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考えることが増えました
第110話 急変②
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捜査課の作業部屋のドアを勢いよく開けると、そこには苦悶の表情を浮かべて倒れているエリオット様と、エリオット様の横で名前を呼ぶジョセフさんの姿があった。
状況が上手く飲み込めない。明らかに心拍数が上がるのを感じる。何が、どうなって……
「そ、それが……!あの…!」
ジョセフさんはかなり焦っている様子で、中々伝えたい言葉が出てこないようだ。
……そうだ。私まで冷静さを欠いてどうする。
私は1度大きく深呼吸をする。
「大丈夫です、落ち着いてください。何があったか話せますか?」
「……っ!はい、すみません……それが、いつも通りエリオットさんの持参した魔道具の調査を行っていたところ、エリオットさんが脇腹の痛みを訴えた直後に倒れてしまって…!」
「なるほど……」
エリオット様の方に視線を移すと、確かに脇腹を押さえて苦しんでいるようだ。
「……ちょっと失礼します。」
私はジョセフさんにどいてもらい、エリオット様の横に跪く。
「ジョセフさん。魔法で治癒が行える方を連れてきてもらえますか?」
「は、はい!」
ジョセフさんは返事をすると、勢いよく作業部屋を後にした。
私はそれを確認したあと、エリオット様の肩と脇腹を押さえている手に、自分の手を添える。
「エリオット様、聞こえますか?」
「シェ…リ…か…?」
エリオット様が弱々しく返事をする。まだかろうじて意識はあるようだ。
…しかし、ただ見ただけでは倒れた原因が分からない。
「すみません、服脱がせますね」
私はエリオット様の手をどけたあと、騎士団の制服を少々乱暴に脱がせた。すると押さえていた脇腹が確認できた。
しかし、一見すると特に不審な点は見られない。どうすれば…
…状況からして、これは例の不審死を調査中、エリオット様も同じ状態になったと考えるのが自然だ。
被害者が被害を受けてから死亡するまでに時間差があったということは、毒の類である可能性が高い。とすれば、見ただけでは分からないのもうなずける。
ただ問題は、彼らは一度魔法でちゃんと治療を受けているということだ。
毒のような症状が出て、一般的な魔法による治療が効かないもの……
思い当たるのは1つしかない。
カチャッ
私は立ち上がり、作業部屋の棚にある眼鏡をかける。
すると、エリオット様の脇腹付近がぼんやりと赤色に光り、さらにその中心付近が強く赤黒く光っていることが確認できた。
その強く光っているものは、5センチメートル程の長さの針のようなものだった。
やっぱり。
ガサガサッ
私はそのまま道具箱を探り、ピンセット状の魔道具と医療用のナイフ、瓶に入った液状の麻酔薬ともう1つの薬を取り出す。
その間にも、赤い光はどんどん広がっている。
対処法はわかった。道具も最低限はある。うまくいけば完治も見込める。ただ、今私がやろうとしていることはエリオット様に多大な負荷がかかる。
「……」
「シェ…リ……」
「……!」
私が迷っていると、エリオット様がうっすらと目を開け、私の名前を呼ぶ。
「俺は、大丈夫だから……やってくれ、シェリー。」
「ですが…」
「大丈夫だ…俺はシェリーを信じる。だからシェリーも俺を信じてくれ。」
「……わかりました。」
そう言われたらやるしかない。
状況が上手く飲み込めない。明らかに心拍数が上がるのを感じる。何が、どうなって……
「そ、それが……!あの…!」
ジョセフさんはかなり焦っている様子で、中々伝えたい言葉が出てこないようだ。
……そうだ。私まで冷静さを欠いてどうする。
私は1度大きく深呼吸をする。
「大丈夫です、落ち着いてください。何があったか話せますか?」
「……っ!はい、すみません……それが、いつも通りエリオットさんの持参した魔道具の調査を行っていたところ、エリオットさんが脇腹の痛みを訴えた直後に倒れてしまって…!」
「なるほど……」
エリオット様の方に視線を移すと、確かに脇腹を押さえて苦しんでいるようだ。
「……ちょっと失礼します。」
私はジョセフさんにどいてもらい、エリオット様の横に跪く。
「ジョセフさん。魔法で治癒が行える方を連れてきてもらえますか?」
「は、はい!」
ジョセフさんは返事をすると、勢いよく作業部屋を後にした。
私はそれを確認したあと、エリオット様の肩と脇腹を押さえている手に、自分の手を添える。
「エリオット様、聞こえますか?」
「シェ…リ…か…?」
エリオット様が弱々しく返事をする。まだかろうじて意識はあるようだ。
…しかし、ただ見ただけでは倒れた原因が分からない。
「すみません、服脱がせますね」
私はエリオット様の手をどけたあと、騎士団の制服を少々乱暴に脱がせた。すると押さえていた脇腹が確認できた。
しかし、一見すると特に不審な点は見られない。どうすれば…
…状況からして、これは例の不審死を調査中、エリオット様も同じ状態になったと考えるのが自然だ。
被害者が被害を受けてから死亡するまでに時間差があったということは、毒の類である可能性が高い。とすれば、見ただけでは分からないのもうなずける。
ただ問題は、彼らは一度魔法でちゃんと治療を受けているということだ。
毒のような症状が出て、一般的な魔法による治療が効かないもの……
思い当たるのは1つしかない。
カチャッ
私は立ち上がり、作業部屋の棚にある眼鏡をかける。
すると、エリオット様の脇腹付近がぼんやりと赤色に光り、さらにその中心付近が強く赤黒く光っていることが確認できた。
その強く光っているものは、5センチメートル程の長さの針のようなものだった。
やっぱり。
ガサガサッ
私はそのまま道具箱を探り、ピンセット状の魔道具と医療用のナイフ、瓶に入った液状の麻酔薬ともう1つの薬を取り出す。
その間にも、赤い光はどんどん広がっている。
対処法はわかった。道具も最低限はある。うまくいけば完治も見込める。ただ、今私がやろうとしていることはエリオット様に多大な負荷がかかる。
「……」
「シェ…リ……」
「……!」
私が迷っていると、エリオット様がうっすらと目を開け、私の名前を呼ぶ。
「俺は、大丈夫だから……やってくれ、シェリー。」
「ですが…」
「大丈夫だ…俺はシェリーを信じる。だからシェリーも俺を信じてくれ。」
「……わかりました。」
そう言われたらやるしかない。
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