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ぽんっ! ぴんぽんっ! ぴんぽんっ!
「うぁ…」
ぐったりする夢を幾つかたて続けに見て、それも全部同じような内容だと気づいたあたりで目が覚めた。
ぴんぽんっ! ぴんぽんっ!
「なに……一体……」
けたたましく鳴っているのはドアチャイム、のろのろと時間を確認すると、いつの間にかもう夜の0時を回っている。
ぴんぽんっ! ぴんぽんっ! ぴんぽんっ! ぴんぽんっ!
「爆睡したな~……って、うるせえっ」
何だよ、もー、猛ってばちゃんと鍵持ってるくせに、何で病人を叩き起こすかなあ、医者の風上にもおけないじゃん。
ぼやきながらのそのそスリッパ引っ掛けて、パジャマにジャケット羽織って玄関ドアを開ける。
「聞こえてるって、何度鳴らせば気が済むんだよ、だいたい……」
「……聞こえてるなら、さっさと開けろ」
開いたドアの向こうから、地獄の王子もかくやというような声を出したのは三上。しかも、その肩からに乗っかってるでっかい体に今にも潰されそうになっている。
「三上さん?? それ……猛??」
「それ以外の誰を僕が運んでこなくちゃならない。さっさと降ろさせてくれ」
「あ、はいはいっ」
慌ててとっさに道を開け、はっと我に返って三上の肩の猛を支えて玄関に連れ込んだ。
「何、一体どうしたの、猛?」
覗き込むと、相手は目を閉じてくたりと正体をなくしている。微かに酒の匂いがして、正志は顔をしかめた。
「三上さん、猛に酒飲ませたんですか?」
「飲ませた、んじゃない、飲んでたのを、連れ帰った、んだ」
微かに息を荒げながら、三上が猛を引きずって廊下を行く。急いで猛の靴を脱がせて玄関を閉め、あ、そこ右行ったらドアあります、その左側のやつが寝室ですから、と声をかけると、唸るような声で応じてそのままずるずる奥へ進んだ。
こうしてみると、三上の方が少し背が低くて華奢に見える。どこから引きずってきたのかわからないけど、眠り込んだ猛をソファからベッドへ連れてくだけでも結構な仕事だから、あの体格であれだ
けのことしてみせるなんて、やっぱり愛だろうかとかぼんやり考えてしまってると、寝室のドアの前で三上が固まっている。
「あ、すいません、ドア開けますね」
急いで駆け寄りながら、あれ、でも開いてたよね、と思って覗き込むと、確かにドアは開いたままだ。
「あ、猛のベッド、入ったとこ、左ですから」
「………一緒なのか」
「は?」
「……一緒の部屋なのか」
えーと、何が一緒?
首を傾げたとたんに、じろりと冷たい目で三上が見返してきて、あ、と思った。
「あ、え、でも、いや、別にベッドは別だしっ、部屋が一緒でも、一緒に寝ることって意外に少なくてっ!」
「一緒に、寝る?」
「は……違いますっ、違いますからっっ!」
「……もういい」
これはとんでもない誤解を重ねていきつつあるのではないか。
そううろたえた正志を放って、三上は厳しい顔で猛をベッドへ引きずっていく。上掛けは捲ったままになっているところへ、どさりと重そうに落としてため息をついたあたりで、とにかくコーヒーでも淹れてこようと部屋を出かけたとたん、甘えた猛の声が響いてぎょっとした。
「まーちゃん……もっとぉ」
「うぁ…」
ぐったりする夢を幾つかたて続けに見て、それも全部同じような内容だと気づいたあたりで目が覚めた。
ぴんぽんっ! ぴんぽんっ!
「なに……一体……」
けたたましく鳴っているのはドアチャイム、のろのろと時間を確認すると、いつの間にかもう夜の0時を回っている。
ぴんぽんっ! ぴんぽんっ! ぴんぽんっ! ぴんぽんっ!
「爆睡したな~……って、うるせえっ」
何だよ、もー、猛ってばちゃんと鍵持ってるくせに、何で病人を叩き起こすかなあ、医者の風上にもおけないじゃん。
ぼやきながらのそのそスリッパ引っ掛けて、パジャマにジャケット羽織って玄関ドアを開ける。
「聞こえてるって、何度鳴らせば気が済むんだよ、だいたい……」
「……聞こえてるなら、さっさと開けろ」
開いたドアの向こうから、地獄の王子もかくやというような声を出したのは三上。しかも、その肩からに乗っかってるでっかい体に今にも潰されそうになっている。
「三上さん?? それ……猛??」
「それ以外の誰を僕が運んでこなくちゃならない。さっさと降ろさせてくれ」
「あ、はいはいっ」
慌ててとっさに道を開け、はっと我に返って三上の肩の猛を支えて玄関に連れ込んだ。
「何、一体どうしたの、猛?」
覗き込むと、相手は目を閉じてくたりと正体をなくしている。微かに酒の匂いがして、正志は顔をしかめた。
「三上さん、猛に酒飲ませたんですか?」
「飲ませた、んじゃない、飲んでたのを、連れ帰った、んだ」
微かに息を荒げながら、三上が猛を引きずって廊下を行く。急いで猛の靴を脱がせて玄関を閉め、あ、そこ右行ったらドアあります、その左側のやつが寝室ですから、と声をかけると、唸るような声で応じてそのままずるずる奥へ進んだ。
こうしてみると、三上の方が少し背が低くて華奢に見える。どこから引きずってきたのかわからないけど、眠り込んだ猛をソファからベッドへ連れてくだけでも結構な仕事だから、あの体格であれだ
けのことしてみせるなんて、やっぱり愛だろうかとかぼんやり考えてしまってると、寝室のドアの前で三上が固まっている。
「あ、すいません、ドア開けますね」
急いで駆け寄りながら、あれ、でも開いてたよね、と思って覗き込むと、確かにドアは開いたままだ。
「あ、猛のベッド、入ったとこ、左ですから」
「………一緒なのか」
「は?」
「……一緒の部屋なのか」
えーと、何が一緒?
首を傾げたとたんに、じろりと冷たい目で三上が見返してきて、あ、と思った。
「あ、え、でも、いや、別にベッドは別だしっ、部屋が一緒でも、一緒に寝ることって意外に少なくてっ!」
「一緒に、寝る?」
「は……違いますっ、違いますからっっ!」
「……もういい」
これはとんでもない誤解を重ねていきつつあるのではないか。
そううろたえた正志を放って、三上は厳しい顔で猛をベッドへ引きずっていく。上掛けは捲ったままになっているところへ、どさりと重そうに落としてため息をついたあたりで、とにかくコーヒーでも淹れてこようと部屋を出かけたとたん、甘えた猛の声が響いてぎょっとした。
「まーちゃん……もっとぉ」
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