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6話 王宮
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ルーカスさんに王宮内を案内してもらっているけど、いろんな部屋がありすぎる。
案内してもらっておいてあれだけど、あの部屋はどこだったでしょうって言われても絶対分からないや。
よくルーカスさんは迷わずに突き進んでいけるな。まぁ慣れなんだろうけど。
「ルーカスさんは王宮内で迷ったこととかありますか?」
「え?そりゃもちろんあるぞ!特に騎士団に入りたての時は毎日迷ってたな。」
「やっぱり初めのうちは迷うんですね。僕も今案内してもらってますけど、1回じゃ覚えられそうにないです。」
「逆に覚えられたら天才だな。まぁでも迷ったら誰かしらに声をかければ教えてくれるから、部屋を把握出来ていなくても、特に問題はないんだけどな。」
「確かに、いろんな人とすれ違いますし、自分で探すより聞いた方が早そうですね。」
「そう!聞くと言えば、俺が騎士団に入団して初っぱな、団長に入団の書類をあの部屋に持って行けって言われて、思わずはい!って言って飛び出しちゃってさ。どこにある部屋なのか分からないままな。でも出てきちゃった手前、一回戻って聞くのもなって思っちゃて、散々迷ったあげく、通り掛かった人に聞いたら、どこにあったと思う?」
「え?どこですか?」
「俺が頼まれた部屋の、隣の部屋だったんだよ。あれはまさかだったなぁ。結局提出して戻ったら帰りが遅いって怒られるし。」
「それは、大変でしたね。ルーカスさんはいつ騎士団に入団されたんですか?」
「16の時だったかな。その頃はまだ身体も出来上がってなかったから訓練もついていくのがやっとだったなぁ。」
「そうだったんですね。」
「あっ悪い。なんか思い出に浸っちゃったな。」
「いえ。お話が聞けて嬉しいです。」
「フランツは本当いいやつだな。弟にしたいくらいだ。」
「ありがとうございます。僕もルーカスさんみたいなお兄ちゃん欲しいです。」
「いつでもお兄ちゃんって思ってくれて良いぞ!」
ルーカスさんは気分が良くなったのか、さっきより歩くスピードが速くなった気がする。
僕としては、遅くして欲しいんだけど……。
王宮が広すぎて、歩くの疲れてきた。
階段も何階分登っただろうか。
下の階の部屋から順番に案内してもらって、大分上の方まで来たと思うんだけど、後どれくらいだろう。
だいぶ足腰に来てる……。正直休憩したいな。
また階段を上り、その先にある扉の前でルーカスさんが足を止めた。
今度はこの部屋を見せてくれるのだろうか。
「フランツ。ここからは目を閉じててな。」
何か特別な部屋なのだろうか。
僕は素直に目を閉じる。
「閉じました。」
「よし。行くぞ!」
「うぁっ。」
まさか抱っこされるとは思わなかった。
手を引いてもらうもんだと思って、手を前に出してたのに。
ドアが開く音が聞こえる。それと同時に風を感じる。
さっきのドアは外に出るドアだったんだ。
てことは……、見る前から分かる。絶対景色良い。
「着いたぞ。準備は良いか?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃ、目開けてみ。」
「うわぁぁぁー!」
「どうだ?すごいだろう。」
「はい。すごいです。」
言葉にならない。こんなにも美しいのか。
ここからは王都を一望できる。
王都に入る橋に、あっ、あそこは僕らが泊まった宿だ。
人もすごく小さい。
上から俯瞰してみると、より王都の街並みの統一感が突出していて、絵画のような芸術的な光景が目の前に広がっている。
「俺、よくここに来るんだ。ここから王都を見てるとまだやれるって思うんだよな。」
ルーカスさんも色々あるんだろうな……。
「確かに、こうやって上から見てると、自分の悩みとかちっぽけだなって思えそうです。」
「フランツはなんか悩んでることとかあるのか?」
「あっいえ。僕は今幸せです。悩みは今のところないですけど、もしあったらそんな感じなんだろうなって思っただけです。」
「なるほどな。これから悩むことも出てくるだろうけど、まぁ悩んだところで全てが解決するわけじゃないし、気楽にあんまり深く悩まないことだな。」
「それって、けっこう難しそうですね。ルーカスさんは、悩みとかあるんですか?」
「俺?まぁこう見えてあったり、なかったり?」
しばらく景色を眺めた後、ふと思った。
「そういえば、ルーカスさんはお仕事大丈夫なんですか?」
「え?あぁ。フレデリックさんが居れば問題ないだろ。」
そこまで言い切るって事は、相当お父さんはすごい人なのだろうか。
「あの、お父さんは騎士団に所属しているんですか?」
「いや。フレデリックさんは騎士団ではないぞ。もしかして知らないのか?」
「はい。まだ、聞いてなくて。」
まぁ確かにお父さんは筋肉はそこそこあるけど、騎士団というには細身の体型な様な気もするか。
「そっか。俺から言っちゃっていいのかな?フレデリックさんは、魔法士団の団長なんだぞ。」
「え?」
「まっ、とにかくお父さんはすごい人だって事だ。」
いやいやいや、今のは理解できなくての”え?”じゃない。
そんなにすごい人だったの?の”え?”だ。
さらっと言ってたけど、今日一のサプライズ情報だ。
「あの、魔法士団って騎士団みたいな感じですか?」
「そうそう。簡単に言えば、魔法か剣かって感じだな。」
