上 下
46 / 122
なんだかんだ楽しくやってます

第46話 悩み事

しおりを挟む
「あ、そうじゃったそうじゃった。君が書いた文章見て思ったんじゃが…捜査課辞めない?」
「……!?」

捜査課辞めるってどういう意味…??

もしかしてほんとに考えがヤバいから消されるのか…!?

「というか、捜査課辞めて人間魔法課に移らない?」
「え、あ、そういうことですか…」
「あれ、もしかして研究所自体辞めさせられると思った?それは無いから安心してよ。…それで、どうじゃ?うつる?」

人間魔法課への異動はちょうど考えていたことだ。かなり魅力的な提案だけど、いざ聞かれると迷うな…

「えっとその…他の方とも話し合ってから決めることは可能でしょうか?」
「あ、もちろんいいよ!急ぎじゃないから、異動したくなったらする感じで。」
「わかりました、ありがとうございます。…それにしても、なぜ私に異動の提案を?」
「実は、最近人間魔法課の研究がネタ切れというか、マンネリ化してきててね。君みたいな考えの人が来たらいい刺激になると思ったんじゃ。」
「なるほど…」
「じゃ、考えといて!」
「はい。」

こうして私は所長室を後にした。

――――――

「あ、シェリー!また依頼なんだが、今から大丈夫か?」

雑用仕事に戻ろうとすると、エリオット様に呼び止められた。

「…あ、はい!」
「どうした?少し歯切れが悪くないか?」

鋭いなこの人…

「ああいや、ちょっと決めかねていることがありまして…」
「お前が悩み事とは珍しいな。話して見ろよ、何か力になれるかもしれないぞ?」
「そう、ですね…」

確かにエリオット様も無関係じゃないし、話しておくのも悪くないかも…?

「…じゃあ、聞いてもらってもいいですか?」

私はここまでの経緯と、異動するか否かを悩んでいることを打ち明けた。

「ふむ…なるほどな…」

エリオット様は考え込む。

「お前が捜査課に残るか迷ってるのはやっぱあれか?今世話になってる人に申し訳ないからとかそういう事か?」
「はい、それはありますね。…それに、やってみたら皆さんと仕事をするのも案外楽しかったので、このまま残るのもありなんじゃないかと思い始めまして…」
「そ、そうか…」

ふとエリオット様の顔を見やると、心なしか顔が赤い気がする。なんでここで照れるんだ…?

「まああれだな、いずれにせよ、周りがどうとかは気にせずにシェリー自身がやりたいことをやればいいと思うぞ?その方がお前らしいしな。」
「確かに、私は自己中心的でマイペースで用意周到で狡猾な女ですからね。」
「いや、お前は賢くて冷静で自分の信念を貫き通せる、芯のある奴だよ。」

突然のエリオット様の発言に、私は豆鉄砲を食らったような顔をする。

「…なんだよその顔?」
「いや、エリオット様が茶化さず褒めてくるとは思わなかったので。」
「俺のこと何だと思ってるんだよ?俺だってそれぐらいするっての…」

エリオット様はばつが悪そうに目を逸らし自分の頬をかいている。

エリオット様こそ歯切れが悪いけど…?

「…エリオット様も何か悩み事が?」
「え?」
「なんだが先程からそわそわしているので。」
「い、いやそんなことはない…はず…」
「…まあ、私に話せとは言いませんけど、何かあるなら誰かに相談した方がいいですよ?」
「あ、ああ…」
「そういえば、魔導具解析の依頼があるんでしたね。仕事に戻りましょうか。」
「そうだな。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...