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Case1 : 最強の剣
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文芸部の部室のソファでゴロゴロしながら、細木陽向は呟いた。
「いわゆるなろう系のチート能力って異世界じゃ最強無双!って感じだけど、現実世界で使えたらどうなるのかな……」
すると、同じ文芸部の実葉香美が返答した。
「じゃあ、シミュレーションしてみる?」
陽向は少し考える。
「え、どうやって?」
「どうやっても何も、想像すれば良いだけのことよ。」
「なるほど……」
「じゃあ、さっそくいくわよ。チート能力……最初はやっぱり」
ーーーーーーーーーーーーーーー
僕はしがない高校生の細木陽向。成績も運動も至って平均で、文芸部で細々と活動している。小さい頃は正義のヒーローに憧れたりもしたが、それも昔の話。今はとにかく無難に生きる腹づもりだ。
ある日、いつものように下校していると……
「キャー!!」
どこからか女の子の悲鳴が聞こえてきた。
その声色から、ただ騒いでいる感じではなく、明らかに非常事態だと分かる。
僕はしがない高校生で、無難に生きるつもりで……でも……
ええい、ままよ。
次の瞬間、僕は声のする方へ走り出していた。
「うるせえ声出してんじゃねえよ!!」バン!!
「キャッ!!」
現場の空き地につくと、3人の不良が女の子を囲んで脅していた。
僕は一瞬怯んだが、勇気を振り絞って駆け寄った。
「やめろ!!」
僕は女の子と不良達の間に入って叫ぶ。
「ああ!?誰だテメエ!!」
不良の1人がそのまま殴りかかってくる。
やっぱりだめだ、出しゃばるんじゃなかった……!
キィィィィン!!!
すると、突然視界が真っ白になり、次の瞬間、目の前に1人の美女が立っていた。どこかで見覚えがある気もするが、どうにも思い出せない。
「勇敢なあなたに力を与えましょう。」
その美女は言った。
「力?……それよりここはどこ?あなたは誰ですか!?」
「さあ、お戻りなさい。」
その美女はこちらの話を聞く気がないようで、そのまま視界が暗くなった。
「いってえ!!」
再び視界が戻ると、さっき殴りかかってきた不良が、何故か腕を抑えながらうずくまっていた。
「おい、なんだよそれ!」
他の不良が僕に向かって叫ぶ。それって……?
「……!!」
気づくと、僕の手には1本の剣が握られていた。見た目はとても重々しいのに、腕に伝わる感覚は羽のように軽い。それに、ずっと前から使っていたように手に馴染む。
「くそが!!」
すると、もう1人が殴りかかってくる。今度こそやばい……!
「へ??」
気づくと僕は、剣を振り下ろした状態で不良の後ろに立っていた。
「お、お前!!」
不良の方を見ると、なんと不良の制服がズタズタに切り裂かれ、パンツ一丁になっていた。
「な、なんなんだよお前!!」
もしかして、僕がやったのか……?
どうやって……?
