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転変
第99話 やるべきこと
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「……」
私は自室のベッドに腰掛ける。
……ここに来て、今までに起こった数々の出来事の謎がさらに明らかになった。
まずはモロクの動向。
件の男もモロクの一員であることが判明し、お茶会の件も含めこれら2つの事件はモロクが引き起こした可能性が格段に高まった。
次にモロクの目的。
お茶会の一件に加え、今回はベークマンも標的となった。
ベークマンの家は伯爵家だ。貴族である以上政治的な理由で狙われてもおかしくはないが、特別政治で矢面に立っている訳でもないし、優先度からいってラクアの次に狙われるのは不自然だ。
では、貴族であること以上の彼らの共通点は何か。
それは、"魔術大会に出場していた、魔術学院の生徒であること"。
もしお茶会で私もターゲットになっていたとしても、その共通項は維持される。そして何より、それはジークも同様である。
それに、件の男は魔術大会に顔を出していた。さらに、私に向かって"あんたを外しておいて正解だった"と言った。
これより、モロクのターゲットは魔術学院の、特に魔術大会に出場した生徒であり、件の男は組織に命じられて魔術大会の視察やベークマンの暗殺(未遂)を実行したと推測できる。
つまり、今まで起こった一連の不穏な出来事は、全て1つの存在により起こされたものである。そして、私の目的であるジークの死亡回避のためには、奴らの目論見を阻止する必要がある。
では、具体的に何をすれば私の目的が達成できるか。
「Amour Tale 」のストーリーでのラインハルト殿下とロバン騎士団長の会話はこうだった。
─────────
騎士団長「事件より前から組織の存在には勘づいていたのですが……私が至らぬばかりに、魔術学院の他の生徒まで……それに、未だに捕まっていない犯人もいますし……」
ラインハルト「あれはあなたのせいではありませんよ。もちろんジーク君や犠牲になった少年たちのことは悔やみきれませんが、あなたやラクアがいたからこそ被害が最小限に抑えられました。」
──────────
つまり、ゲームのストーリーではモロクの目論見はある程度のところで阻止できたが、ジーク含め複数の犠牲者が出たことが分かる。そして、その犠牲者というのはいずれも学院の生徒に違いない。
一方今現在、学院の生徒に被害者は……ベークマンが襲撃を受けてしまったが、死者は0人だ。そのため、ゲームのシナリオより状況が悪化しているということはないだろう。
かといって、状況が改善しているかは不明だ。
ゲームのシナリオからの変化は、基本的に私の存在や行動によってしか変化し得ない。その理由は簡単で、ゲームと今のこの世界の相違点は、例外を除けばヒロインの中身が私かそうでないかだけだから。
私にできることは、まずゲームのシナリオでも事件解決に貢献したラクアや騎士団長に、なるべく早く多くの情報を提供し、彼らの早急な対処を促すこと。そのためには、エドガス様や大司教様の助力も不可欠となるだろう。
そしてもう1つは、件の男の対処だ。あれは、きっと私が直接対峙しなくてはならない。とはいえ、以前相対したときやベークマンの一件を踏まえると、私が策無しに勝てる相手ではない。だからやり方は色々考えてある。
目的の達成のために何をすれば必要十分か分からない以上、脅威となる可能性となる因子は全て潰す。手段は問わない。
タイムリミットは、おそらく2,3週間後だ。
私は自室のベッドに腰掛ける。
……ここに来て、今までに起こった数々の出来事の謎がさらに明らかになった。
まずはモロクの動向。
件の男もモロクの一員であることが判明し、お茶会の件も含めこれら2つの事件はモロクが引き起こした可能性が格段に高まった。
次にモロクの目的。
お茶会の一件に加え、今回はベークマンも標的となった。
ベークマンの家は伯爵家だ。貴族である以上政治的な理由で狙われてもおかしくはないが、特別政治で矢面に立っている訳でもないし、優先度からいってラクアの次に狙われるのは不自然だ。
では、貴族であること以上の彼らの共通点は何か。
それは、"魔術大会に出場していた、魔術学院の生徒であること"。
もしお茶会で私もターゲットになっていたとしても、その共通項は維持される。そして何より、それはジークも同様である。
それに、件の男は魔術大会に顔を出していた。さらに、私に向かって"あんたを外しておいて正解だった"と言った。
これより、モロクのターゲットは魔術学院の、特に魔術大会に出場した生徒であり、件の男は組織に命じられて魔術大会の視察やベークマンの暗殺(未遂)を実行したと推測できる。
つまり、今まで起こった一連の不穏な出来事は、全て1つの存在により起こされたものである。そして、私の目的であるジークの死亡回避のためには、奴らの目論見を阻止する必要がある。
では、具体的に何をすれば私の目的が達成できるか。
「Amour Tale 」のストーリーでのラインハルト殿下とロバン騎士団長の会話はこうだった。
─────────
騎士団長「事件より前から組織の存在には勘づいていたのですが……私が至らぬばかりに、魔術学院の他の生徒まで……それに、未だに捕まっていない犯人もいますし……」
ラインハルト「あれはあなたのせいではありませんよ。もちろんジーク君や犠牲になった少年たちのことは悔やみきれませんが、あなたやラクアがいたからこそ被害が最小限に抑えられました。」
──────────
つまり、ゲームのストーリーではモロクの目論見はある程度のところで阻止できたが、ジーク含め複数の犠牲者が出たことが分かる。そして、その犠牲者というのはいずれも学院の生徒に違いない。
一方今現在、学院の生徒に被害者は……ベークマンが襲撃を受けてしまったが、死者は0人だ。そのため、ゲームのシナリオより状況が悪化しているということはないだろう。
かといって、状況が改善しているかは不明だ。
ゲームのシナリオからの変化は、基本的に私の存在や行動によってしか変化し得ない。その理由は簡単で、ゲームと今のこの世界の相違点は、例外を除けばヒロインの中身が私かそうでないかだけだから。
私にできることは、まずゲームのシナリオでも事件解決に貢献したラクアや騎士団長に、なるべく早く多くの情報を提供し、彼らの早急な対処を促すこと。そのためには、エドガス様や大司教様の助力も不可欠となるだろう。
そしてもう1つは、件の男の対処だ。あれは、きっと私が直接対峙しなくてはならない。とはいえ、以前相対したときやベークマンの一件を踏まえると、私が策無しに勝てる相手ではない。だからやり方は色々考えてある。
目的の達成のために何をすれば必要十分か分からない以上、脅威となる可能性となる因子は全て潰す。手段は問わない。
タイムリミットは、おそらく2,3週間後だ。
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