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『憧れの人』
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「え?」
マキノさんは郵便受けから取り出した葉書を見てびっくりしました。
「あの人が来るんですって?」
青い葉書には几帳面で丁寧な文字が並んでいます。
『お元気ですか。この度、急な用事でそちらの方へ出掛けます。マキノさんの町にも立ち寄れそうです。もし、お忙しいのでなければ、一度お会い出来ませんか。駅のホーム、10時20分にお待ちしています。楽しみにしております』
「遠い町に住んでいるから、会うのはとても無理だと思っていたのに……まあまあ、なんてこと!」
マキノさんはワクワクして葉書を抱きしめました。
その途端、です。
「あら……大変」
葉書を包み込んでいた自分の両手に触って、マキノさんは呟きました。
水仕事で荒れて、潤いも艶もなくなってしまった、カサカサの両手。
「こんな手で……あの人と握手なんて、失礼だわねえ…」
『あの人』とはマキノさんの文通の相手です。
新聞の投稿欄に載せられた彼の詩を読んでから、マキノさんはたちまちファンになってしまいました。
おそるおそる、感想や身の回りのことを書いた手紙を出すと、とても綺麗な青色の封筒と便箋で返事が戻ってきました。
それから10年、マキノさんと『あの人』の文通はずっと続いてきたのです。
手紙の内容は、いつも周りの人や自然のことです。読んだ本や見た映画のことも書いたことがあります。けれども、マキノさんの事を書いたり、『あの人』がどう言う仕事をしているとか結婚しているとかいった返事をもらったことはありません。
マキノさんが『あの人』についてはよく知らないのと同じぐらい、『あの人』もマキノさんについては知らないはずです。
手紙のやり取りで嘘をついたつもりはないのですが、マキノさんがかなりのおばあさんであんまりきれいではないことを、『あの人』は知りません。
初めての出会いになるのです。
「そうだ」
マキノさんは、葉書をこたつの上に置くと、立ち上がって押入れを開けました。
「確か、おばあちゃんが残しておいてくれた本に、手をすべすべにする方法が書いてあったはずだわ」
ごそごそ、がたがた、ぱたん、ぱたん。
あちらの箱、こちらの箱と開けていたマキノさんは、一番奥に入っていた箱から、ようやく目当ての本を探し出しました。
茶色の布で貼った本です。ひどく薄くて、中の紙も端の方がボロボロになっており、そっとそっと捲らなくてはなりません。
目次には、いろんな秘密の方法が書かれていました。
例えば、『笑いすぎて出来てしまった皺を伸ばす方法』。『大切なものを間違って捨ててしまった時に使う方法』。『大好きな相手を嫌いになりたい時に使う方法』なんて言うものもあります。
1つずつ、指で押さえて目次を読んだマキノさんは、最後から2つ前で『手をすべすべにする方法』を見つけました。
ところが、その下に、小さな文字でこう付け加えてあります。
『但し、片方の手だけ。1時間だけ』
「片手、1時間だけ、ですって?」
マキノさんは本を広げたまま考え込みましたが、やがて、思い切ったように呟きました。
「そうね。握手だけなら、片手で十分だわ。それに、1時間あれば、言うことなしよ。えーと、ふむふむ、何がいるのかしら?」
本を見ながら、マキノさんは、その方法に必要なものを集め始めました。
1つ、30度のお湯。
1つ、小麦粉、少々。
1つ、砂糖、大さじ1杯。
1つ、特別製の粉薬、耳かき1杯(これは絶対必要)。
「粉薬?」
マキノさんは、慌てて本の最後の1ページを開きました。そこに、小さな紙袋が幾つかくっついています。いろんな色に塗り分けられた袋の中に、白い手が描かれた袋がありました。
「これかしら?」
そっとページから袋を引っ張ると、かさっと音がして袋が外れました。裏を返してみると『手をすべすべにする方法用』と書かれています。
マキノさんは安心して、それらの材料を台所のテーブルの上に並べました。
『あの人』が来るのは明日です。
マキノさんは、その夜、早く眠りました。
次の日、時計とにらめっこしながら、マキノさんは『手をすべすべにする方法』に取り掛かりました。
駅のホームに10時20分。
マキノさんの家から駅までは、歩いて10分。駅の改札口を抜けてホームまでが2、3分。
『手をすべすべにする方法』は1時間しか保たないから、10時から始めて丁度でしょう。
マキノさんは、10時少し前から、材料を混ぜて捏ね合わせました。
胸がドキドキ鳴っています。うまくいかなかったらどうしよう。うまくいっても、駅で『あの人』に合っている間に『方法』が切れてしまったらどうしよう。
捏ね合わせたものを、マキノさんは右手に丁寧に塗りました。隅々まで塗り終えた後、1分間待って、それから水で洗います。
「出来た! まあ、本当にすべすべ!」
洗い終わった右手と左手を並べて、マキノさんはうっとりと眺めました。
左手はガサガサでささくれだっています。つるつるすべすべになった右手と並べると、一層汚く見えました。
「よかった、あの本があって。おばあちゃんのおかげね」
呟いたマキノさんは、はたと時計に気が付きました。
「あら、10時を回ってる。急がなくちゃ」
慌てて立ち上がり、後片付けもそこそこに、マキノさんはとっておきのワンピースを着ました。髪をブラシで梳いて、お気に入りの靴を履き、出かけようとした途端、マキノさんは気が付きました。
「そうだわ。こんなに右と左の手が違うのは変よね。手袋をしていって、握手の時に右だけ手袋を取りましょう」
時計は10時10分になりました。
マキノさんは大急ぎで家を出て行きました。
マキノさんが駅の改札口を通ったのは、10時25分。
途中で転びかけて足を挫き、それで遅れてしまったのです。
「大丈夫かしら、遅れてしまった。『あの人』は待っててくれるかしら。それとも、急いでいると言っていたから、もう行ってしまったのかも」
ホームへの階段を駆け上がり、マキノさんは息を弾ませて立ち止まりました。
電車は行ったばかりなのでしょう、ホームはガランとしています。
「ああ、やっぱり」
マキノさんはがっかりしました。
こんなことならば、手のことなんか気にせずに、まっすぐ駅に来れば良かった。握手をするのは無理でも、きっと素敵な話が聞けただろう。自分を飾らず、そのまま来れば良かった。
そう思うと、ふいにとても疲れてしまって、マキノさんはホームのベンチに腰をおろしました。
「もしもし、あの、マキノさんですか」
そのマキノさんに、声を掛けた人がいました。
「はい?」
「あの、僕、モリヤマですが」
「え…」
マキノさんは飛び上がりました。
いつの間にか、目の前に1人の男の人が立っています。
少し猫背の、丸いふっくらした体つき。黒い縁のメガネの奥から、小さな丸い目が眩そうに笑いかけています。
『あの人』です。
「あのっ、あのっ、マキノです。初めまして! お会い出来て、嬉しいです!」
マキノさんは、思わず大きな声で言いました。そして、お辞儀もしていなかったことに気が付いて、慌ててぴょこんと頭を下げました。
「僕も会えて嬉しいです。予定が早まって、実は次の電車で行かなくてはならなくなったんです。お会いできないかもと思っていたんですよ」
「私も、私も」
マキノさんは笑いました。
「でも、お会いできて、何よりです」
「本当に。でも、もっとゆっくり出来れば……ああ、電車が入ってきた」
『あの人』のことばにマキノさんは振り返りました。
小豆色の電車がのんびりとホームに入ってきます。止まったら、5分ほどで出て行ってしまう電車です。
「よろしければ、これからも文通を続けて頂ければ……握手をして下さいますか」
「ええ、もちろん!」
『あの人』が振り向いて、マキノさんは右手の手袋を取り、意気揚々と差し出しました。すべすべつるつるのきれいな右手、『あの人』のためのきれいな右手。
「あら…」
「あの…」
ところが、2人も戸惑ってしまいました。『あの人』が差し出したのは左手だったのです。
「あの…ですね」
やがて、『あの人』は優しく笑って、まっすぐ伸ばしたままの右手を撫でました。
「僕の右手は義手なんです。交通事故で失くしてしまって……だから、左手で握手してもらえませんか」
「あ、ああ、ごめんなさい!」
マキノさんは、恥ずかしくなって謝りました。
握手は誰でも右手でするもの。できない人なんているわけがない。
自分がそう思い込んでいて、『あの人』に決まりの悪い思いをさせたと思ったのです。
けれども、きれいなのは右手だけです。左手は元のガサガサのままなのです。
マキノさんは手袋の中で左手をぎゅっと握りしめました。さっき、ベンチで考えたことを思い出しました。
自分を飾らず、そのまま来れば良かった。きれいな手で握手できないことより、握手できないこと、会えないことがもっと悲しいことだった。マキノさんは、そう思ったのです。
勇気を出して、マキノさんは左手の手袋を取りました。それから、その手でしっかりと『あの人』の手を握りました。
「ああ、あったかな手だ、優しい手だ。あなたは思っていた通りの人でした」
『あの人』が嬉しそうに言いました。
その時、電車の発車ベルがなりました。同時に、どうしたことでしょう、1時間は保つはずの『方法』が、しゅわしゅわと右手から抜けていきました。
ちょっとびっくりした顔になった『あの人』の左手に、マキノさんは右手も重ねて握りしめました。
終わり
マキノさんは郵便受けから取り出した葉書を見てびっくりしました。
「あの人が来るんですって?」
青い葉書には几帳面で丁寧な文字が並んでいます。
『お元気ですか。この度、急な用事でそちらの方へ出掛けます。マキノさんの町にも立ち寄れそうです。もし、お忙しいのでなければ、一度お会い出来ませんか。駅のホーム、10時20分にお待ちしています。楽しみにしております』
「遠い町に住んでいるから、会うのはとても無理だと思っていたのに……まあまあ、なんてこと!」
マキノさんはワクワクして葉書を抱きしめました。
その途端、です。
「あら……大変」
葉書を包み込んでいた自分の両手に触って、マキノさんは呟きました。
水仕事で荒れて、潤いも艶もなくなってしまった、カサカサの両手。
「こんな手で……あの人と握手なんて、失礼だわねえ…」
『あの人』とはマキノさんの文通の相手です。
新聞の投稿欄に載せられた彼の詩を読んでから、マキノさんはたちまちファンになってしまいました。
おそるおそる、感想や身の回りのことを書いた手紙を出すと、とても綺麗な青色の封筒と便箋で返事が戻ってきました。
それから10年、マキノさんと『あの人』の文通はずっと続いてきたのです。
手紙の内容は、いつも周りの人や自然のことです。読んだ本や見た映画のことも書いたことがあります。けれども、マキノさんの事を書いたり、『あの人』がどう言う仕事をしているとか結婚しているとかいった返事をもらったことはありません。
マキノさんが『あの人』についてはよく知らないのと同じぐらい、『あの人』もマキノさんについては知らないはずです。
手紙のやり取りで嘘をついたつもりはないのですが、マキノさんがかなりのおばあさんであんまりきれいではないことを、『あの人』は知りません。
初めての出会いになるのです。
「そうだ」
マキノさんは、葉書をこたつの上に置くと、立ち上がって押入れを開けました。
「確か、おばあちゃんが残しておいてくれた本に、手をすべすべにする方法が書いてあったはずだわ」
ごそごそ、がたがた、ぱたん、ぱたん。
あちらの箱、こちらの箱と開けていたマキノさんは、一番奥に入っていた箱から、ようやく目当ての本を探し出しました。
茶色の布で貼った本です。ひどく薄くて、中の紙も端の方がボロボロになっており、そっとそっと捲らなくてはなりません。
目次には、いろんな秘密の方法が書かれていました。
例えば、『笑いすぎて出来てしまった皺を伸ばす方法』。『大切なものを間違って捨ててしまった時に使う方法』。『大好きな相手を嫌いになりたい時に使う方法』なんて言うものもあります。
1つずつ、指で押さえて目次を読んだマキノさんは、最後から2つ前で『手をすべすべにする方法』を見つけました。
ところが、その下に、小さな文字でこう付け加えてあります。
『但し、片方の手だけ。1時間だけ』
「片手、1時間だけ、ですって?」
マキノさんは本を広げたまま考え込みましたが、やがて、思い切ったように呟きました。
「そうね。握手だけなら、片手で十分だわ。それに、1時間あれば、言うことなしよ。えーと、ふむふむ、何がいるのかしら?」
本を見ながら、マキノさんは、その方法に必要なものを集め始めました。
1つ、30度のお湯。
1つ、小麦粉、少々。
1つ、砂糖、大さじ1杯。
1つ、特別製の粉薬、耳かき1杯(これは絶対必要)。
「粉薬?」
マキノさんは、慌てて本の最後の1ページを開きました。そこに、小さな紙袋が幾つかくっついています。いろんな色に塗り分けられた袋の中に、白い手が描かれた袋がありました。
「これかしら?」
そっとページから袋を引っ張ると、かさっと音がして袋が外れました。裏を返してみると『手をすべすべにする方法用』と書かれています。
マキノさんは安心して、それらの材料を台所のテーブルの上に並べました。
『あの人』が来るのは明日です。
マキノさんは、その夜、早く眠りました。
次の日、時計とにらめっこしながら、マキノさんは『手をすべすべにする方法』に取り掛かりました。
駅のホームに10時20分。
マキノさんの家から駅までは、歩いて10分。駅の改札口を抜けてホームまでが2、3分。
『手をすべすべにする方法』は1時間しか保たないから、10時から始めて丁度でしょう。
マキノさんは、10時少し前から、材料を混ぜて捏ね合わせました。
胸がドキドキ鳴っています。うまくいかなかったらどうしよう。うまくいっても、駅で『あの人』に合っている間に『方法』が切れてしまったらどうしよう。
捏ね合わせたものを、マキノさんは右手に丁寧に塗りました。隅々まで塗り終えた後、1分間待って、それから水で洗います。
