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過去にも色々ありました
第82話 [シェルシェーレ過去編]シュバルツの悪魔⑥
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「おはよう、リナ!」
「お、おはようございますおねえさま!」
色々と考えていると、リナが起きてきて私のいるダイニングまで朝食を取りにやってきた。
彼女は私のお下がりの簡素なドレスを身にまとっている。
「お兄様達とお母様がまだだから、それまで待っててね。」
「は、はい!」
リナはすっかりここでの生活にも慣れてきた。曲がりなりにも貴族の娘だし、こうしてみると立派な令嬢だ。
「…ねえ、1つ相談なんだけど」
「えっと…なんでしょうか?」
「うちの養子にならない?」
「…え?」
「私の義妹になってこの家に住むの。」
リナは目を大きく見開く。
「それって、どういう…だって、いばしょが見つかるまでって…」
「ちょっと事情が変わってきたの。リナはよそにやるよりうちに来るのがいいんじゃないかと思って…どう?」
「でも…」
「嫌だった?」
「い、いえそんなことは!」
「そう、それは良かった。」
「あの、おとうさまとおかあさまは、どうなりますか?」
「…リナはお父様とお母様のところに帰りたい?」
「それは…わからない、です。どっちもすきだけど、2人はわたしのこと、すきじゃなかったみたいだから…」
「………」
リナを街まで連れてきた人達が奴隷商で、リナが親に売られたことは本人には言っていない。でも子どもながらに何かしら察してはいたのか…
「…そう…リナのお父様とお母様は私たちでどうにかするから、心配しなくて大丈夫だよ。」
どうするかは、まだ決めてないけど。
「ありがとうございます!」
「うん。それで、どうする?」
「…シェルシェーレおねえさまたちがよければ、ここでくらしたいです。でも、おねえさまのおかあさまやおにいさまはどうおもうんだろう…」
「それなら大丈夫ですよ。」
すると、そこへお母様と、ついでにルーカスお兄様がやってきた。
「あ…」
「私たちはあなたの事を歓迎します。私のことも、お姉様のお母様なんて回りくどい言い方ではなくて、"お母様"と呼んでください。」
「俺もお兄様でいいぞ!まあ兄さんでも兄貴でもルーカスでもなんでもいいけどな!」
「あ、えっと、その…」
「ってことみたいだけど?」
「えっと、それじゃあ、よろしくおねがいします…!」
「うん!」
こうして、リナは私たち家族の一員となったのだった。
「お、おはようございますおねえさま!」
色々と考えていると、リナが起きてきて私のいるダイニングまで朝食を取りにやってきた。
彼女は私のお下がりの簡素なドレスを身にまとっている。
「お兄様達とお母様がまだだから、それまで待っててね。」
「は、はい!」
リナはすっかりここでの生活にも慣れてきた。曲がりなりにも貴族の娘だし、こうしてみると立派な令嬢だ。
「…ねえ、1つ相談なんだけど」
「えっと…なんでしょうか?」
「うちの養子にならない?」
「…え?」
「私の義妹になってこの家に住むの。」
リナは目を大きく見開く。
「それって、どういう…だって、いばしょが見つかるまでって…」
「ちょっと事情が変わってきたの。リナはよそにやるよりうちに来るのがいいんじゃないかと思って…どう?」
「でも…」
「嫌だった?」
「い、いえそんなことは!」
「そう、それは良かった。」
「あの、おとうさまとおかあさまは、どうなりますか?」
「…リナはお父様とお母様のところに帰りたい?」
「それは…わからない、です。どっちもすきだけど、2人はわたしのこと、すきじゃなかったみたいだから…」
「………」
リナを街まで連れてきた人達が奴隷商で、リナが親に売られたことは本人には言っていない。でも子どもながらに何かしら察してはいたのか…
「…そう…リナのお父様とお母様は私たちでどうにかするから、心配しなくて大丈夫だよ。」
どうするかは、まだ決めてないけど。
「ありがとうございます!」
「うん。それで、どうする?」
「…シェルシェーレおねえさまたちがよければ、ここでくらしたいです。でも、おねえさまのおかあさまやおにいさまはどうおもうんだろう…」
「それなら大丈夫ですよ。」
すると、そこへお母様と、ついでにルーカスお兄様がやってきた。
「あ…」
「私たちはあなたの事を歓迎します。私のことも、お姉様のお母様なんて回りくどい言い方ではなくて、"お母様"と呼んでください。」
「俺もお兄様でいいぞ!まあ兄さんでも兄貴でもルーカスでもなんでもいいけどな!」
「あ、えっと、その…」
「ってことみたいだけど?」
「えっと、それじゃあ、よろしくおねがいします…!」
「うん!」
こうして、リナは私たち家族の一員となったのだった。
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