そうだったのか。全く知らなかった……。
そもそも魔法士団なんてあったんだ。
案内してもらっておいてあれだけど、あの部屋はどこだったでしょうって言われても絶対分からないや。
よくルーカスさんは迷わずに突き進んでいけるな。まぁ慣れなんだろうけど。
「ルーカスさんは王宮内で迷ったこととかありますか?」
「え?そりゃもちろんあるぞ!特に騎士団に入りたての時は毎日迷ってたな。」
「やっぱり初めのうちは迷うんですね。僕も今案内してもらってますけど、1回じゃ覚えられそうにないです。」
「逆に覚えられたら天才だな。まぁでも迷ったら誰かしらに声をかければ教えてくれるから、部屋を把握出来ていなくても、特に問題はないんだけどな。」
「確かに、いろんな人とすれ違いますし、自分で探すより聞いた方が早そうですね。」
「そう!聞くと言えば、俺が騎士団に入団して初っぱな、団長に入団の書類をあの部屋に持って行けって言われて、思わずはい!って言って飛び出しちゃってさ。どこにある部屋なのか分からないままな。でも出てきちゃった手前、一回戻って聞くのもなって思っちゃて、散々迷ったあげく、通り掛かった人に聞いたら、どこにあったと思う?」
「え?どこですか?」
「俺が頼まれた部屋の、隣の部屋だったんだよ。あれはまさかだったなぁ。結局提出して戻ったら帰りが遅いって怒られるし。」
「それは、大変でしたね。ルーカスさんはいつ騎士団に入団されたんですか?」
「16の時だったかな。その頃はまだ身体も出来上がってなかったから訓練もついていくのがやっとだったなぁ。」
「そうだったんですね。」
「あっ悪い。なんか思い出に浸っちゃったな。」
「いえ。お話が聞けて嬉しいです。」
「フランツは本当いいやつだな。弟にしたいくらいだ。」
「ありがとうございます。僕もルーカスさんみたいなお兄ちゃん欲しいです。」
「いつでもお兄ちゃんって思ってくれて良いぞ!」
ルーカスさんは気分が良くなったのか、さっきより歩くスピードが速くなった気がする。
僕としては、遅くして欲しいんだけど……。
王宮が広すぎて、歩くの疲れてきた。
階段も何階分登っただろうか。
下の階の部屋から順番に案内してもらって、大分上の方まで来たと思うんだけど、後どれくらいだろう。
だいぶ足腰に来てる……。正直休憩したいな。
また階段を上り、その先にある扉の前でルーカスさんが足を止めた。
今度はこの部屋を見せてくれるのだろうか。
「フランツ。ここからは目を閉じててな。」
何か特別な部屋なのだろうか。
僕は素直に目を閉じる。
「閉じました。」
「よし。行くぞ!」
「うぁっ。」
まさか抱っこされるとは思わなかった。
手を引いてもらうもんだと思って、手を前に出してたのに。
ドアが開く音が聞こえる。それと同時に風を感じる。
さっきのドアは外に出るドアだったんだ。
てことは……、見る前から分かる。絶対景色良い。
「着いたぞ。準備は良いか?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃ、目開けてみ。」
「うわぁぁぁー!」
「どうだ?すごいだろう。」
「はい。すごいです。」
言葉にならない。こんなにも美しいのか。
ここからは王都を一望できる。
王都に入る橋に、あっ、あそこは僕らが泊まった宿だ。
人もすごく小さい。
上から俯瞰してみると、より王都の街並みの統一感が突出していて、絵画のような芸術的な光景が目の前に広がっている。
「俺、よくここに来るんだ。ここから王都を見てるとまだやれるって思うんだよな。」
ルーカスさんも色々あるんだろうな……。
「確かに、こうやって上から見てると、自分の悩みとかちっぽけだなって思えそうです。」
「フランツはなんか悩んでることとかあるのか?」
「あっいえ。僕は今幸せです。悩みは今のところないですけど、もしあったらそんな感じなんだろうなって思っただけです。」
「なるほどな。これから悩むことも出てくるだろうけど、まぁ悩んだところで全てが解決するわけじゃないし、気楽にあんまり深く悩まないことだな。」
「それって、けっこう難しそうですね。ルーカスさんは、悩みとかあるんですか?」
「俺?まぁこう見えてあったり、なかったり?」
しばらく景色を眺めた後、ふと思った。
「そういえば、ルーカスさんはお仕事大丈夫なんですか?」
「え?あぁ。フレデリックさんが居れば問題ないだろ。」
そこまで言い切るって事は、相当お父さんはすごい人なのだろうか。
「あの、お父さんは騎士団に所属しているんですか?」
「いや。フレデリックさんは騎士団ではないぞ。もしかして知らないのか?」
「はい。まだ、聞いてなくて。」
まぁ確かにお父さんは筋肉はそこそこあるけど、騎士団というには細身の体型な様な気もするか。
「そっか。俺から言っちゃっていいのかな?フレデリックさんは、魔法士団の団長なんだぞ。」
「え?」
「まっ、とにかくお父さんはすごい人だって事だ。」
いやいやいや、今のは理解できなくての”え?”じゃない。
そんなにすごい人だったの?の”え?”だ。
さらっと言ってたけど、今日一のサプライズ情報だ。
「あの、魔法士団って騎士団みたいな感じですか?」
「そうそう。簡単に言えば、魔法か剣かって感じだな。」
そうだったのか。全く知らなかった……。
そもそも魔法士団なんてあったんだ。
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