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8話 王都散策
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12歳になった。
初めて王都に行ってしばらく経った後、弟のジュリアンが生まれた。今は6歳。
数日前の誕生日に、魔力を感じ取れるようにしてもらって、現在は絶賛魔法の訓練中。
僕のようにはうまく出来ないみたいで、でもこれが普通らしい。
そしてとうとう聖女がお披露目されるらしく、どうしても見てみたいと言った結果、弟のジュリアンも王都に行ったことがないということで、家族で王都に行くことになった。
王都に到着した後は荷物を宿に預け、僕とジュリアンで王都を散策することになった。
お母さんは王都にいる知り合いに用事があったらしく、僕たち2人で散策するのは心配そうだった。
お父さんは聖女関係で休日出勤を余儀なくされている。
ジュリアンは僕が初めて王都に来たときみたいに、何に関しても驚いているようだった。
僕はあれこれジュリアンに王都のことを説明した。
「お兄ちゃんって王都のこと何でも知っているんだねっ!」
「前に来たことがあるからね。」
「そっか!何回来たことがあるの?」
「えっと、1回かな。」
「1回来ただけでこんなに詳しいの?お兄ちゃんすごい!」
「ありがとう。」
実際はゲームをプレイしていたから詳しいだけなんだけどね。
流石に1回来ただけでは王都全体は網羅できない。前来たときはそんなに見て回れなかったし。
ジュリアンを案内しておいてあれだけど、僕自身も初めて来るところばっかだ。
ジュリアンの前では冷静を装ってるけど、僕自身も結構興奮している。
「お兄ちゃん!あのきれいな色がいっぱいあるのは何?」
ジュリアンの視線の先にはショーケースに並べられているカラフルなジェラートだった。
「あれはジェラートだよ。食べてみる?」
「えっ!食べてみたい!」
「いいよ。どれがいい?」
そういえばこの世界に来てアイスの類いは食べたことなかったかも。
ジュリアンは真剣にジェラートとにらめっこをしている。
「うーん。よく分からないけど、白と赤のやつにする!」
「じゃお兄ちゃんは、黄緑のやつにしようかな。すみません。これとあれをください。」
「はいどうぞ。僕自分で持てる?」
「持てるよ!ありがとう。」
ジュリアンが店員のお姉さんからカップに入ったジェラートを受け取っている。
僕はその間に会計を済まし、どこか座れるところがないか辺りを見渡した。
「ジュリアン、そこで食べようか。」
「はーい。」
ちょうどベンチが空いていたのでそこで食べることにした。
「食べて良い?」
ジュリアンは目をキラキラさせながら聞いてきた。
「うん。もちろん。食べよう。」
「冷たっ!でも甘くておいしいね!」
「良かった。お兄ちゃんの方も一口食べてみる?」
「ありがとう!僕のも食べて良いよ。」
「ありがとう。」
久しぶりのジェラートおいしいな。
「日も暮れてきたし、そろそろ宿に戻ろうか。」
「うん。今日はありがとね。お兄ちゃんと一緒に王都を見れて楽しかった!」
僕はジュリアンのこの純粋無垢な笑顔を拝めただけで幸せだ。
反射的に頭をぽんぽんしてしまった。癒やされる。
「お兄ちゃんもジュリアンと一緒に王都を散策できて楽しかったよ。」
僕の返答に少し照れている感じもまたかわいいな。
「お父さんもお兄ちゃんみたいに頭ぽんぽんしてくれれば良いのにな。」
「お兄ちゃんもそう思う。いつも髪の毛ぐちゃぐちゃにされるもんな。今日はいっぱい歩いたけど、疲れてない?」
「うん。大丈夫だよ!」
本人は大丈夫って言っているけど、相当疲れただろうな。
「おんぶする?」
「うんっ。」
「お兄ちゃん。あの人達はどうしたの?」
宿に戻る途中、ジュリアンは僕の耳元でテンションが落ちた声で聞いてきた。
何か心配しているかのような。怪我をしている人でもいたのだろうか。
ジュリアンが指をさしている方に視線を向けると、暗い路地だった。
そこには服はぼろぼろで、ただ時間が過ぎるのをぼーっと待っているだけのようなホームレスと思われる人が数人いた。
年齢層は幅広く、僕やジュリアンくらいの子供もまでいる。
今まで全く気にしたことはなかった。この世界にもホームレスはいるのか。
ゲームにリアル感を持たせるためだろうが、実際に目の当たりにすると心が痛む。
彼らはホームレスになるためだけに作られたのかと。
「うーん。あの人達はどうしたんだろうね。直接聞いてみる?」
本来は犯罪とかに巻き込まれる可能性があるから、関わらない方が良いのかもしれないけど、率直に彼らのことが気になってしまう。
「えっ、でも少し怖いよ。」
「大丈夫。お兄ちゃんが聞くから。」
「行かないで。」
彼らの方に向かおうと歩き出したとき、ジュリアンが僕の肩をぎゅっと掴んだ。
ジュリアンは不安そうな顔でこちらを見つめていた。
