102 / 119
SSS73『宇宙(そら)の遺言』
しおりを挟む
愛するみんな。
僕は今、宇宙空間JXTEにいます。そう、わかるでしょう? あの特殊戦闘域のJXTEです。目の前に敵軍の待ち伏せるブルーの惑星があまりにも美しく、輝いていて、変光ガラスでやっと目を傷めずにいます。
こうしていると、あの懐かしい日々が蘇って来て、僕は限りなく小さくなり、星のプラズマの粒子になりそうです。地上にいる時、本当に宇宙が恋しくて、出かけたくて、その中に溶け込みたくて、ああ、気が狂いそうでした。だから、こうしてここに居る。そりゃそうですよね。
戦闘開始まで後35秒。急いでこれを書き上げなきゃ。僕は若さの持つ、あの響きに負けちゃって、飛び出して来てしまった。でも、焦る者の末路はこうなるんですね。味方のための囮、ああ、そして、敵軍と一緒に殺される。僕についている特殊な発信装置を目当てに、味方はレーダーに映らない敵をやっつけるという作戦。
隊一番の切れ者のリャドが提案したんです。もちろん、リャドも同じ船に乗っています。さっきちょっと話をしましたが、あいつったら「宇宙で死ぬなら本望さ」なんてことを言ってやがった。さっぱりしたいい奴なのに。こんなことで死んじまうなんて。
だから、僕、ちょっと細工をして、つい今しがた、緊急の救助船に乗せて母星に送り返しちゃった。きっと死んでから、ひどく怒られるでしょうね。まあいいや。後10秒。
愛する、愛するみんな。僕はどうして宇宙に来ちゃったんだろう? あの、ああ、あの美しい地球! こうして、遥か遠くにその姿を認めるたびに、ひどく悲しくなります。僕は本当は地球で死にたかった………。
激しい闘争の後、虚空にただ一人浮かぶ年若い少年パイロット。その手に握りしめられた1つの通信カプセル。その中身を読む者は誰もいない。
全ては無に………最終戦争は、全てを無にした。
終わり
僕は今、宇宙空間JXTEにいます。そう、わかるでしょう? あの特殊戦闘域のJXTEです。目の前に敵軍の待ち伏せるブルーの惑星があまりにも美しく、輝いていて、変光ガラスでやっと目を傷めずにいます。
こうしていると、あの懐かしい日々が蘇って来て、僕は限りなく小さくなり、星のプラズマの粒子になりそうです。地上にいる時、本当に宇宙が恋しくて、出かけたくて、その中に溶け込みたくて、ああ、気が狂いそうでした。だから、こうしてここに居る。そりゃそうですよね。
戦闘開始まで後35秒。急いでこれを書き上げなきゃ。僕は若さの持つ、あの響きに負けちゃって、飛び出して来てしまった。でも、焦る者の末路はこうなるんですね。味方のための囮、ああ、そして、敵軍と一緒に殺される。僕についている特殊な発信装置を目当てに、味方はレーダーに映らない敵をやっつけるという作戦。
隊一番の切れ者のリャドが提案したんです。もちろん、リャドも同じ船に乗っています。さっきちょっと話をしましたが、あいつったら「宇宙で死ぬなら本望さ」なんてことを言ってやがった。さっぱりしたいい奴なのに。こんなことで死んじまうなんて。
だから、僕、ちょっと細工をして、つい今しがた、緊急の救助船に乗せて母星に送り返しちゃった。きっと死んでから、ひどく怒られるでしょうね。まあいいや。後10秒。
愛する、愛するみんな。僕はどうして宇宙に来ちゃったんだろう? あの、ああ、あの美しい地球! こうして、遥か遠くにその姿を認めるたびに、ひどく悲しくなります。僕は本当は地球で死にたかった………。
激しい闘争の後、虚空にただ一人浮かぶ年若い少年パイロット。その手に握りしめられた1つの通信カプセル。その中身を読む者は誰もいない。
全ては無に………最終戦争は、全てを無にした。
終わり
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる