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第1話 出戻り姫と腹黒王
4.衣装選びに参りましょう(3)
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「……ふうう」
シャルンの衣装選びの後、居室に戻ったレダンは、またもやぐったりと長椅子に寝そべる。
「お疲れ様でした、と言いたいところですが自業自得です。公務が残っていますからね」
「わかってるよ」
「しかし、大した女性ですねえ、あなたをそれだけ疲れさせるとは」
「……なあガスト」
「はい? 公務先延ばしはダメですよ、ドレス選びにほいほい頷いたのはあなたですからね」
「ドレス選びって、楽しいよなあ」
「っ!」
ガストが手にしていた書類を取り落とした。ばさばさ舞い散るそれを拾おうともせずに、引きつった顔で見返してくるのにレダンはくすくす笑う。
「いやもうなんだかな、シャルンを連れて商人達を回るのが、楽しくって楽しくって。今まで俺はこんな楽しみを知らずに来たんだなあってしみじみ思ってるところだ」
「……頭、大丈夫ですか?」
ガストが不気味な笑顔で覗き込む。
「それとも、シャルン姫ってのは実は魔女とかそういう類ですか? 男を従えて喜々とするような?」
「これいいなと思って手に取るだろう? 一所懸命にそれを見てるんだよな。でもって、これはどうですかって聞くと、必ず好きじゃありませんって答えてくるんだけどな、本当に気に入ったのがあると、赤くなるんだ」
くすくす笑いを織り交ぜながら、レダンは続ける。
「あ、そうか気に入らないんだ、って戻すだろ、するとな、知らん顔してると視界の端で、すごくがっかりしてるんだよ、本当にすごくがっかりしてるんだ」
こんな風に、と眉を下げて肩を落とし、レダンはシャルンの様子を真似してみせる。
「ああ、そんなに気に入ったんだって思って、俺の見立ても満更じゃないって嬉しくてな、思い直した顔して、やっぱりこれは私が気に入ったので買いますね、って言うと、やっぱりこっそりすごくほっとしてるんだ。なのに、私は気に入らなかったので着ませんって強がるから」
じゃあ、この商人はダメなんですねって言うと、そんなこと言ってません、って必死に商人か庇ってさあ、もう。
「その商人、ぶっ殺したくなったな!」
「物騒なことを嬉しそうに語らないでくださいよ」
満面の笑みにガストが呆れる。
「これから、シャルン姫が相手を見つめたからって、いちいち喧嘩売って歩くなんてこと、なさらないでしょうね?」
「うーん」
「危ないのかよ」
唸るレダンにガストは突っ込む。
「まあいいです、とにかく公務にかかってください」
「わかってるって」
積み上げられた承認書類や案件に取り掛かりながら、レダンはまたもや唇が綻んで話し出す。
「半分近くまで来たらさ、今度何したと思う?」
「何をしたんですか?」
「自分で選ぶようになったんだよ、でそれが」
くくくっとレダンは笑いを堪え、
「もう本当にひどいの選んでくるんだ!」
爆笑する。
「俺が選んだのはシャルンに似合いの可愛かったり清楚だったりするんだけど、賢いよなあ、その選択肢見て、真反対の際どいのとか危ういのとか一所懸命選んでくるんだ。自分が着てるところも想像してるんだよな、真っ赤になったり真っ青になったり、とにかく必死でさ。で、それに抵抗しないで買いながら、ああこれで私を誘惑してくれるんですね、って囁いて見たら、きっとこっちを振り仰いで、眉を逆立てて睨みつけて、はい、是非って大声で返事するし……あーもうだめだ…」
呆れ返ったガストにひいひい笑い泣きしながら、
「わかんないなあ、どうしてあいつら、あんな可愛いのを手放す気になったんだろう。信じられないよなあ……俺は…」
はあ、と大きく息をついて、レダンは少し呼吸を整えた。
「俺は彼女を手放す気はないからな。ハイオルトの思惑なんか知ったことか」
声が冷えたのに気づいたのだろう、ガストは茶化さずに次の書類を無言で渡す。
