとは思っていなかった。

「おはよう。起こしちゃった?」
「いえっ。あの、どうしてここに?」

どうしよう。落ち着け。僕。

「この場所、ルーカスさんに教えてもらってからちょくちょく来るんだよね。」
「僕も、同じです。」

「そうなの?今までよく会わなかったね。」
「本当ですね。」

セシリア様が僕の隣に座る。
どうしよう。心臓がバクバク言ってる。聞こえちゃうよ。

「そう言えば、もう身体は大丈夫?」
「はい。きちんとお礼も言えていなくてすみません。あの時は助けて頂いてありがとうございました。」

「それが私に任された役だからね……。」
何だろう。少し含みのある言い方な気がする。

「役……。もしかして、何かありました?」
「ん?いや、特に何かあったって事は無いよ。」

「あの、僕に話して貰えませんか?」
「え?」

「いやっ。なんて言うか、話が聞きたいです。今セシリア様が思っている事とか。」
やばい。こんな聞き方じゃ変な人だと思われる。

「ふふ。面白いね。フランツ君は。うん。そうだな。私、不安なんだ。」
「えっ?」
セシリア様は、あくまで笑顔で答える。

「ほら、小さいときから選ばれし者って言われ続けて、弱音を吐く事なんて許されなかったからさ。でも、魔王が復活するかもって話が出てきて、私に出来るのかなって。」

「そうだったんですか。話してくれてありがとうございます。僕から言えることは、不安と期待は表裏一体だと言うことです。不安はあって当然です。」
「そうだよね。それを背負っていかないといけないんだよね。」

「いえ、セシリア様1人には背負わせません。僕がもっと強くなって、その不安を少しでも軽減出来るようにします。なので僕にもその不安分けてください。」

「ありがとう。」
「僕でよければ、いつでもなんでも聞きます。むしろ話してください。」

「そうだなー。アルバートも、シリルさんもすごいんだよね。それぞれの天才って感じで、自分の芯がきちんと通ってて。」
「アルバートさんはあまり接点はありませんが、シリルさんは僕もすごいなって思います。」

「私も、あんな風になれるのかな?」
「なれますよ。大丈夫です。」

「言い切れちゃうんだ。」
「はい。自分を信じてあげてください。今までの努力は決して無駄になることはありません。」

「そうだよね。ありがとう。なんかフランツ君の前だと、つい本音が出ちゃうね。なんて言うか、親近感があるのかな?」
「そう言って頂けるとうれしいです。」

「なんか元気出てきたかも。」

セシリア様は立ち上がり、王都を眺める。
僕もそれに続く。

「僕はセシリア様の全てを受け止めます。でも、かといって僕を頼ってくれとは言いません。いつでも待っているので、気軽に話しかけて貰えると嬉しいです。」

セシリア様は僕の方を振り向くと、天使のような笑顔だった。
「ありがと。」

「はい。溜めすぎず、たまには吐き出してみてください。」
「そうする。じゃそろそろ行くね。」
「はい。」

……うわぁー緊張した。絶対言わなくて良いことも言っちゃっただろうな。ちょっと上から過ぎたかもー。
あーめんどくさいやつって思われたらどうしよう。

頭が真っ白になりすぎて、もう自分が何を言ったのか覚えてないや……。

どうか嫌われてませんように。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...