「出来た! まあ、本当にすべすべ!」
洗い終わった右手と左手を並べて、マキノさんはうっとりと眺めました。
左手はガサガサでささくれだっています。つるつるすべすべになった右手と並べると、一層汚く見えました。
「よかった、あの本があって。おばあちゃんのおかげね」
呟いたマキノさんは、はたと時計に気が付きました。
「あら、10時を回ってる。急がなくちゃ」
慌てて立ち上がり、後片付けもそこそこに、マキノさんはとっておきのワンピースを着ました。髪をブラシで梳いて、お気に入りの靴を履き、出かけようとした途端、マキノさんは気が付きました。
「そうだわ。こんなに右と左の手が違うのは変よね。手袋をしていって、握手の時に右だけ手袋を取りましょう」
時計は10時10分になりました。
マキノさんは大急ぎで家を出て行きました。
マキノさんが駅の改札口を通ったのは、10時25分。
途中で転びかけて足を挫き、それで遅れてしまったのです。
「大丈夫かしら、遅れてしまった。『あの人』は待っててくれるかしら。それとも、急いでいると言っていたから、もう行ってしまったのかも」
ホームへの階段を駆け上がり、マキノさんは息を弾ませて立ち止まりました。
電車は行ったばかりなのでしょう、ホームはガランとしています。
「ああ、やっぱり」
マキノさんはがっかりしました。
こんなことならば、手のことなんか気にせずに、まっすぐ駅に来れば良かった。握手をするのは無理でも、きっと素敵な話が聞けただろう。自分を飾らず、そのまま来れば良かった。
そう思うと、ふいにとても疲れてしまって、マキノさんはホームのベンチに腰をおろしました。
「もしもし、あの、マキノさんですか」
そのマキノさんに、声を掛けた人がいました。
「はい?」
「あの、僕、モリヤマですが」
「え…」
マキノさんは飛び上がりました。
いつの間にか、目の前に1人の男の人が立っています。
少し猫背の、丸いふっくらした体つき。黒い縁のメガネの奥から、小さな丸い目が眩そうに笑いかけています。
『あの人』です。
「あのっ、あのっ、マキノです。初めまして! お会い出来て、嬉しいです!」
マキノさんは、思わず大きな声で言いました。そして、お辞儀もしていなかったことに気が付いて、慌ててぴょこんと頭を下げました。
「僕も会えて嬉しいです。予定が早まって、実は次の電車で行かなくてはならなくなったんです。お会いできないかもと思っていたんですよ」
「私も、私も」
マキノさんは笑いました。
「でも、お会いできて、何よりです」
「本当に。でも、もっとゆっくり出来れば……ああ、電車が入ってきた」
『あの人』のことばにマキノさんは振り返りました。
小豆色の電車がのんびりとホームに入ってきます。止まったら、5分ほどで出て行ってしまう電車です。
「よろしければ、これからも文通を続けて頂ければ……握手をして下さいますか」
「ええ、もちろん!」
『あの人』が振り向いて、マキノさんは右手の手袋を取り、意気揚々と差し出しました。すべすべつるつるのきれいな右手、『あの人』のためのきれいな右手。
「あら…」
「あの…」
ところが、2人も戸惑ってしまいました。『あの人』が差し出したのは左手だったのです。
「あの…ですね」
やがて、『あの人』は優しく笑って、まっすぐ伸ばしたままの右手を撫でました。
「僕の右手は義手なんです。交通事故で失くしてしまって……だから、左手で握手してもらえませんか」
「あ、ああ、ごめんなさい!」
マキノさんは、恥ずかしくなって謝りました。
握手は誰でも右手でするもの。できない人なんているわけがない。
自分がそう思い込んでいて、『あの人』に決まりの悪い思いをさせたと思ったのです。
けれども、きれいなのは右手だけです。左手は元のガサガサのままなのです。
マキノさんは手袋の中で左手をぎゅっと握りしめました。さっき、ベンチで考えたことを思い出しました。
自分を飾らず、そのまま来れば良かった。きれいな手で握手できないことより、握手できないこと、会えないことがもっと悲しいことだった。マキノさんは、そう思ったのです。
勇気を出して、マキノさんは左手の手袋を取りました。それから、その手でしっかりと『あの人』の手を握りました。
「ああ、あったかな手だ、優しい手だ。あなたは思っていた通りの人でした」
『あの人』が嬉しそうに言いました。
その時、電車の発車ベルがなりました。同時に、どうしたことでしょう、1時間は保つはずの『方法』が、しゅわしゅわと右手から抜けていきました。
ちょっとびっくりした顔になった『あの人』の左手に、マキノさんは右手も重ねて握りしめました。
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