バックル・ラルハイド・シトラドルは武術に秀でた君主だ。シャルンを望んだのは、大方カースウェルと似た意向で、武器の準備に必要なミディルン鉱石の産地を支配下に入れる目的だったのだろう。
『この話はあんまり穏やかなものではなかったようです』
ガストはラルハイド王国が近年ダフラム王国との全面戦争を目論んでいたと付け加えた。領土拡大の夢はどこの君主も抱えている。ダフラム王国とやりあって勝てれば、国の名も上がり国外への圧力もかけやすいと踏んだ。シャルンの輿入れを機に、ハイオルトの軍も統合して国境近くに砦を構え、そこに軍勢を集めて先制をかける作戦だ。
『シャルン王女を旗印に、ダフラムの非道を訴え、進軍の勢いをつけようとしたのでしょうが』
『彼女を先頭に押し立てて、か』
唇が歪んだのはレダンばかりではない。
『ダフラムの先発隊に彼女が殺されれば一挙両得か、ハイオルトも手に入るしな』
『恐らくは、そんなところでしょう』
ところが、国境近くの砦の場所にシャルンを伴ったとき、彼女が砦を築くのに異を唱えた。
『シャルンが?』
『あそこに流れるティベルン川は季節によると荒れるんです』
『ああ……そうだな。急に崖を削り進路を変える』
『砦はティベルン川の側に築かれることになっていた。戦が長引けば1ヶ月、下手すると数ヶ月かかるでしょう』
『巻き込まれて壊れるか』
シャルン姫がその砦に反対したのは『嫌われる』ためだったのか、それとも本心『危ない』と思っていたのかはわからないが、結局砦は見送られ、計画は水泡に帰した。バックルは面目を潰され、シャルンを追い立てるように返した。馬鹿で無能な王妃は国を傾けるからと。
「…命を救ってもらったようなものだ」
レダンは冷え冷えと唸る。
「それこそ国を破滅させるしかない無能な王のくせに、その責任を彼女に被せてのうのうと」
「見舞金はどこより多かったようですよ」
ガストの声に視線を上げる。
「薄々わかっていたんじゃないですか」
「シャルンを傷つけたことには変わりない」
レダンの返答にガストが表情を消し、やがて静かに諌めた。
「お願いですから、その殺気のままラルハイドを落とすなんて言わないでくださいよ」
本気にします。
「……わかった」
レダンの舌打ちにガストは笑わなかった。
シャルンの衣装選びの後、居室に戻ったレダンは、またもやぐったりと長椅子に寝そべる。
「お疲れ様でした、と言いたいところですが自業自得です。公務が残っていますからね」
「わかってるよ」
「しかし、大した女性ですねえ、あなたをそれだけ疲れさせるとは」
「……なあガスト」
「はい? 公務先延ばしはダメですよ、ドレス選びにほいほい頷いたのはあなたですからね」
「ドレス選びって、楽しいよなあ」
「っ!」
ガストが手にしていた書類を取り落とした。ばさばさ舞い散るそれを拾おうともせずに、引きつった顔で見返してくるのにレダンはくすくす笑う。
「いやもうなんだかな、シャルンを連れて商人達を回るのが、楽しくって楽しくって。今まで俺はこんな楽しみを知らずに来たんだなあってしみじみ思ってるところだ」
「……頭、大丈夫ですか?」
ガストが不気味な笑顔で覗き込む。
「それとも、シャルン姫ってのは実は魔女とかそういう類ですか? 男を従えて喜々とするような?」
「これいいなと思って手に取るだろう? 一所懸命にそれを見てるんだよな。でもって、これはどうですかって聞くと、必ず好きじゃありませんって答えてくるんだけどな、本当に気に入ったのがあると、赤くなるんだ」
くすくす笑いを織り交ぜながら、レダンは続ける。
「あ、そうか気に入らないんだ、って戻すだろ、するとな、知らん顔してると視界の端で、すごくがっかりしてるんだよ、本当にすごくがっかりしてるんだ」
こんな風に、と眉を下げて肩を落とし、レダンはシャルンの様子を真似してみせる。
「ああ、そんなに気に入ったんだって思って、俺の見立ても満更じゃないって嬉しくてな、思い直した顔して、やっぱりこれは私が気に入ったので買いますね、って言うと、やっぱりこっそりすごくほっとしてるんだ。なのに、私は気に入らなかったので着ませんって強がるから」
じゃあ、この商人はダメなんですねって言うと、そんなこと言ってません、って必死に商人か庇ってさあ、もう。
