『闇を闇から』番外編

segakiyui

文字の大きさ
上 下
25 / 48

『火傷』

しおりを挟む
 ごくり、と唾を呑む。
「………あぶない……なあ…」
 呟きつつも、京介が手にしていたのは美並が口紅を押さえたティッシュ。

 今朝寝坊しかけて、慌てて準備をして部屋を出て行った美並が、珍しく洗面所に忘れていった。急いでたんだなあ、とそれを捨てようとして、ふわりとついたその紅にどきりとした。
「美並の……唇」
 夕べも、今朝もちゃんと触れて確かめたのだけど、確認と満足は違う。京介はずっと美並の唇に満足しきることなんてないんじゃないかと思う。
 いつも欲しい。
 ずっと欲しい。
 できれば、唇以外のところにもずっと。
 ふと覗き込んだ鏡の中で、首筋の下、シャツにきちんと隠れるところに赤い跡がついているのを見つけて、切なくなってしまった体がそう訴えている。
 だから、つい。

「……キス」
 首筋についた跡に、ティッシュをそっと押し当ててみた。
 もちろん感触は全く違うのだけど、それでも、じり、と疼くように熱い感触が体の内側に響いてきて、思わず眉を寄せる。
「ふ…」
 美並にキスされてるみたいだよね。
 ゆっくり加熱していく頭が気持ちよくて、もう少し下についているキスマークにも当ててみる。
「…っ」
 焼かれるような甘い傷みを勝手に体が想像した。
 ぞくんと震えたのは、反応し出した下半身のせいで。
「………あぶない……なあ…」
 唾を呑み込んで、そろそろともっと下に。
「それ以上したら、今夜は戻ってきませんよ?」
「ひえ!」
 いきなり背中から言われて顔を上げると、鏡の中に美並の困りきった複雑な顔。
「定期を忘れたから戻ってみれば」
「あ……はは」
「京介」
「……はい」
 しゅん、としてティッシュを美並に返すと、ちゅ、と本物にキスされて目を見開く。
「ばか」
「ん」
「遅れますよ?」
 美並、今夜は?
 身を翻す相手に慌てて問いかけると、振り返らないまま、仕事頑張って終わらせましょうね、と返されて、京介はにこにこした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】お父さんとエッチした日

ねんごろ
恋愛
「お、おい……」 「あっ、お、お父さん……」  私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。  それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R18】私はお父さんの性処理係

神通百力
恋愛
麗華は寝ていたが、誰かが乳房を揉んでいることに気付き、ゆっくりと目を開けた。父親が鼻息を荒くし、麗華の乳房を揉んでいた。父親は麗華が起きたことに気付くと、ズボンとパンティーを脱がし、オマンコを広げるように命令した。稲凪七衣名義でノクターンノベルズにも投稿しています。

とりあえず、後ろから

ZigZag
恋愛
ほぼ、アレの描写しかないアダルト小説です。お察しください。

処理中です...