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考えることが増えました
第103話 遠乗り②(筆者視点あり)
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「ヒヒィン」
「うーん…」
私は馬の鳴き声を聞き、重いまぶたを開けた。
「よおシェリー、よく眠れたか?」
すると、目の前のエリオット様に私の頭を撫でながら声をかけられた。
どうやら私は、レジャーシートの上で横になったあと、そのまま寝てしまったらしい。
「あ…ごめんなさい、どのくらい寝てましたか?」
「むしろ俺としては、気持ちよさそうに寝てるシェリーが見られて満足だぞ?それにまだ30分くらいしか経ってねえしな。」
「そ、うですか…」
面と向かってそんなことを言われて、私は少し顔が熱くなるのを感じる。ほんとにどうしちゃったの私…
「さて、もう少ししたら出発しようか」
「はい」
ーーーーーーーーーーーー
「よし、着いたぞ」
「おお…」
花畑からさらに1時間程馬を走らせると、小さな町までたどり着いた。馬から降りて通りを見ながら歩くと、沢山の店が立ち並んでいる。
ただここで、1つ不思議なことに気がついた。
「ここは随分、魔導具や魔法書のお店が多いですね?」
「ああ、よく気づいたな。ここは"学者の街クルグ"だ。聞いたことくらいあるだろ?」
「学者の街クルグ…!はい、なんでも民間の学者が多く住んでいて、国でも珍しい魔導具や専門書が流通しているとか!」
「そう、それだ。」
「ここが…!」
学者の街クルグは、専門的な知識を学ぶ者なら誰でも一度は行きたいと思う、言わば学問の聖地だ。
住民の半分近くが何かしらの専門家で、町の中には研究所や集会所、学校などが多く存在している。
帝都からはそこまで距離は無いが、最短ルートの道のりが馬車で行くには険しい上に行き来する馬車の量も少ない。そのため、ここまで来るには数少ない物資輸送の馬車に乗せてもらい超迂回ルートを行くか、今回のように馬に直接乗って最短ルートを行くしかない。
「せっかくだから、色々見て回るだろ?」
「いいんですか!」
「もちろん。エドモン子爵との約束まではまだ時間があるし、そもそも観光も予定に折り込み済みだからな。」
「ありがとうございます…!」
ーーーーーーーーーー
「ふー楽しかった!」
シェルシェーレは紙袋を抱えながら言う。
「そりゃあ良かった。随分迷ってたようだが、結局何買ったんだ?」
「魔導コンパスに畜魔石、集光ガラスです!どれも帝都だと中々手に入らない魔導具です…!」
「集光ガラスは初めて聞いたが、魔導コンパスと畜魔石は帝都にもなかったか…?」
「確かにあるといえばあるんですけど、ここの魔導コンパスは帝都のものとは全く違う機構で動いているし、畜魔石はここまで魔力の吸収量が多いものは見たことがありません!」
「なるほど、それでそれのことをずっと店員と話し込んでたのか…」
エリオットは、シェルシェーレが若い男の店員と楽しげに話していたことを思い出し少し苛立ちを覚えたが、すぐに思い直し首を振る。
「?どうしましたか?」
「いーやなんでもねえ!それより、そろそろいい時間だし、エドモン子爵の元に向かおうか。」
「はい!」
「うーん…」
私は馬の鳴き声を聞き、重いまぶたを開けた。
「よおシェリー、よく眠れたか?」
すると、目の前のエリオット様に私の頭を撫でながら声をかけられた。
どうやら私は、レジャーシートの上で横になったあと、そのまま寝てしまったらしい。
「あ…ごめんなさい、どのくらい寝てましたか?」
「むしろ俺としては、気持ちよさそうに寝てるシェリーが見られて満足だぞ?それにまだ30分くらいしか経ってねえしな。」
「そ、うですか…」
面と向かってそんなことを言われて、私は少し顔が熱くなるのを感じる。ほんとにどうしちゃったの私…
「さて、もう少ししたら出発しようか」
「はい」
ーーーーーーーーーーーー
「よし、着いたぞ」
「おお…」
花畑からさらに1時間程馬を走らせると、小さな町までたどり着いた。馬から降りて通りを見ながら歩くと、沢山の店が立ち並んでいる。
ただここで、1つ不思議なことに気がついた。
「ここは随分、魔導具や魔法書のお店が多いですね?」
「ああ、よく気づいたな。ここは"学者の街クルグ"だ。聞いたことくらいあるだろ?」
「学者の街クルグ…!はい、なんでも民間の学者が多く住んでいて、国でも珍しい魔導具や専門書が流通しているとか!」
「そう、それだ。」
「ここが…!」
学者の街クルグは、専門的な知識を学ぶ者なら誰でも一度は行きたいと思う、言わば学問の聖地だ。
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帝都からはそこまで距離は無いが、最短ルートの道のりが馬車で行くには険しい上に行き来する馬車の量も少ない。そのため、ここまで来るには数少ない物資輸送の馬車に乗せてもらい超迂回ルートを行くか、今回のように馬に直接乗って最短ルートを行くしかない。
「せっかくだから、色々見て回るだろ?」
「いいんですか!」
「もちろん。エドモン子爵との約束まではまだ時間があるし、そもそも観光も予定に折り込み済みだからな。」
「ありがとうございます…!」
ーーーーーーーーーー
「ふー楽しかった!」
シェルシェーレは紙袋を抱えながら言う。
「そりゃあ良かった。随分迷ってたようだが、結局何買ったんだ?」
「魔導コンパスに畜魔石、集光ガラスです!どれも帝都だと中々手に入らない魔導具です…!」
「集光ガラスは初めて聞いたが、魔導コンパスと畜魔石は帝都にもなかったか…?」
「確かにあるといえばあるんですけど、ここの魔導コンパスは帝都のものとは全く違う機構で動いているし、畜魔石はここまで魔力の吸収量が多いものは見たことがありません!」
「なるほど、それでそれのことをずっと店員と話し込んでたのか…」
エリオットは、シェルシェーレが若い男の店員と楽しげに話していたことを思い出し少し苛立ちを覚えたが、すぐに思い直し首を振る。
「?どうしましたか?」
「いーやなんでもねえ!それより、そろそろいい時間だし、エドモン子爵の元に向かおうか。」
「はい!」
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