もしも最強の○○が現実世界で使えたら

アミ100

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Case1 : 最強の剣

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文芸部の部室のソファでゴロゴロしながら、細木陽向ほそぎひなたは呟いた。

「いわゆるなろう系のチート能力って異世界じゃ最強無双!って感じだけど、現実世界で使えたらどうなるのかな……」

すると、同じ文芸部の実葉香美みのりばこうみが返答した。

「じゃあ、シミュレーションしてみる?」

陽向は少し考える。

「え、どうやって?」

「どうやっても何も、想像すれば良いだけのことよ。」

「なるほど……」

「じゃあ、さっそくいくわよ。チート能力……最初はやっぱり」


ーーーーーーーーーーーーーーー


僕はしがない高校生の細木陽向。成績も運動も至って平均で、文芸部で細々と活動している。小さい頃は正義のヒーローに憧れたりもしたが、それも昔の話。今はとにかく無難に生きる腹づもりだ。

ある日、いつものように下校していると……

「キャー!!」

どこからか女の子の悲鳴が聞こえてきた。

その声色から、ただ騒いでいる感じではなく、明らかに非常事態だと分かる。

僕はしがない高校生で、無難に生きるつもりで……でも……

ええい、ままよ。

次の瞬間、僕は声のする方へ走り出していた。

「うるせえ声出してんじゃねえよ!!」バン!!
「キャッ!!」

現場の空き地につくと、3人の不良が女の子を囲んで脅していた。

僕は一瞬怯んだが、勇気を振り絞って駆け寄った。

「やめろ!!」

僕は女の子と不良達の間に入って叫ぶ。

「ああ!?誰だテメエ!!」

不良の1人がそのまま殴りかかってくる。

やっぱりだめだ、出しゃばるんじゃなかった……!

キィィィィン!!!

すると、突然視界が真っ白になり、次の瞬間、目の前に1人の美女が立っていた。どこかで見覚えがある気もするが、どうにも思い出せない。

「勇敢なあなたに力を与えましょう。」

その美女は言った。

「力?……それよりここはどこ?あなたは誰ですか!?」

「さあ、お戻りなさい。」

その美女はこちらの話を聞く気がないようで、そのまま視界が暗くなった。

「いってえ!!」

再び視界が戻ると、さっき殴りかかってきた不良が、何故か腕を抑えながらうずくまっていた。

「おい、なんだよそれ!」

他の不良が僕に向かって叫ぶ。それって……?

「……!!」

気づくと、僕の手には1本の剣が握られていた。見た目はとても重々しいのに、腕に伝わる感覚は羽のように軽い。それに、ずっと前から使っていたように手に馴染む。

「くそが!!」

すると、もう1人が殴りかかってくる。今度こそやばい……!

「へ??」

気づくと僕は、剣を振り下ろした状態で不良の後ろに立っていた。

「お、お前!!」

不良の方を見ると、なんと不良の制服がズタズタに切り裂かれ、パンツ一丁になっていた。

「な、なんなんだよお前!!」

もしかして、僕がやったのか……?
どうやって……?

「おい君たち!何をしている!!」

すると、たまたま僕たちを見つけた警察官2名がパトカーから降り駆け寄ってきた。

不良達のうち1人は腕を負傷、1人は服を失っていたため逃げられず、交番まで連れていかれた。

「いやあしかし、災難だったね。君たち怪我はないかい?」

事情を聞いた警察官は、僕と女の子に声をかける。

「はい、なんとか。」
「私も、大丈夫です。」

「それは良かった。今回は正当防衛だから、そこは安心してね。」

「はい!」

良かった。不良を結果としてだけど怪我させてしまったので、なにか罪に問われないか心配だったが、杞憂だったようだ。

「……でも、その剣。刃が付いてるよね?これはさすがに見逃せないな。」

「え?」

「銃刀法違反で逮捕する。」

こうして僕は逮捕された。

ーーーーーーーーーーーーー


「……捕まっちゃったじゃん!!」

陽向は思わずツッコミを入れる。

「いやまあ、実際のところそうでしょ。」

香美がピシャリと言い返す。

「現実的過ぎない?もっと想像の中でくらい都合よくいこうよ……」

「いや、これはあくまで"シミュレーション"だから。なるべく現実的じゃなきゃいけないの。」

香美は語気を強める。

「なんでそんな力強いの……」

「とにかく、次いくわよ。次は……そうね……」
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