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考えることが増えました
第105話 親代わり(エリオット視点あり)
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蓄音機…?音を蓄えるってどういうこと??
カチッ
デイジー夫人が蓄音機の電源を入れると、金属製のホーンからクラッシック音楽が流れ始めた。
「おお、こりゃ凄いですね」
エリオット様が反応する。
蓄音機…こんなもの初めて見た…!
「円筒状の…魔硬石?に針を置いて…溝に沿って回してる?でもそれでなんで音楽が……もしかして硬化前の魔硬石に針を置いて回しながら、ホーンに向かって演奏すれば…!」
…ってあれ?今の全部声に出てた?
「…正解だ。よくわかったな。」
再びバッハシュタイン子爵の重い口が開く。
「これっ…この蓄音機はバッハシュタイン子爵様が作られたのですか!」
「いや、残念ながら私では無い。これはカナ・ベルナールという、王国の魔術学院の生徒が作ったものだ。」
王国の魔術学院の生徒…?魔術学院って言えば、教育に力を入れている王国の中でも最高峰の魔法学校で、あそこに通うのは確か15~18歳だったはず…
ということは私と同年代か、下手をすれば年下の子が蓄音機を作ったってことか…!
「魔術学院と言えば、今年度の新入生に、神託で水属性の魔力270を叩き出して、しかも推薦で入学したやつがいるって噂がありましたね。全く今年の魔術学院の生徒はどうなってんだか…」
考え込んでいる私の代わりに、エリオット様が反応する。
それにしても…
「カナ・ベルナールさんか…会ってみたいな…」
ーーーーーーーーーー
「それで、この機構の興味深いところが……」
「なるほど、ですがそれなら……」
エドモンさんに挨拶に来てから約1時間、エドモンさんとシェリーはすっかり意気投合し、ずっと各々の魔法学に関する興味・関心について語っていた。
「エドモンさ…バッハシュタイン子爵殿がここまで喋るなんて珍しいですね」
俺はエドモンさんの隣でニコニコとその様子を見守っていたデイジーさんに声をかける。
「ええ、彼って頭が良すぎて、話を理解すらしてもらえないことがほとんどで…だから、理解してくれる上に、それに対する考えを返してくれるのが嬉しいのよ。」
「なるほど。」
「それにしても、良い子そうじゃない、シェリーさん。色んな女性と遊んでるって聞いたときはどうなるかと思ったけど。」
「あはは…それは……すみません。」
「もう、本当よ!あなたが居たのは2年くらいとはいえ、私たちはあなたの親みたいなものなんだから…」
「デイジーさん…」
そう、ここバッハシュタイン邸は、奴隷から解放されてから全寮制の騎士学校に入るまでの2年間、俺が下働きとして働いていた場所だ。
下働きと言っても仕事は軽い掃除の手伝いくらいで、残りの時間は勉強を教えてくれたり、屋敷内を自由に遊ばせてくれたりした。そして、バッハシュタイン夫妻は俺が実の子供であるかのように接してくれた。
という訳で、今回ここに来ることをシェリーには仕事だと言ったが、あれは嘘だ。いや、一応時折捜査協力してくれているバッハシュタイン子爵への挨拶という名目ではあるが、普通は手紙を出すだけで、実際に赴くことはまず無い。
今回来た本当の理由は、デイジーさんにシェリーのことを手紙で伝えたところ、是非一度会ってみたいと催促されたからだ。
「それで、シェリーさんからお返事は貰ったの?」
「いや、それがまだで……反応は悪くないと思うんですが。」
「あらそうなのね、それじゃあ私に任せて!」
「え?」
デイジーさんは、そのまま張り切った様子で部屋を出ていってしまった。
カチッ
デイジー夫人が蓄音機の電源を入れると、金属製のホーンからクラッシック音楽が流れ始めた。
「おお、こりゃ凄いですね」
エリオット様が反応する。
蓄音機…こんなもの初めて見た…!
「円筒状の…魔硬石?に針を置いて…溝に沿って回してる?でもそれでなんで音楽が……もしかして硬化前の魔硬石に針を置いて回しながら、ホーンに向かって演奏すれば…!」
…ってあれ?今の全部声に出てた?
「…正解だ。よくわかったな。」
再びバッハシュタイン子爵の重い口が開く。
「これっ…この蓄音機はバッハシュタイン子爵様が作られたのですか!」
「いや、残念ながら私では無い。これはカナ・ベルナールという、王国の魔術学院の生徒が作ったものだ。」
王国の魔術学院の生徒…?魔術学院って言えば、教育に力を入れている王国の中でも最高峰の魔法学校で、あそこに通うのは確か15~18歳だったはず…
ということは私と同年代か、下手をすれば年下の子が蓄音機を作ったってことか…!
「魔術学院と言えば、今年度の新入生に、神託で水属性の魔力270を叩き出して、しかも推薦で入学したやつがいるって噂がありましたね。全く今年の魔術学院の生徒はどうなってんだか…」
考え込んでいる私の代わりに、エリオット様が反応する。
それにしても…
「カナ・ベルナールさんか…会ってみたいな…」
ーーーーーーーーーー
「それで、この機構の興味深いところが……」
「なるほど、ですがそれなら……」
エドモンさんに挨拶に来てから約1時間、エドモンさんとシェリーはすっかり意気投合し、ずっと各々の魔法学に関する興味・関心について語っていた。
「エドモンさ…バッハシュタイン子爵殿がここまで喋るなんて珍しいですね」
俺はエドモンさんの隣でニコニコとその様子を見守っていたデイジーさんに声をかける。
「ええ、彼って頭が良すぎて、話を理解すらしてもらえないことがほとんどで…だから、理解してくれる上に、それに対する考えを返してくれるのが嬉しいのよ。」
「なるほど。」
「それにしても、良い子そうじゃない、シェリーさん。色んな女性と遊んでるって聞いたときはどうなるかと思ったけど。」
「あはは…それは……すみません。」
「もう、本当よ!あなたが居たのは2年くらいとはいえ、私たちはあなたの親みたいなものなんだから…」
「デイジーさん…」
そう、ここバッハシュタイン邸は、奴隷から解放されてから全寮制の騎士学校に入るまでの2年間、俺が下働きとして働いていた場所だ。
下働きと言っても仕事は軽い掃除の手伝いくらいで、残りの時間は勉強を教えてくれたり、屋敷内を自由に遊ばせてくれたりした。そして、バッハシュタイン夫妻は俺が実の子供であるかのように接してくれた。
という訳で、今回ここに来ることをシェリーには仕事だと言ったが、あれは嘘だ。いや、一応時折捜査協力してくれているバッハシュタイン子爵への挨拶という名目ではあるが、普通は手紙を出すだけで、実際に赴くことはまず無い。
今回来た本当の理由は、デイジーさんにシェリーのことを手紙で伝えたところ、是非一度会ってみたいと催促されたからだ。
「それで、シェリーさんからお返事は貰ったの?」
「いや、それがまだで……反応は悪くないと思うんですが。」
「あらそうなのね、それじゃあ私に任せて!」
「え?」
デイジーさんは、そのまま張り切った様子で部屋を出ていってしまった。
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