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転変
第105話 林間学校➀
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「着いたー!!」
「広いな~湖!」
2週間後。1年生は長時間の馬車での移動を終え、林間学校中の野営地となる湖畔へと到着した。
「では、各クラスで点呼を取った後、オリエンテーションを行う!生徒はクラスごとに集まるように!」
先生の呼びかけとともに、生徒がぞろぞろと移動する。
「いや~やっと始まるぜ!移動長過ぎるよなあ……」
アランは歩きながら大きく伸びをする。
「そうだね。まあ私としては、王都から1日足らずで来られる場所にこんな大自然が広がってる方が驚きだけど。」
私は反対側の岸が見えないほど大きな湖と、その湖の周りをぎっしりと埋める木々を眺める。
「王都って政治の中心ではあるけど、地理的には結構北の端っこだからね!」
ジークが補足する。
「そう考えると、こことか王都ってまあまあ危ないところにあるよなあ……帝国に対して割と反対側だから、色々いるだろ?」
「……そうだね。」
「あれ、そういえばマリーは?」
ジークは周りをキョロキョロと見渡す。
「ああ、それならどうも移動中の馬車で気分が悪くなっちゃったらしくて、保健担当の先生に診てもらってるよ。」
「え、まじかよ……」
アランが即座に反応する。
「……わりぃ、オリテ終わったら様子見に行くわ。とりあえずお前らで行動しててくんね?」
「うん、わかった!」
「それでは、オリエンテーションを始める。」
ちょうどそのとき、学年主任によるオリエンテーションが始まった。
「出発前に説明したとおり、林間学校はこのモルフォ湖周辺にて1泊2日で行う。本日は4人1班で食材調達を行い、各自調理してもらう。夜はキャンプファイヤーを行うため、それまでには諸々済ませておくように。なお、明日は多少の自由時間の後、遅めの朝食を取ったら出発する。続いて注意事項を説明するが……」
─────────
「じゃ、食材集めは頼んだ!」
オリエンテーションが終わると、アランが即座に立ち上がる。
「うん、行ってらっしゃい!」
ジークは笑顔で見送る。
「アラン、ちょっと待って。」
「ん?どうした?」
私は一瞬アランを引き留める。
ヒュッヒュッ
パシパシッ
私は手のひらサイズよりは一回り大きい箱を2つ投げ渡し、アランはそれをしっかりと受け取った。
「これ、持っていって。」
「これ……アレか、サンキュー!じゃ、行ってくる!」
アランは渡したものの中身を理解したようで、ポケットにそれを突っ込むと、看護用のテントへと駆けて行った。
「じゃあ、私達は食材探しに行こうか。」
私達はいつもの4人組で班を組んだため、体調を崩したマリーと様子を見に行ったアランを除くと、班にいるのは私とジークの2人だけだ。
「う、うん……」
いつものように元気な返事が聞けるかと思いきや、返ってきたジークの返事はかなり弱々しいものだった。
「あれ、どうしたの?」
「あ、いや……なんでもない!」
ジークは慌てて首を横に振る。
「そう?……なら行こうか。」
私達は我先にと食材集めのため八方へ走っていった。
「皆すごい勢いで行っちゃった……」
「生徒の数の割に探索できる時間が短くて行ける範囲に限界があるからね。ちゃんと近場で場所取りするか、急いで遠くのエリアまで移動する必要があるんだよ。でないと他の班に食材を取り尽くされちゃうから。」
「へー……って、それは僕達も一緒じゃない!?早く行かないと取られちゃうよ!」
「まあ落ち着いて、そこは考えがあるから安心してよ。」
「考え……?」
「じゃあ、湖の方へ向かおうか。」
「広いな~湖!」
2週間後。1年生は長時間の馬車での移動を終え、林間学校中の野営地となる湖畔へと到着した。
「では、各クラスで点呼を取った後、オリエンテーションを行う!生徒はクラスごとに集まるように!」
先生の呼びかけとともに、生徒がぞろぞろと移動する。
「いや~やっと始まるぜ!移動長過ぎるよなあ……」
アランは歩きながら大きく伸びをする。
「そうだね。まあ私としては、王都から1日足らずで来られる場所にこんな大自然が広がってる方が驚きだけど。」
私は反対側の岸が見えないほど大きな湖と、その湖の周りをぎっしりと埋める木々を眺める。
「王都って政治の中心ではあるけど、地理的には結構北の端っこだからね!」
ジークが補足する。
「そう考えると、こことか王都ってまあまあ危ないところにあるよなあ……帝国に対して割と反対側だから、色々いるだろ?」
「……そうだね。」
「あれ、そういえばマリーは?」
ジークは周りをキョロキョロと見渡す。
「ああ、それならどうも移動中の馬車で気分が悪くなっちゃったらしくて、保健担当の先生に診てもらってるよ。」
「え、まじかよ……」
アランが即座に反応する。
「……わりぃ、オリテ終わったら様子見に行くわ。とりあえずお前らで行動しててくんね?」
「うん、わかった!」
「それでは、オリエンテーションを始める。」
ちょうどそのとき、学年主任によるオリエンテーションが始まった。
「出発前に説明したとおり、林間学校はこのモルフォ湖周辺にて1泊2日で行う。本日は4人1班で食材調達を行い、各自調理してもらう。夜はキャンプファイヤーを行うため、それまでには諸々済ませておくように。なお、明日は多少の自由時間の後、遅めの朝食を取ったら出発する。続いて注意事項を説明するが……」
─────────
「じゃ、食材集めは頼んだ!」
オリエンテーションが終わると、アランが即座に立ち上がる。
「うん、行ってらっしゃい!」
ジークは笑顔で見送る。
「アラン、ちょっと待って。」
「ん?どうした?」
私は一瞬アランを引き留める。
ヒュッヒュッ
パシパシッ
私は手のひらサイズよりは一回り大きい箱を2つ投げ渡し、アランはそれをしっかりと受け取った。
「これ、持っていって。」
「これ……アレか、サンキュー!じゃ、行ってくる!」
アランは渡したものの中身を理解したようで、ポケットにそれを突っ込むと、看護用のテントへと駆けて行った。
「じゃあ、私達は食材探しに行こうか。」
私達はいつもの4人組で班を組んだため、体調を崩したマリーと様子を見に行ったアランを除くと、班にいるのは私とジークの2人だけだ。
「う、うん……」
いつものように元気な返事が聞けるかと思いきや、返ってきたジークの返事はかなり弱々しいものだった。
「あれ、どうしたの?」
「あ、いや……なんでもない!」
ジークは慌てて首を横に振る。
「そう?……なら行こうか。」
私達は我先にと食材集めのため八方へ走っていった。
「皆すごい勢いで行っちゃった……」
「生徒の数の割に探索できる時間が短くて行ける範囲に限界があるからね。ちゃんと近場で場所取りするか、急いで遠くのエリアまで移動する必要があるんだよ。でないと他の班に食材を取り尽くされちゃうから。」
「へー……って、それは僕達も一緒じゃない!?早く行かないと取られちゃうよ!」
「まあ落ち着いて、そこは考えがあるから安心してよ。」
「考え……?」
「じゃあ、湖の方へ向かおうか。」
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