「おい君たち!何をしている!!」
すると、たまたま僕たちを見つけた警察官2名がパトカーから降り駆け寄ってきた。
不良達のうち1人は腕を負傷、1人は服を失っていたため逃げられず、交番まで連れていかれた。
「いやあしかし、災難だったね。君たち怪我はないかい?」
事情を聞いた警察官は、僕と女の子に声をかける。
「はい、なんとか。」
「私も、大丈夫です。」
「それは良かった。今回は正当防衛だから、そこは安心してね。」
「はい!」
良かった。不良を結果としてだけど怪我させてしまったので、なにか罪に問われないか心配だったが、杞憂だったようだ。
「……でも、その剣。刃が付いてるよね?これはさすがに見逃せないな。」
「え?」
「銃刀法違反で逮捕する。」
こうして僕は逮捕された。
ーーーーーーーーーーーーー
「……捕まっちゃったじゃん!!」
陽向は思わずツッコミを入れる。
「いやまあ、実際のところそうでしょ。」
香美がピシャリと言い返す。
「現実的過ぎない?もっと想像の中でくらい都合よくいこうよ……」
「いや、これはあくまで"シミュレーション"だから。なるべく現実的じゃなきゃいけないの。」
香美は語気を強める。
「なんでそんな力強いの……」
「とにかく、次いくわよ。次は……そうね……」
「いわゆるなろう系のチート能力って異世界じゃ最強無双!って感じだけど、現実世界で使えたらどうなるのかな……」
すると、同じ文芸部の実葉香美が返答した。
「じゃあ、シミュレーションしてみる?」
陽向は少し考える。
「え、どうやって?」
「どうやっても何も、想像すれば良いだけのことよ。」
「なるほど……」
「じゃあ、さっそくいくわよ。チート能力……最初はやっぱり」
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僕はしがない高校生の細木陽向。成績も運動も至って平均で、文芸部で細々と活動している。小さい頃は正義のヒーローに憧れたりもしたが、それも昔の話。今はとにかく無難に生きる腹づもりだ。
ある日、いつものように下校していると……
「キャー!!」
どこからか女の子の悲鳴が聞こえてきた。
その声色から、ただ騒いでいる感じではなく、明らかに非常事態だと分かる。
僕はしがない高校生で、無難に生きるつもりで……でも……
ええい、ままよ。
次の瞬間、僕は声のする方へ走り出していた。
「うるせえ声出してんじゃねえよ!!」バン!!
「キャッ!!」
現場の空き地につくと、3人の不良が女の子を囲んで脅していた。
僕は一瞬怯んだが、勇気を振り絞って駆け寄った。
「やめろ!!」
僕は女の子と不良達の間に入って叫ぶ。
「ああ!?誰だテメエ!!」
不良の1人がそのまま殴りかかってくる。
やっぱりだめだ、出しゃばるんじゃなかった……!
キィィィィン!!!
すると、突然視界が真っ白になり、次の瞬間、目の前に1人の美女が立っていた。どこかで見覚えがある気もするが、どうにも思い出せない。
「勇敢なあなたに力を与えましょう。」
その美女は言った。
「力?……それよりここはどこ?あなたは誰ですか!?」
「さあ、お戻りなさい。」
その美女はこちらの話を聞く気がないようで、そのまま視界が暗くなった。
「いってえ!!」
再び視界が戻ると、さっき殴りかかってきた不良が、何故か腕を抑えながらうずくまっていた。
「おい、なんだよそれ!」
他の不良が僕に向かって叫ぶ。それって……?
「……!!」
気づくと、僕の手には1本の剣が握られていた。見た目はとても重々しいのに、腕に伝わる感覚は羽のように軽い。それに、ずっと前から使っていたように手に馴染む。
「くそが!!」
すると、もう1人が殴りかかってくる。今度こそやばい……!
「へ??」
気づくと僕は、剣を振り下ろした状態で不良の後ろに立っていた。
「お、お前!!」
不良の方を見ると、なんと不良の制服がズタズタに切り裂かれ、パンツ一丁になっていた。
「な、なんなんだよお前!!」
もしかして、僕がやったのか……?
どうやって……?
「おい君たち!何をしている!!」
すると、たまたま僕たちを見つけた警察官2名がパトカーから降り駆け寄ってきた。
不良達のうち1人は腕を負傷、1人は服を失っていたため逃げられず、交番まで連れていかれた。
「いやあしかし、災難だったね。君たち怪我はないかい?」
事情を聞いた警察官は、僕と女の子に声をかける。
「はい、なんとか。」
「私も、大丈夫です。」
「それは良かった。今回は正当防衛だから、そこは安心してね。」
「はい!」
良かった。不良を結果としてだけど怪我させてしまったので、なにか罪に問われないか心配だったが、杞憂だったようだ。
「……でも、その剣。刃が付いてるよね?これはさすがに見逃せないな。」
「え?」
「銃刀法違反で逮捕する。」
こうして僕は逮捕された。
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「……捕まっちゃったじゃん!!」
陽向は思わずツッコミを入れる。
「いやまあ、実際のところそうでしょ。」
香美がピシャリと言い返す。
「現実的過ぎない?もっと想像の中でくらい都合よくいこうよ……」
「いや、これはあくまで"シミュレーション"だから。なるべく現実的じゃなきゃいけないの。」
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