「その商人、ぶっ殺したくなったな!」
「物騒なことを嬉しそうに語らないでくださいよ」
満面の笑みにガストが呆れる。
「これから、シャルン姫が相手を見つめたからって、いちいち喧嘩売って歩くなんてこと、なさらないでしょうね?」
「うーん」
「危ないのかよ」
唸るレダンにガストは突っ込む。
「まあいいです、とにかく公務にかかってください」
「わかってるって」
積み上げられた承認書類や案件に取り掛かりながら、レダンはまたもや唇が綻んで話し出す。
「半分近くまで来たらさ、今度何したと思う?」
「何をしたんですか?」
「自分で選ぶようになったんだよ、でそれが」
くくくっとレダンは笑いを堪え、
「もう本当にひどいの選んでくるんだ!」
爆笑する。
「俺が選んだのはシャルンに似合いの可愛かったり清楚だったりするんだけど、賢いよなあ、その選択肢見て、真反対の際どいのとか危ういのとか一所懸命選んでくるんだ。自分が着てるところも想像してるんだよな、真っ赤になったり真っ青になったり、とにかく必死でさ。で、それに抵抗しないで買いながら、ああこれで私を誘惑してくれるんですね、って囁いて見たら、きっとこっちを振り仰いで、眉を逆立てて睨みつけて、はい、是非って大声で返事するし……あーもうだめだ…」
呆れ返ったガストにひいひい笑い泣きしながら、
「わかんないなあ、どうしてあいつら、あんな可愛いのを手放す気になったんだろう。信じられないよなあ……俺は…」
はあ、と大きく息をついて、レダンは少し呼吸を整えた。
「俺は彼女を手放す気はないからな。ハイオルトの思惑なんか知ったことか」
声が冷えたのに気づいたのだろう、ガストは茶化さずに次の書類を無言で渡す。
バックル・ラルハイド・シトラドルは武術に秀でた君主だ。シャルンを望んだのは、大方カースウェルと似た意向で、武器の準備に必要なミディルン鉱石の産地を支配下に入れる目的だったのだろう。
『この話はあんまり穏やかなものではなかったようです』
ガストはラルハイド王国が近年ダフラム王国との全面戦争を目論んでいたと付け加えた。領土拡大の夢はどこの君主も抱えている。ダフラム王国とやりあって勝てれば、国の名も上がり国外への圧力もかけやすいと踏んだ。シャルンの輿入れを機に、ハイオルトの軍も統合して国境近くに砦を構え、そこに軍勢を集めて先制をかける作戦だ。
『シャルン王女を旗印に、ダフラムの非道を訴え、進軍の勢いをつけようとしたのでしょうが』
『彼女を先頭に押し立てて、か』
唇が歪んだのはレダンばかりではない。
『ダフラムの先発隊に彼女が殺されれば一挙両得か、ハイオルトも手に入るしな』
『恐らくは、そんなところでしょう』
ところが、国境近くの砦の場所にシャルンを伴ったとき、彼女が砦を築くのに異を唱えた。
『シャルンが?』
『あそこに流れるティベルン川は季節によると荒れるんです』
『ああ……そうだな。急に崖を削り進路を変える』
『砦はティベルン川の側に築かれることになっていた。戦が長引けば1ヶ月、下手すると数ヶ月かかるでしょう』
『巻き込まれて壊れるか』
シャルン姫がその砦に反対したのは『嫌われる』ためだったのか、それとも本心『危ない』と思っていたのかはわからないが、結局砦は見送られ、計画は水泡に帰した。バックルは面目を潰され、シャルンを追い立てるように返した。馬鹿で無能な王妃は国を傾けるからと。
「…命を救ってもらったようなものだ」
レダンは冷え冷えと唸る。
「それこそ国を破滅させるしかない無能な王のくせに、その責任を彼女に被せてのうのうと」
「見舞金はどこより多かったようですよ」
ガストの声に視線を上げる。
「薄々わかっていたんじゃないですか」
「シャルンを傷つけたことには変わりない」
レダンの返答にガストが表情を消し、やがて静かに諌めた。
「お願いですから、その殺気のままラルハイドを落とすなんて言わないでくださいよ」
本気にします。
「……わかった」
レダンの舌打ちにガストは笑わなかった。
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