乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100

文字の大きさ
上 下
105 / 115
転変

第105話 林間学校➀

しおりを挟む
「着いたー!!」

「広いな~湖!」

2週間後。1年生は長時間の馬車での移動を終え、林間学校中の野営地となる湖畔へと到着した。

「では、各クラスで点呼を取った後、オリエンテーションを行う!生徒はクラスごとに集まるように!」

先生の呼びかけとともに、生徒がぞろぞろと移動する。

「いや~やっと始まるぜ!移動長過ぎるよなあ……」

アランは歩きながら大きく伸びをする。

「そうだね。まあ私としては、王都から1日足らずで来られる場所にこんな大自然が広がってる方が驚きだけど。」

私は反対側の岸が見えないほど大きな湖と、その湖の周りをぎっしりと埋める木々を眺める。

「王都って政治の中心ではあるけど、地理的には結構北の端っこだからね!」

ジークが補足する。

「そう考えると、こことか王都ってまあまあ危ないところにあるよなあ……帝国に対して割と反対側だから、色々いるだろ?」

「……そうだね。」

「あれ、そういえばマリーは?」

ジークは周りをキョロキョロと見渡す。

「ああ、それならどうも移動中の馬車で気分が悪くなっちゃったらしくて、保健担当の先生に診てもらってるよ。」

「え、まじかよ……」

アランが即座に反応する。

「……わりぃ、オリテ終わったら様子見に行くわ。とりあえずお前らで行動しててくんね?」

「うん、わかった!」

「それでは、オリエンテーションを始める。」

ちょうどそのとき、学年主任によるオリエンテーションが始まった。

「出発前に説明したとおり、林間学校はこのモルフォ湖周辺にて1泊2日で行う。本日は4人1班で食材調達を行い、各自調理してもらう。夜はキャンプファイヤーを行うため、それまでには諸々済ませておくように。なお、明日は多少の自由時間の後、遅めの朝食を取ったら出発する。続いて注意事項を説明するが……」


─────────


「じゃ、食材集めは頼んだ!」

オリエンテーションが終わると、アランが即座に立ち上がる。

「うん、行ってらっしゃい!」

ジークは笑顔で見送る。

「アラン、ちょっと待って。」

「ん?どうした?」

私は一瞬アランを引き留める。

ヒュッヒュッ

パシパシッ

私は手のひらサイズよりは一回り大きい箱を2つ投げ渡し、アランはそれをしっかりと受け取った。

「これ、持っていって。」

「これ……アレ・・か、サンキュー!じゃ、行ってくる!」

アランは渡したものの中身を理解したようで、ポケットにそれを突っ込むと、看護用のテントへと駆けて行った。

「じゃあ、私達は食材探しに行こうか。」

私達はいつもの4人組で班を組んだため、体調を崩したマリーと様子を見に行ったアランを除くと、班にいるのは私とジークの2人だけだ。

「う、うん……」

いつものように元気な返事が聞けるかと思いきや、返ってきたジークの返事はかなり弱々しいものだった。

「あれ、どうしたの?」

「あ、いや……なんでもない!」

ジークは慌てて首を横に振る。

「そう?……なら行こうか。」

私達は我先にと食材集めのため八方へ走っていった。

「皆すごい勢いで行っちゃった……」

「生徒の数の割に探索できる時間が短くて行ける範囲に限界があるからね。ちゃんと近場で場所取りするか、急いで遠くのエリアまで移動する必要があるんだよ。でないと他の班に食材を取り尽くされちゃうから。」

「へー……って、それは僕達も一緒じゃない!?早く行かないと取られちゃうよ!」

「まあ落ち着いて、そこは考えがあるから安心してよ。」

「考え……?」

「じゃあ、湖の方へ向かおうか。」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人
ファンタジー
 人類が魔法と科学の力を発見して数万年。それぞれの力を持つ者同士の思想の衝突で起きた長き時に渡る戦争、『発展戦争』。そんな戦争の休戦から早100年。魔法軍の国に住む高校生ジャン・バーンは精霊カーバンクルのパンプと出会いと共に両国の歪みに巻き込まれていく。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...