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過去にも色々ありました
第75話 ルーカスの助け舟③(筆者視点あり)
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「お邪魔します。」
「おお、よく来たな!」
週末、約束通り我が家にエリオット様がやってきた。
「さあ、ここに座ってくれ!」
「はい。」
来賓室まで来たエリオット様を、ルーカスお兄様がソファへ促す。
「じゃあ、シェリーは席外してくれ!」
「え」
お兄様が何するか分からないから見張っておきたかったんだけど…
「あ、あとその代わりにリナを連れてきてくれないか?」
お兄様が扉を開けて私の背中をグイグイ押しながら付け足す。
「リナをですか?別に構いませんけど…」
なんでリナ?
「じゃ、よろしく!」
バタン!
そのまま扉を閉められ、追い出されてしまった。
部屋の話し声に聞き耳を立ててみたけど、この部屋は防音がしっかりしているから聞こえないことを思い出した。これはたまたまなのかわざとなのか…
まあいっか。しょうがないから諦めてリナを探しに行こう。
――――――
「よし、じゃあとりあえず、シュバルツ邸へようこそ!」
シェルシェーレを追い出したあと、ルーカスはエリオットの向かいの席に座りながら言う。
「はい、こちらこそご招待頂きありがとうございます。」
「それで、シェリーと仕事仲間なんだっけ?」
「はい。えっと自己紹介がまだでした。俺は…」
「ああ、いいよ!第7騎士団副団長のフォーゲル男爵だろ?」
「え…」
エリオットはルーカスが自分の身元を知っていたことを疑問に思うが、シェリーが教えたんだろうと思い直す。
「シェリーとは仲良くやってるのか?」
やや困惑しているエリオットをよそに、ルーカスは話を続ける。
「…仲良くしてもらってます。」
「思ったより受け身な言い方だな?シェリーの話を聞く限り、どちらかと言うとお前の方が積極的にきてた印象だったんだが?」
「それは…そうですね。でも最近彼女が何を考えているのか分からなくなってきて…」
「それはあれか?シェリーが誘拐された頃からか?」
「…はい。そのときは、彼女を危険に晒してしまって申し訳…」
エリオットは誘拐の件について謝ろうとする。そもそもルーカスの誘いに乗ったのは、シェルシェーレから許しは得られたとはいえ、ケジメとして誘拐の件を彼女の家族であるルーカスに謝罪しようと考えたからだ。
「何の話だ?俺はなにも知らないぞ?」
しかし、ルーカスに予想外のことを言われた。
「え?」
「あいつは例の件、"自分は身代金目的で誘拐された"ってことで家族内でも押し通してるぞ?親父には何か相談したかもしれねえけど、少なくとも他は実際どうだったのかは一切聞いてねえ。」
「……」
エリオットは無言で目を見開く。
「という訳で、"身代金目的で誘拐された"我が妹を助けてくれたお前に感謝こそすれ、謝られる義理はねえよ。」
「…聞かないんですね。実際何があったか。」
「気にならないって言えば嘘になるが、シェリーがそうするべきと判断したなら、俺らはそれを信じるだけだ。それに、別にお前が悪い訳じゃ無さそうだしな?シェリーはもし悪人ならどんなに仲良くても容赦しないはずだし。」
「そう、ですね。」
エリオットは自信なさげに微笑む。
「で、だ。そんなことより、お前はシェリーと結婚する気はないか?」
「え」
――――――続く
「おお、よく来たな!」
週末、約束通り我が家にエリオット様がやってきた。
「さあ、ここに座ってくれ!」
「はい。」
来賓室まで来たエリオット様を、ルーカスお兄様がソファへ促す。
「じゃあ、シェリーは席外してくれ!」
「え」
お兄様が何するか分からないから見張っておきたかったんだけど…
「あ、あとその代わりにリナを連れてきてくれないか?」
お兄様が扉を開けて私の背中をグイグイ押しながら付け足す。
「リナをですか?別に構いませんけど…」
なんでリナ?
「じゃ、よろしく!」
バタン!
そのまま扉を閉められ、追い出されてしまった。
部屋の話し声に聞き耳を立ててみたけど、この部屋は防音がしっかりしているから聞こえないことを思い出した。これはたまたまなのかわざとなのか…
まあいっか。しょうがないから諦めてリナを探しに行こう。
――――――
「よし、じゃあとりあえず、シュバルツ邸へようこそ!」
シェルシェーレを追い出したあと、ルーカスはエリオットの向かいの席に座りながら言う。
「はい、こちらこそご招待頂きありがとうございます。」
「それで、シェリーと仕事仲間なんだっけ?」
「はい。えっと自己紹介がまだでした。俺は…」
「ああ、いいよ!第7騎士団副団長のフォーゲル男爵だろ?」
「え…」
エリオットはルーカスが自分の身元を知っていたことを疑問に思うが、シェリーが教えたんだろうと思い直す。
「シェリーとは仲良くやってるのか?」
やや困惑しているエリオットをよそに、ルーカスは話を続ける。
「…仲良くしてもらってます。」
「思ったより受け身な言い方だな?シェリーの話を聞く限り、どちらかと言うとお前の方が積極的にきてた印象だったんだが?」
「それは…そうですね。でも最近彼女が何を考えているのか分からなくなってきて…」
「それはあれか?シェリーが誘拐された頃からか?」
「…はい。そのときは、彼女を危険に晒してしまって申し訳…」
エリオットは誘拐の件について謝ろうとする。そもそもルーカスの誘いに乗ったのは、シェルシェーレから許しは得られたとはいえ、ケジメとして誘拐の件を彼女の家族であるルーカスに謝罪しようと考えたからだ。
「何の話だ?俺はなにも知らないぞ?」
しかし、ルーカスに予想外のことを言われた。
「え?」
「あいつは例の件、"自分は身代金目的で誘拐された"ってことで家族内でも押し通してるぞ?親父には何か相談したかもしれねえけど、少なくとも他は実際どうだったのかは一切聞いてねえ。」
「……」
エリオットは無言で目を見開く。
「という訳で、"身代金目的で誘拐された"我が妹を助けてくれたお前に感謝こそすれ、謝られる義理はねえよ。」
「…聞かないんですね。実際何があったか。」
「気にならないって言えば嘘になるが、シェリーがそうするべきと判断したなら、俺らはそれを信じるだけだ。それに、別にお前が悪い訳じゃ無さそうだしな?シェリーはもし悪人ならどんなに仲良くても容赦しないはずだし。」
「そう、ですね。」
エリオットは自信なさげに微笑む。
「で、だ。そんなことより、お前はシェリーと結婚する気はないか?」
「え」
――――――続く
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