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『火傷』
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ごくり、と唾を呑む。
「………あぶない……なあ…」
呟きつつも、京介が手にしていたのは美並が口紅を押さえたティッシュ。
今朝寝坊しかけて、慌てて準備をして部屋を出て行った美並が、珍しく洗面所に忘れていった。急いでたんだなあ、とそれを捨てようとして、ふわりとついたその紅にどきりとした。
「美並の……唇」
夕べも、今朝もちゃんと触れて確かめたのだけど、確認と満足は違う。京介はずっと美並の唇に満足しきることなんてないんじゃないかと思う。
いつも欲しい。
ずっと欲しい。
できれば、唇以外のところにもずっと。
ふと覗き込んだ鏡の中で、首筋の下、シャツにきちんと隠れるところに赤い跡がついているのを見つけて、切なくなってしまった体がそう訴えている。
だから、つい。
「……キス」
首筋についた跡に、ティッシュをそっと押し当ててみた。
もちろん感触は全く違うのだけど、それでも、じり、と疼くように熱い感触が体の内側に響いてきて、思わず眉を寄せる。
「ふ…」
美並にキスされてるみたいだよね。
ゆっくり加熱していく頭が気持ちよくて、もう少し下についているキスマークにも当ててみる。
「…っ」
焼かれるような甘い傷みを勝手に体が想像した。
ぞくんと震えたのは、反応し出した下半身のせいで。
「………あぶない……なあ…」
唾を呑み込んで、そろそろともっと下に。
「それ以上したら、今夜は戻ってきませんよ?」
「ひえ!」
いきなり背中から言われて顔を上げると、鏡の中に美並の困りきった複雑な顔。
「定期を忘れたから戻ってみれば」
「あ……はは」
「京介」
「……はい」
しゅん、としてティッシュを美並に返すと、ちゅ、と本物にキスされて目を見開く。
「ばか」
「ん」
「遅れますよ?」
美並、今夜は?
身を翻す相手に慌てて問いかけると、振り返らないまま、仕事頑張って終わらせましょうね、と返されて、京介はにこにこした。
「………あぶない……なあ…」
呟きつつも、京介が手にしていたのは美並が口紅を押さえたティッシュ。
今朝寝坊しかけて、慌てて準備をして部屋を出て行った美並が、珍しく洗面所に忘れていった。急いでたんだなあ、とそれを捨てようとして、ふわりとついたその紅にどきりとした。
「美並の……唇」
夕べも、今朝もちゃんと触れて確かめたのだけど、確認と満足は違う。京介はずっと美並の唇に満足しきることなんてないんじゃないかと思う。
いつも欲しい。
ずっと欲しい。
できれば、唇以外のところにもずっと。
ふと覗き込んだ鏡の中で、首筋の下、シャツにきちんと隠れるところに赤い跡がついているのを見つけて、切なくなってしまった体がそう訴えている。
だから、つい。
「……キス」
首筋についた跡に、ティッシュをそっと押し当ててみた。
もちろん感触は全く違うのだけど、それでも、じり、と疼くように熱い感触が体の内側に響いてきて、思わず眉を寄せる。
「ふ…」
美並にキスされてるみたいだよね。
ゆっくり加熱していく頭が気持ちよくて、もう少し下についているキスマークにも当ててみる。
「…っ」
焼かれるような甘い傷みを勝手に体が想像した。
ぞくんと震えたのは、反応し出した下半身のせいで。
「………あぶない……なあ…」
唾を呑み込んで、そろそろともっと下に。
「それ以上したら、今夜は戻ってきませんよ?」
「ひえ!」
いきなり背中から言われて顔を上げると、鏡の中に美並の困りきった複雑な顔。
「定期を忘れたから戻ってみれば」
「あ……はは」
「京介」
「……はい」
しゅん、としてティッシュを美並に返すと、ちゅ、と本物にキスされて目を見開く。
「ばか」
「ん」
「遅れますよ?」
美並、今夜は?
身を翻す相手に慌てて問いかけると、振り返らないまま、仕事頑張って終わらせましょうね、と返されて、京介はにこにこした。
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