今回は諦めた方が良いのかもしれない。
「わかった。宿に戻ろうか。」
初めて王都に行ってしばらく経った後、弟のジュリアンが生まれた。今は6歳。
数日前の誕生日に、魔力を感じ取れるようにしてもらって、現在は絶賛魔法の訓練中。
僕のようにはうまく出来ないみたいで、でもこれが普通らしい。
そしてとうとう聖女がお披露目されるらしく、どうしても見てみたいと言った結果、弟のジュリアンも王都に行ったことがないということで、家族で王都に行くことになった。
王都に到着した後は荷物を宿に預け、僕とジュリアンで王都を散策することになった。
お母さんは王都にいる知り合いに用事があったらしく、僕たち2人で散策するのは心配そうだった。
お父さんは聖女関係で休日出勤を余儀なくされている。
ジュリアンは僕が初めて王都に来たときみたいに、何に関しても驚いているようだった。
僕はあれこれジュリアンに王都のことを説明した。
「お兄ちゃんって王都のこと何でも知っているんだねっ!」
「前に来たことがあるからね。」
「そっか!何回来たことがあるの?」
「えっと、1回かな。」
「1回来ただけでこんなに詳しいの?お兄ちゃんすごい!」
「ありがとう。」
実際はゲームをプレイしていたから詳しいだけなんだけどね。
流石に1回来ただけでは王都全体は網羅できない。前来たときはそんなに見て回れなかったし。
ジュリアンを案内しておいてあれだけど、僕自身も初めて来るところばっかだ。
ジュリアンの前では冷静を装ってるけど、僕自身も結構興奮している。
「お兄ちゃん!あのきれいな色がいっぱいあるのは何?」
ジュリアンの視線の先にはショーケースに並べられているカラフルなジェラートだった。
「あれはジェラートだよ。食べてみる?」
「えっ!食べてみたい!」
「いいよ。どれがいい?」
そういえばこの世界に来てアイスの類いは食べたことなかったかも。
ジュリアンは真剣にジェラートとにらめっこをしている。
「うーん。よく分からないけど、白と赤のやつにする!」
「じゃお兄ちゃんは、黄緑のやつにしようかな。すみません。これとあれをください。」
「はいどうぞ。僕自分で持てる?」
「持てるよ!ありがとう。」
ジュリアンが店員のお姉さんからカップに入ったジェラートを受け取っている。
僕はその間に会計を済まし、どこか座れるところがないか辺りを見渡した。
「ジュリアン、そこで食べようか。」
「はーい。」
ちょうどベンチが空いていたのでそこで食べることにした。
「食べて良い?」
ジュリアンは目をキラキラさせながら聞いてきた。
「うん。もちろん。食べよう。」
「冷たっ!でも甘くておいしいね!」
「良かった。お兄ちゃんの方も一口食べてみる?」
「ありがとう!僕のも食べて良いよ。」
「ありがとう。」
久しぶりのジェラートおいしいな。
「日も暮れてきたし、そろそろ宿に戻ろうか。」
「うん。今日はありがとね。お兄ちゃんと一緒に王都を見れて楽しかった!」
僕はジュリアンのこの純粋無垢な笑顔を拝めただけで幸せだ。
反射的に頭をぽんぽんしてしまった。癒やされる。
「お兄ちゃんもジュリアンと一緒に王都を散策できて楽しかったよ。」
僕の返答に少し照れている感じもまたかわいいな。
「お父さんもお兄ちゃんみたいに頭ぽんぽんしてくれれば良いのにな。」
「お兄ちゃんもそう思う。いつも髪の毛ぐちゃぐちゃにされるもんな。今日はいっぱい歩いたけど、疲れてない?」
「うん。大丈夫だよ!」
本人は大丈夫って言っているけど、相当疲れただろうな。
「おんぶする?」
「うんっ。」
「お兄ちゃん。あの人達はどうしたの?」
宿に戻る途中、ジュリアンは僕の耳元でテンションが落ちた声で聞いてきた。
何か心配しているかのような。怪我をしている人でもいたのだろうか。
ジュリアンが指をさしている方に視線を向けると、暗い路地だった。
そこには服はぼろぼろで、ただ時間が過ぎるのをぼーっと待っているだけのようなホームレスと思われる人が数人いた。
年齢層は幅広く、僕やジュリアンくらいの子供もまでいる。
今まで全く気にしたことはなかった。この世界にもホームレスはいるのか。
ゲームにリアル感を持たせるためだろうが、実際に目の当たりにすると心が痛む。
彼らはホームレスになるためだけに作られたのかと。
「うーん。あの人達はどうしたんだろうね。直接聞いてみる?」
本来は犯罪とかに巻き込まれる可能性があるから、関わらない方が良いのかもしれないけど、率直に彼らのことが気になってしまう。
「えっ、でも少し怖いよ。」
「大丈夫。お兄ちゃんが聞くから。」
「行かないで。」
彼らの方に向かおうと歩き出したとき、ジュリアンが僕の肩をぎゅっと掴んだ。
ジュリアンは不安そうな顔でこちらを見つめていた。
今回は諦めた方が良いのかもしれない。
「わかった。宿に戻ろうか。」
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